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石川温のPCスマホニュース解説 第158回

auとソフトバンク、デュアルSIMでドコモからユーザー奪う?

2023年02月07日 09時00分更新

文● 石川温

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 昨年7月に起きたKDDIの大規模通信障害によって「事業者間のローミング」が検討されている。通信障害や災害が起こった際、キャリアのネットワークが使えなくなったときには他社のネットワークに接続することで、通信を維持しようという考えだ。

 海外に行けば、現地のキャリアにローミング接続するし、4キャリアで同じiPhoneが導入されている。国内でも簡単にローミングできるかと思いきや、実際に運用するのはかなりハードルが高いことがわかってきた。

 特に110番や119番、118番といったような緊急通報は「呼び返し」といって、通話が切断されてしまった場合、センターから発信者に折り返す必要が出てくる。ローミングの場合、そうした呼び返しの機能を提供するのが難しいのではないかと言われており、技術的に検討すべき課題が出てきているようだ。

月数百円で使える「通信障害保険」

 そんななか、いち早く、通信障害時のネットワークを確保する取り組みとして、KDDIとソフトバンクが名乗りを上げた。2社で「デュアルSIMサービス」を今年3月にも提供すると発表したのだ。

 iPhoneなどデュアルSIM対応スマホであれば、auに加えてソフトバンク、もしくはソフトバンクに加えてauのSIMカード(もちろんeSIMも対応)をスマホに指しておける。万が一、どちらかのネットワークが使えなくなっても、もう片方のキャリアのネットワークを使えばいいというわけだ。

 料金は「数百円の下の方にしたい」(ソフトバンク宮川潤一社長)といい、万が一、別のキャリアを利用する際には「従量課金で少し高くなると思う」(KDDI髙橋誠社長)という。

 ただ、スマホに詳しい人であれば「基本料金のいらないpovoや数百円で回線を維持できるMVNOもある。わざわざ契約する必要なんてないのでは」と思うだろう。しかし、povoや安価なMVNOを契約できる人はリテラシーの高い人だったりする。

 KDDIとソフトバンクではショップで契約できるオプションとして提供するようで、リテラシーに関係なく、幅広い人が気軽に契約できる「保険的なオプション」にしていくようだ。

 しかも、単なるデュアルSIMではないようで、ひょっとすると、これまで自己防衛的にデュアルSIMを使ってきた人でも魅力的に感じるサービスに「大化け」する可能性が出てきた。

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