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スマホと連動する電動アシスト自転車「e-bike」試乗レポ 第1回

理想のe-bikeを探せ! その1

オシャレだけど走りはガチのe-bike! BESV「PS-1」は電動アシストが切れても快適に走れる

2023年01月16日 12時00分更新

文● 荻窪 圭 編集●ASCII

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走る前にサドルの調整で自分に合わせた高さにしよう

 では、サドルの高さを調整して走ろう(写真は自分に合わせて下げた状態のもの。シートポストが少し下にはみ出ている)。

シートポストを少し下げたので下にはみ出ている。サドルの高さは重要だ

 フレームサイズが欧州仕様なのか、写真で見るよりちょっと大きく感じる。小柄な人だと一番下まで下げるケースもあるそうだ。そうなるとハンドルバーの位置も高く感じる。下げたい場合は、ステムとフレームをつないでるステムエクステンダーを、オプションで用意されているショートタイプに付け替えるのがいい。そうするとある程度高さも調節できる。

ステムやステムエクステンダーの交換でハンドル位置の調整が可能だ

 わたしはもうちょっとハンドルを近く・低くしたいかな。自転車は乗る人の体型や乗車スタイルに合わせたセッティングが不可欠なので、その気になれば(パーツの交換が必要かもしれないが)それなりに自由度はあるが、慣れないと自分でするのは大変なので、PS-1に限らずスポーツ系の自転車(ある程度長時間乗ることを前提とした自転車)を購入するときは、通販ではなく、購入時に調整してくれる店を選ぶべし。

 さて、基本のセッティングが終わったら走りだそう。

アシストゼロになっても快適でびっくり!

 電源投入時はアシストゼロなので、+ボタンを4回押す。すると、アシストの強さが1→2→3→Sと切り替わる。SがBESVならではのスマートモード。自動的にアシストの強さを変えてくれるので、あとは自転車任せでOKというモードだ。主にSモードで走ったが、これを変更する必要はないくらい快適だった。

 そしてペダルを回す。最初のペダル半回転くらいはちょっと重いが、そのあとぐぐっとアシストがくる。後輪駆動型のモーターは立ち上がりが少し遅いと聞くので、そのせいだろう。走り出したら超快適。すすすっとスピードがあがり、あっという間に20km/hを超え、25km/hを超え、そこで「あれ?」と思う。

 アシストゼロになっても急にペダリングが重くなる感触があまりなくて、普通のスポーツ自転車と同じ感覚で気持ちよく走れるのだ。これは素晴らしい。

 スポーツ自転車としての設計がいいのだろう。何しろ、重量は17.4kg。カーボンモノコックフレームなどの採用ですごく軽くなっているのだ。バッテリーにモーターに前後にサスペンションまで加えてこの重量なのだから、スポーツ自転車としては悪くない重さである。

 さらに、コンポーネント。後輪に10段変速のギアが搭載されているのだが、それがシマノのTiagra(ティアグラ)なのだ。ロードバイク用のコンポーネントである。

変速機はTiagraの10段変速。ロードバイク用の本格的コンポーネントだ。走りが気持ちいいはずだ

 スポーツ自転車のパーツには、ガチのレース仕様から、趣味の自転車乗り向け、エントリーや街乗り向けと数多くのグレードが用意されている。自転車用コンポのトップメーカーであるシマノはロードバイク用として7つのグレードを展開してるが、Tiagraはちょうど中間に当たるもの。これより上はガチ勢向けなので、街乗り用のスポーツ自転車としては良いパーツを使ってるのだ。

変速レバーもクイックでパシッと決まる。これはよい。またハンドルにはERGONのエルゴグリップを採用。このシリーズは手のひらを置けてすごく楽なのだ

 だからすごく快適なのである。自転車としてしっかりしてるので、アシストが切れても気持ちよく走るのだ。これは予想以上だった。

 そしてある程度走ったら休憩。自転車を止め、電源をオフにして鍵を抜く。そうするとBluetoothでの接続が切れる。アプリから「駐輪位置」アイコンをタップすると、地図上に現在地と最後に位置情報を取得した場所が表示される。これは公園の自転車用パーキングに止めて、休憩がてらちょっと散歩したときの図。

スマホと連動させておくと、駐輪した場所を覚えておいてくれる

 自転車自身がGPSを持ってるわけじゃないので、動かされてしまってはどうしようもないし、駐輪場所を忘れることって普通はないけど、何時にどこに置いたかがこうして図示されるのはいい。

 ではいよいよ登坂テストだ。電動アシスト車なら坂を上らないとね。わたしの中で登坂テストに使う坂は決まってる。世田谷区の「岡本三丁目の坂」だ。最近は富士山がきれいに見えるということで「富士見坂」と呼ばれることが多い。どんな坂かはこの写真をどうぞ。標高約17mから約38mまでの20mの高低差を直線で上る坂だ。最初は緩やかだが十字路を越えると急勾配になり、最大斜度は20%を超えるのである。坂の向かって右には階段がついてるほど。

