広域でのロボットシェアリング配送サービス、課題は運用効率・車道走行の受容性。京セラコミュニケーションシステムの挑戦
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一般車両の入り乱れる公道の走行、
駐車場での集荷・荷降ろしを検証
実証実験は、北海道石狩市石狩湾新港地域の工業団地内で2021年8月中旬~9月中旬にかけて実施。非対面・非接触での配送、利用者のサービス受容性、運営事業者のロボットのオペレーション、ロボットの遠隔監視状態での自動運転、通信環境などが検証された。
ルートは外周3キロのエリアで、片側1車線または2車線の一般車が走行する公道(車道)と、コンビニや宅配先の駐車場を走行する。交通規制はせず、公道や駐車場に一般の自動車やトラックが走行・停車している中で実証が行なわれた。
検証内容は、ロボットがコンビニや宅配業者の駐車場まで集荷に行き、発送者が荷物の積み入れを完了したら、ロボットは歩道を横断して車道に出て、届け先まで荷物を配達するというもの。荷物の預け入れや受け取りの確認、ロッカーの開閉はスマホアプリで管理する。
今回の実証では1台のみの走行だったため、ロボット同士の協調制御や運行管理については検証は行われなかった。また信号機のある交差点はルートに含まれず、住宅地の走行や個人宅への配達は行われていない。
安定した通信環境の確保、車道走行への受容性が課題
実証では1台のみの走行だったが、実サービスでは1つの地域に複数台稼働させ、各ロボットを複数社がシェアリングして効率的に運用することを想定している。配送サービスだけでなく、店舗のアプリなどと連携して移動販売として使うことも想定する。実導入には、必要な台数、1台をシェアする企業の数、商品の種類や大きさなどを具体化して、改めての走行確認が求められる。
課題としては、通信が不安定な場所があり、遠隔監視・操作への十分な通信環境確保が求められるという点だ。中長期的には新たな通信技術により、ロボットの安全性を向上する必要があるという。
また実験は、安全確保のためにロボットの前後を車両で挟む形で実施されたため、一般の車両が入り混じる公道や駐車場ではあったものの、完全な無人走行を実現するためには、今後も継続的な検証が必要となる。
最高時速15キロは、公道を走る車両としては低速で、ドライバーからは邪魔に感じられるかもしれない。サービス実装には、地域住民に好意的に受け入れてもらえるかが重要だ。社会受容性の検証のため、2022年度は生活者のいる地域で、複数台導入による実証を実施する予定だ。
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