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私→WRC第32回

現役RQの荏崎ろあ、WRC・ラリージャパンで世界戦のメカニックデビュー!

文●荏崎ろあ(@roa_ezaki) 編集●ASCII

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気を取り直してDAY1開始!
セレモニアルスタートで大盛り上がり

 翌朝はいよいよ競技DAY1、11月10日(木)です。私たちは朝イチの再車検ですぐに合格。車検落ちで不出走……という最悪の事態で終わらずに済みました。この日からお客さんも入って来るため、サービスパークも賑わいはじめます。この日はお昼過ぎまで、サービスパークから20分くらい離れた鞍ヶ池公園で車両シェイクダウンがあり、それに向けて最終メンテナンスをしました。

 選手たちにとってはこのシェイクダウンが、どんなセッティングにするか、どんなタイヤ選択をするかを判断する最終機会にもなります。

ラリーカーが出て行ったあとは、ドライバーとクルマの無事を祈りつつ、休憩したりご飯食べたり

メカニックチームで談笑中

 シェイクダウンが終了して、夕方になると豊田スタジアムでいよいよセレモニアルスタートが始まります。今回は豊田スタジアム内で大々的にラリーショーが行なわれ、地元の盛り上げ隊の方々や、豊田市市長、国会議員、芸能人の方も挨拶に登場し、改めて大きな大会なんだなと実感しました。

 ラリーカーたちは順番にスタジアム内のセレモニアルゲートに上り、司会進行のピエール北川さんと水村リアさんが選手たちにインタビュー、そしてスタートしていきます。ピエール北川さんの実況も毎週のようにレースで聞いているので、実家のような安心感を感じました(笑)。

SS1に行く前にひと仕事がある

 セレモニアルスタートを終えた車両は、豊田スタジアムを出て鞍ヶ池公園のSS1に向かうのですが、豊田スタジアムの出口に設置されているのが、タイヤチェックゾーンです。私はチームから、このタイヤチェックゾーンで行なうタイヤマーキング作業の担当に任命されました。

 ラリーでは使用できるタイヤ本数に制限があるため、スペアタイヤとして室内に積まれたタイヤの本数と種類をオフィシャルにチェックしてもらわなければなりません。FIA公認タイヤにはバーコードが付いているので、それを読み取ってもらいます。ここでは1チームにつきメカニック1名しか車両に触ることが許されないため、リアハッチを開けて、車内で固定されたスペアタイヤを外して下ろしてオフィシャルに確認してもらい、車載工具とヘルメットの位置を整え、スペアタイヤを再び車内に積んで固定して、ハッチを閉めるところまで、すべて私一人で作業します。

 これだけなら「簡単じゃないか?」と思われるかもしれませんが、まずハッチが押せば勝手に閉まるタイプではなくボンネットピン(通称ボンピン、ボンネットを固定するためのピン)が使われていて、私はこれで開閉するのにかなり手こずりました。ボンピンを使った経験が私にはなく、ハッチ自体を押し込みながらピンをスライドさせる作業にはパワーが必要で、何度も何度も練習しました。

まずハッチを開けるのが大変

 さらにプジョー・208R2のホイールは非常に重たくて、降ろして載せる作業もまたパワーが必要です。16インチなので一見軽そうに見えるのですが、前回全日本ラリーで使用したGRヤリス用の18インチよりもはるかに重いのです。話を聞くと、R2というカテゴリーはコスト制限のため規則でホイールの下限重量(7.5kg以下はダメ)が決められていて、軽くて高価な鍛造ホイールは使用できないとのことなのです。

中からタイヤを降ろして……

再び車内の元の位置に戻します

 これをできる限り素早く積み下ろし、元の状態に戻すことは想像以上に大変で、作業を急ぐことに精一杯で、自分の身体は二の次だったので車両を送り出したあとは足がアザだらけでした……。こんな感じのタイヤマーキングが、豊田スタジアムからSSに出発するたびに毎回設定されていると思うと、かなりのプレッシャーです(笑)。

いきなり大事故でDAY1は走れないまま終了
WRCの過酷さを知った初日

 タイヤチェックゾーンを過ぎればリエゾンである一般道を通ってSS1の鞍ヶ池公園内SSに向かいます。朝のシェイクダウンと同じコースですが、SS1はその逆走となります。17時過ぎのスタートで、今ラリージャパン唯一のナイトステージです。

村田選手と梅本選手をサービスパークから応援!

 車両とクルーがSSを走っている間、私はずっとサービスパークにいるので、いまいちラリーが始まったという実感が湧きませんでしたが、パブリックビューイング中の豊田スタジアム内の熱気やアナウンスの声、SNSでも盛り上がっていてなんだかワクワクしてきました。

 ところが、やはり過酷なWRCのラリージャパン。新井敏弘選手/田中直哉選手組のシトロエン・C3Rally2がクラッシュしたという情報が。コース上でリヤの挙動をコントロールしきれずに木に衝突、ロールケージがボディーとともに変形して、フルハーネスが後方に引っ張られたことで両名とも肋骨や鎖骨の骨折し、さらに両名とも意識不明。田中選手にいたっては、鎖骨1本肋骨11本を骨折し、その折れた骨が肺や肝臓に刺さる重傷だったそうです。2人はレスキューが近隣の病院のICUに緊急搬送しました。

 そこまでラリーに詳しくない私でも知っている新井敏弘選手のクラッシュにびっくりし、ラリージャパンの過酷さを改めて実感しました。もちろんはその後のSS1は結局ステージキャンセルに。村田選手と梅本選手は、1本しか走れないSS1をスルーして、そのままDAY1は終了となってしまいました。

WRCのタフさはまだまだこんなもんじゃありませんでした

 しかしながら、ここから日曜日のDAY4まではまだまだ長く、この先どんなトラブルが起きるのかやはりメカニック側として不安になります。今回の記事は事前準備からDAY1までをお伝えしてきましたが、次回はDAY2以降のラリーの様子をお伝えしますので、楽しみにしていてくださいね!

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