数万円程度の完全ワイヤレスに搭載可能、解像感が高くクリアなサウンド
xMEMSのMEMSスピーカーのドライバーユニットにはいくつか種類がある。M1と呼ばれる第一世代の「Montra」およびM2と呼ばれる「Montra Plus」がフルレンジドライバー。最も小さな「Cowell」が2Way向きとなっている。
連載にも書いたが、ほかにも「ダイナミックベント」と呼ばれる、ベント穴をMEMSで開閉するユニットがMEMS技術の応用例として開発中だ。以前書いた時には、MEMSスピーカーと一体のように書いたが、別ユニットになるそうだ。そのため、これだけで既存のダイナミックドライバーと組み合わせることも可能となるだろう。また、実際の製品は今年の3月には出るらしいと書いたが、これは新型コロナなどの影響で遅れている。年末から来年初めまでには出てくるということだ。
取材では、開発中のユニットを用いたデモ機の試聴ができた。これはHeadFiの「CanJam」に出したものと同じとのことだ。
システムはイヤフォンの中にMEMSスピーカー(最新のM2モデル)を搭載し、基板は昇圧回路だ。PC側はUSB端子に小型のDACが挿入されていて、基板にアナログ入力している(黒いのは電池)。PC内部でイコライザーを設定しているということだが、これも完全ワイヤレスならSoCで完結できるだろう。
音は予想していたよりもかなりレベルが高く驚かされた。解像力が高くクリアなサウンドだ。さらに滑らかで、シリコンチップという点で予想していたようなドライで無機的な感じがしない。
このまま製品化しても十分に通用しそうだ。もし製品化するとしても数万円程度の完全ワイヤレスで実現できそうだともいう。それならばかなりコスパが高いと言っても良いようなサウンドだった。
日本でも来年のポタ研をはじめとして一般の人が聴いてみる機会も増えていくと思う。もしかすると来年が日本にとっては「シリコンドライバー」元年となるのかもしれない。
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