世田谷区が誇る(?)急坂、岡本三丁目の坂。簡単にいえば、往古、多摩川が削った崖だ。そこをまっすぐに貫く坂で一方通行になっている

 アシストなしのスポーツ自転車だと、一番軽いギアにして立ち漕ぎでなんとか時速数kmで登り切れるくらいの感じ(もちろん個人差あります)。一方通行だけど「自転車は除く」と書いてあるので大丈夫。 ここを上ってみたので動画でどうぞ。

 いやあ、さすがにアシストがあっても疲れた。でも立ち漕ぎすることなく(電動アシスト車での立ち漕ぎはアシストによってバランス崩しやすいのでしないこと)、ちゃんと上れたのであった。電動アシストは偉大だ。

 そんなこんなで公園のサイクリングロードや緩やかな坂急な坂、平地の生活道路幹線道路をいろいろと走ってみた。わたしは走りながら気になるものを見つけては寄り道して写真を撮ったり、古地図を見て昔はなんだったかチェックしちゃうので一般的な自転車好きよりはストップ&ゴーが多い。その辺を踏まえた上で、気になるバッテリーの持ちを見てみたい。

 公称ではエコモード(モード1)で最大100km、ハイモード(モード3)で最大60kmとなっているが、実走行ではどうか。PS-1には「Range」計がある。これは実走行の記録に基づいて、残りの航続可能距離を算出してくれた値。バッテリー100%からスタートして、様々なシチュエーションで走り、実走行距離とこの航続可能距離を足せば、実シーンでどのくらいバッテリーが持つか想定できるはずだ。今回は基本的にSモードで走ったので、それでチェックした。

走行距離は38.9km。上ったり下ったり細かいストップ&ゴーしたりしたけど、一番バッテリーを消費したのは急坂の上りだろう

航続可能距離は22.8km。バッテリーインジケーターはまだ半分以上残ってるのに思ったより少ない。急坂のぼりすぎたか?

 両者を足すと、61.7kmだ。説明書によると、この航続可能距離は短めに出るということだし、今回は調子に乗って多少の坂なら重めのギアでぐいぐい走ったし(アシストに頼っちゃって細かい変速を怠りがち)、急坂も上ったのでそれらを加味すると、実際には70km以上は行けると思う。

 また、USB Type-C端子も用意されており、そこから給電もできるので(それを利用したライトもオプションで用意されている)、スマホへの充電も可能。GPSロガーとか地図を見ながらとか、何かとバッテリーを消耗する使い方もできるのである。

 かくして、小径車ならではのちょっとした近所の移動からスポーツ車らしい快適な趣味のサイクリングまで、1台で両方を楽しめるのがすごくいいPS-1なのだった。個人的な感想としては「アシストゼロになっても快適に走れるのでスポーツ自転車として気持ちいい!」だ。それってとても大事である。

【初心者向けコラム】
自転車と一緒に買うべきもの

 自転車は、特にスポーツ車は必要最低限の構成で販売し、あとは自分で用意してねってことが多い。なので自転車と一緒に買うべきものをまとめてみた。

・ライト:必須
 USB充電可能なLED式が便利。最近のものは明るくて実用的だ。ただ、電動アシスト車の場合はハンドルバーに操作パネルなどが設置されていることが多く、ライトをつける余地が少ないことがある。購入時にどこにどう付けるかを相談するのがいい。

・チェーンロック:必須
 盗難・防犯のためにも絶対買おう。

・空気入れ:できればあったほうがいい
 タイヤの空気くらいは自分でメンテしたいところ。空気を入れるバルブには英式(ママチャリはたいていこれ)、仏式(ロードバイクはたいていこれ)、米式(MTB系に多い)の3種類があり、自分の自転車に対応する空気入れが必要。スポーツ車用のものなら3種類すべてに対応するのでそれを選ぶこと。また、スポーツ車の場合タイヤに合わせた空気圧にする必要があるので、空気圧計付が必須だ。

・ヘルメット:必須
遠乗りをするときは、MTB用かロードバイク用のヘルメットを用意したい。

・ボトルケージ:できればあったほうがいい
自転車に装着し、ペットボトルを含むボトルを装着するパーツ。喉が渇いたらすぐ水分補給できるのでつけたい。ボトルケージをつけるためのネジ穴がない場合でも、フレームやステムにつけられるものもある。

ボトルケージをつけられると、このようにドリンクをいつでもいれておける。夏は必須

・スマホホルダー:必須
今の時代は必須アイテム。地図を見るにもルートを調べるのにもログを取るのにも使うし、PS-1と連動させるとサイクルコンピューターとしても使えるし。これも無数に出ているので、吟味すべし。

 以上が最低限揃えておきたい装備だ。街に乗り出す前にゲットしておこう。

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