メルマガはこちらから

PAGE
TOP

Web3での金融サービスの理想形と課題。キーワードは「救済」

「分散型金融はFinTechの本命となるか? 2032年、10年後の金融サービスを議論する」レポート

連載
JAPAN INNOVATION DAY 2022

1 2 3

 JAPAN INNOVATION DAY 2022 by ASCII STARTUPの中のセッション「分散型金融はFinTechの本命となるか? 2032年、10年後の金融サービスを議論する」では、後述で紹介する2人の有識者に、未来像や課題を存分に語ってもらった。議論のテーマとなった以下の3点に対して、本記事では、その内容を再整理してお届けする。(以下、本文敬称略)

●テーマ1:10年後(2032年)の金融サービスの理想形は?
●テーマ2:技術的には何が進化していると考える?
●テーマ3:既存の金融サービスと分散型金融は共存できる?

登壇した二人の有識者

銀行・証券・仮想通貨と数多の金融業界で活躍し、今はFintech、暗号資産、ブロックチェーン、その他スタートアップ企業に対するコンサルティングを行う。
株式会社finoject 代表取締役 三根 公博氏

Solana Japanをはじめ、Pancake SwapやRaydiumなど数々の大型コミュニティのマネージャーを務め、Web3やDeFiなどブロックチェーンを基盤としたサービスに期待感を持つ
Solana Japan Admin 毛利 元優氏

将来銀行の支店はなくなるが、残る対面サービスもある

――本日は有意義な議論をよろしくお願いします。まずは、未来の金融サービス像について、思うところを話してください。

三根:分散型金融がどれくらい既存金融に入り込んでくるかはさておき、駅前とかによくある銀行の支店がなくなっていくのは自明です。現金を使うのに、ATMだけは残るかもしれませんが、基本はスマホやそれにかわるデバイスがあれば、金融サービスが利用できますから。

毛利:実際、私はほとんど銀行にすら行きません。ネット銀行のサービスを使えば、いつでも振込できるし、ネット証券のサービスでいつでも資産形成できますよね。

――スマホが苦手といった技術的弱者がいる限り、対面サービスは残りませんか?

三根:2022年の今現在、ATMすら触ったことがない人がいるのも事実です。主に高齢者なのですが。人間には寿命がありますから、ATMが使えない。スマホが触れない。というような、オールドテクノロジーな人は淘汰されていきます。

毛利:一方で、不動産の鑑定とか、人の目でないと実現できないビジネスもありますよね。

三根:複雑な相談業務は、対面サービスとして残るでしょうね。例えば、住宅ローンの契約相談や、金融とは少し離れますが、弁護士への離婚の相談などがあります。 対面と言いつつ、ZOOMなどのオンラインの会議システムを使うかもしれませんが。

――対面×オンラインで、メタバース空間だと銀行の支店窓口サービスはできますか?

三根:今の技術のままだと無理だと思います。メタバース用のゴーグルは、解像度が上がってきて、使いやすくなりましたが、まだまだ現実感が足りません。

 そもそも、メタバースの中で、金融サービスを使いたいという行動要求が起こるかどうかですよね。メタバースって、恋愛とか人間が生身じゃないとできないことのほうが親和性があるので、金融サービス自体メタバースで実現するのは懐疑的です。

引用元:Meta Quest(https://www.oculus.com/) メタバース空間に接続する端末として使うヘッドセットの例。写真はQuest 2(Meta Quest社)。解像度が、片目あたり1832 x 1920と、フルHDのディスプレイ並みだが、三根さんは、まだまだ現実感は足りないと指摘する。

1 2 3

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー