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PLATEAUで次の段階に進んだGIS。地理空間情報にさらなる使い道を

スタートアップ企業での開発事例【後編】

特集
Project PLATEAU by MLIT

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PLATEAUは最高におもしろい!

――PLATEAUを今後、どのような場面で活用していきたいかを教えてください。

高田:今回デジタルツイン渋谷のプロジェクトで使わせていただいたので、引き続き、こうした仕事があれば、さまざまな都市で使ってみたいということはもちろんあります。

 繰り返しとなりますが、PLATEAUは非常に使いやすいデータです。全部公開されているし、マニュアルも提供されています。我々としては、そのベースとなるCityGMLが持っている、さまざまな属性を活用した提案をこれからやっていきたいと思っており、私自身も勉強して使いこなせるようにしていきたいです。

――PLATEAUに今後期待することや、こうなるとうれしいなどがあれば教えてください。

高田:もともと私はUnityユーザーなので、PLATEAUレベルの街のデータがUnityの中で気軽に使えるというのは、もう最高におもしろいです。それこそ、地図メーカーさんのデータを使おうと思ったら、当然買わなきゃいけないわけですよ。それも結構なお値段で。

 本当により多くの方に使ってもらうためには、まず、その敷居を下げるという意味でも、SDKが出るといいんじゃないかなと思います。あとはやはりエリアですね。これはもう、皆さん、そう思っているのではないでしょうか。それこそ日本全国カバーされるようなデータになると、もう本当に最高ですね。

 それから、PLATEAUとほかのデータを活用するためのノウハウなど、そういうドキュメントが整理されるともっとユーザーさんが増えるんじゃないでしょうか。フリーのものとかでも十分使えるというのは僕自身もやっていますので。

自分の街をゲームの舞台にするところからでもいい! もっといろんな人が使うべき。

――関心はあるけれども、何か難しそうだなと思っている人たちはどこから始めればいいと思いますか?

沼倉:実際に使うことによって、「こういうことができるんだ」ということを体験してもらうのが大事だと思います。そうすると、これをやるためにこれが必要なんだと、モチベーション的につながっていくのではないでしょうか。

 そういう意味では、いかに最初のハードルを低くして、じゃあこれをもっとこういうふうにしたら、こんなふうになるんじゃないかみたいな、次に誘導できるみたいなもの――コンテンツとしてなのかサービスとしてなのかはわかりませんが――を用意するのが大事かなと思っています。

 冒頭でお話した通り、GISやWeb GISは本来いろいろな領域の方が使えるはずなんです。ただ、皆さん、使い方がわからないとか、「そもそもどうやってやるんだ」というところで行き詰まっている方がほとんどなので、そこを導いてあげるのが必要かなと感じています。

 PLATEAUのような新しいデータが出てきたのは、GISの利用を広げていくという意味では次の段階に進んだと思います。PLATEAUのCityGML自体はすごく使い勝手がいいので、あとは我々みたいなスタートアップなどが、いかにPLATEAUデータの使い方をみせていけるかが重要ですね。

高田:ひとつにはUnityでもいいですけど、エンタメでもいいと思うんですよ。そこでどんどんすそ野を広げていくというのは……。小難しく考えるとやはり難しくなっちゃうので、シンプルに自分の街を舞台にしたゲーム作れるというのでもいいと思うんですよね。

沼倉:この分野は、地理情報への理解やWeb GIS、3Dデータ処理などの複合的な知識がやりたいことによって必要となりますが、全部をカバーしている人はなかなかいません。何かひとつ特定のジャンルさえわかってもらえれば、そのほかの必要な知識は自分で学べるのではないかと思います。

 だから、楽しげなエンタメとかもあって当然しかるべきで、こんなことできると思うと、必要な知識を皆さん学んでいくのではないでしょうか。

高田:今はデジタルツインというマーケットが盛り上がってきているので、デジタルツインにおけるソリューションを示すことができるエンジニアの価値は大きくなっています。3D都市モデルを使えると、いろいろな仕事につながりますよ、という話になれば、みんなが普通に勉強するような時代になるかもしれません。

沼倉正吾(SHOGO NUMAKURA) Symmetry Dimensions Inc.(シンメトリー・ディメンションズ・インク) Founder, CEO
2004年、NASKERCRAFT Inc.設立、ゲームソフト及びクラウド映像配信サービス開発に従事。2014年、VRソフトウェア開発を専門としたDVERSE Inc.(現Symmetry Dimensions Inc.)を米国に設立。様々な企業とのVRに関する研究・共同開発を行う。最新テクノロジーを利用した新規事業の組織作りから企画、開発を専門としている。

高田知典(TOMONORI TAKATA) Symmetry Dimensions Inc.(シンメトリー・ディメンションズ・インク) CTO
東北大学大学院にて自律移動ロボットのための環境情報表現の研究で修士課程を修了後、1996年に日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(現 日立ソリューションズ)に入社。インターネットサービスプロバイダー向けシステムの開発やIoT関連の研究開発等にプロジェクトマネージャー/ITアーキテクトとして従事し、2007年に退職。以降、ネットベンチャーやオンラインゲーム運営会社における新規事業立ち上げ時の開発リーダーを歴任。2014年、創業メンバー/CTOとしてDVERSE Inc.(現 Symmetry Dimensions Inc.)に参画。

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