5Gへの投資が抑制されてしまった
エリクソン・ジャパンの藤岡雅宣氏は「一番の理由は投資が抑制されている点。設備投資が遅れている。日本の場合、在宅勤務が増えたことで、モバイルのトラフィックが他国と比べてあまり増えていない。年間2割程度しか増加していないというのも理由として挙げられる」と語る。
設備投資が控えられていたという理由のひとつに「干渉問題」があった。サブ6に関しては、5G周波数の割り当て当初から衛星の地上局と干渉するという問題が指摘されていたのだ。そのため、キャリアが思うように5G基地局を設置できずに苦労していたようだ。
また、料金値下げの影響も大きそうだ。「これから5Gが始まるぞ」という2019年から2020年にかけて、政府からの「値下げ圧力」により、安価な料金プランが求められる機運が高まっていた。NTTドコモ「ahamo」、KDDI「povo」、ソフトバンク「LINEMO」といった新料金プランやブランドを始めたことで、各社ともモバイル通信料収入が数百億円レベルで減少した。5Gへの投資を一時的に抑制するという判断が効いても無理はない。
また藤岡氏は「耐震などの制度面における制約もあるのではないか」と指摘する。
通常、基地局はビルの屋上などに設置されていることが多い。ただ、マッシブMIMOのアンテナは従来のものに比べて大型で重量もそれなりにある。既存のLTE基地局と併設してしまうと重量がかさむため、屋上に設置できない問題に直面しているようだ。この点においては小型軽量のマッシブMIMOアンテナの開発が進んでいるため、問題の解消に向かっていくとされている。
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