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スマホと連動する電動アシスト自転車「e-bike」試乗レポ 第3回

理想のe-bikeを探せ! その3

まさに走るスマホ! VanMoofのe-bike「S3」はギアもオートな未来の乗り物

2023年01月30日 12時00分更新

文● 荻窪 圭 編集●ASCII

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VanMoof S3にまたがってるわたし。見てのとおり結構フレームがデカいけど、これはカッコいいわ

 理想のe-bikeを探せ企画第3弾は、1度乗ってみたかったVanMoofのe-bike「S3」だ。

・第1回 オシャレだけど走りはガチのe-bike! BESV「PS-1」は電動アシストが切れても快適に走れる
・第2回 68万円の価値はアリ! キャノンデールのグラベルロードe-bikeはバッテリー持ちがスゴイ!

 ここ数年で一番革新的な自転車といっても過言ではなく、自転車好きはもちろんデジタルガジェット好きな層にひびくe-bikeだ。なにしろ、スマートでハイテクなのである。

 見た目が特徴的なのは置いとくとしても、4段変速だけどシフトは全自動(つまり自動車でいうオートマ!)だし、ライトは自動点灯(これは珍しくない)、ロックも内蔵されていて登録してあるスマホを持っていればボタン1つで解錠できるし、アップルの「探す」機能にも対応しているので今どこにあるか見つけられるし、走行データは全部スマホのアプリで管理できるしで、ガジェット好きにはたまらない仕様なのだ。

 「人力でこいで、効率よく車輪を回して移動する原始的なメカ」という自転車に、モーターを追加したのが「電動アシスト自転車」だとすれば、はじめから「電気とモーターありき」でデザインしたのがVanMoofなのである。

 ぱっと見、e-bikeに見えないデザインもいい。バッテリーや各種回路はフレーム内に、モーターは前輪にあるので、いわゆる「電動アシスト自転車」のシルエットではないのだ。すでに新型の「S5」と「A5」が発表されてはいるが、今回は既発売の主力モデル「S3」をお借りして、その未来のe-bike感を味わってみた。

自転車の基本構造を活かしつつ、e-bikeであることを主張しないし、シンプルだけど未来っぽいデザインがいい

スマホとe-bikeの華麗なる連携とは

スマホを中心に装着して走るの図。スマホマウントは私物を使用

 スマホありきのe-bikeとはどんななのか。まずは、アプリ(iOS、Android両対応)をダウンロードしてアカウントを作ってログインし、自転車の電源を入れてペアリングする(今回は試乗用のe-bikeということで、PR用のアカウントを使わせてもらった)。

VanMoofアプリをダウンロード。これがなければ始まらない

 これで準備完了だ。あとは「スリープと復帰」を繰り返しつつ、自転車に乗るだけ。電源のオンオフは不要と、もうこの感覚からしてスマホっぽい。アプリを起動した状態で(バックグラウンドで動いてるので一度起動してればOK)近づくと、S3がスマホを認識してくれる。

スマホとS3が接続された時のアプリの画面。これで、いつでも走行OKだ

 逆にスマホと遠く離れてるときは、最後に接続が離れたのは何時間前で、その時の場所はここですよ、と教えてくれる。

スマホとS3が離れてるとき。最後に接続が切れてから5時間たってますという表示と、その場所が地図に表示される

 スマホアプリの機能はおいおい、ということでロックを解除して走り出そう。S3はロックを後輪部分に内蔵している。だから別途チェーンロックなどを用意する必要はない(安全のために駐輪場所によってはあった方がいいけど)。

 ロックされているS3に近づいてスマホが認識されたら、ロック解除できる。その方法は3つあるけど、3つめは緊急用のスマホなしで解錠する方法なので普段は使わない。2つのうち1つはスマホアプリから「Tap to Unlock」をタップ。

S3がロックされた状態でスマホが近づくと、「Tap to Unlock」と表示される。そこをタップすればロック解除

 すると「がちゃん」とロックがはずれ、5秒のカウントダウンが始まるから、0になる前にちょっと動かす。ロック解除しても動かさないでいると、再度ロックがかかるというセキュリティーだ。

 もうひとつは左ハンドルバーのボタン。S3のボタンはハンドルバーの左右にある2つだけ(リセットボタンもあるけど、普段は使わない)と、e-bikeとしては画期的に少ないのも特徴のひとつだ。左のボタンがロック解除・スリープ解除・警告音(ベル)の役割。スマホがS3と接続された状態で、このボタンを押すとロック解除されるのだ。自動車でいうキーレスエントリー感覚なので、普段はこれを使うのが簡単。

左ハンドルのこのボタンを押すとロック解除。S3がスリープしてるときに押すとほわんほわんと音を出してスリープから復帰する

 ロックがかかっている状態で自転車を動かそうとすると盗難防止のアラームが鳴る。ちなみに、S3はディスプレーも超簡素。液晶モニターは持たず、トップチューブ上のシンプルなインジケータに自転車の状態やバッテリー残量が表示されるのだ。逆に、ロックするときは後輪にあるキックロックを蹴る。蹴るんじゃなくて指で押してもいいけど。このとき、白い線(6ヵ所にあるのでそう大変じゃない)をだいたい合わせてから押すこと。そうすると、がちゃっとロックがかかり、自動的にスリープするわけだ。

後輪をよく見るとボタンがある。後輪のハブとチェーンカバーにある白い線を「おおむね」合わせてボタンを押すとロックがかかる仕組みだ

 言葉でいってもわかりづらいだろうから、S3に近づいて左ハンドルボタンでロック解除し、S3がスリープから復帰し(ほわんほわんという音が聞こえる)、走って止まって、ロックするという一連の動作を動画にしてみた。トップチューブの表示にも注目だ。

 ロック解除から走って止まってロックするまでの流れが、あまりにスムーズでびっくり。自転車をここまで「電気仕掛け」にできるのだなあとめちゃ感心する。

初心者向けコラム:ドロップハンドルは怖くない

 

 ロードバイク系で採用されるドロップハンドル。大人になって初めて乗るにはちょっとハードルが高いと感じるかも知れないけど、実はすごく楽で簡単。そのポイントは握る場所。写真のようにブレーキレバーの上に手を置く。そうすると必要以上に前傾にもならず、ブレーキに指をかけたまま自然な形で握れるのだ。

ドロップハンドルはここを持つべし

 ここが基本。さらにドロップハンドルのいいところは、必要に応じて好きな場所を握れること。握る場所によって前傾度合を変えられるので、より前傾で走りたい(その方が空気抵抗が減るし)ときは下を握るといいし、身体を起こしたいときはハンドルの上部分を握る(このときはブレーキレバーから手が離れるので注意)。

前傾姿勢を取りたいときはここを握る

これが基本姿勢

ここを握ると身体が起きるので楽になる

 スポーツ車は少し前傾になるぶん、ペダルを踏むときに体重を乗せやすいし、お尻と手の両方に荷重がかかるのでお尻も痛くなりづらい。街乗り系の自転車はハンドルバーの位置が近く、身体が起きるので姿勢としては楽だが、お尻に体重がかかるので長時間の走行には向かないし、スピードも出しにくい。

このようにハンドルバーが近くてサドルより高いと身体が起きるので楽だが、ぐいぐい走るには向かない

 自転車を選ぶときは乗車姿勢も大事なのだ。

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