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量子は次のインターネット。政府が掲げる1000万人が量子技術を利用する環境とは

連載
大河原克行の「2020年代の次世代コンピューティング最前線」

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「量子未来社会ビジョン」に盛り込まれた想定外の環境変化

 量子未来社会ビジョンは、それから2年を経過し、量子コンピュータを支える基盤技術が想定以上のスピードで進化しているのに加えて、量子産業の国際競争の激化、コロナ禍によるDXの急速な進展、カーボンニュートラル社会への量子技術の貢献など、量子技術を取り巻く環境が大きく変化したことを受けて、2021年10月から、戦略見直しのためのワーキンググループをスタートし、そこでの議論をもとに、新たに策定したものだ。ここでは、ウクライナ情勢の影響によって、量子技術を経済安全保障上の機微技術と位置づけられるようになったこともスピーディーに反映した。

 従来の「量子技術イノベーション戦略」の策定時には、量子技術の実用化は、はるか先だと思われていたり、カーボンニュートラルへの量子技術の貢献といった議論はほとんど意識されていなかったりした。そして、ウクライナ情勢によって、経済安全保障の観点から量子技術の重要性は一気に高まったことも、この2年間の大きな変化だ。こうした想定外の環境変化が、「量子未来社会ビジョン」に盛り込まれることになったのだ。

 実は、ワーキンググループは、「量子技術イノベーション戦略」の見直しから議論をスタートしたものの、途中でその方向を転換。「量子技術イノベーション戦略」を保ちながら、新たに「量子未来社会ビジョン」を発表し、両輪で推進していくことにした。これは重要な意味を持つ。

 ワーキンググループでは、「量子技術イノベーション戦略」を技術戦略と位置づけ、「量子未来社会ビジョン」を出口戦略と定義。量子産業は、技術戦略と出口戦略との両輪で、あるべき未来社会の実現に向けて取り組みを推進していくことになるからだ。

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