このページの本文へ

介護・福祉業×LINE WORKS 第22回

LINE WORKSで介護現場の課題解決! 病院内の情報共有ツールとして定着させるノウハウ

2022年01月26日 10時00分更新

文● Sixpence

提供: ワークスモバイルジャパン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

これからICTを導入しようとしている介護施設・事業所にうってつけなツールがLINE WORKSだ。導入企業はすでに35万社以上という国内市場でトップシェアのビジネスチャット(※)だ。介護業界でも導入する施設・事業所が増えていて、介護スタッフの募集や定着にも効果アリという声もある。今回は、導入したLINE WORKSを職場に定着させた担当者に話しをうかがいながら、そのノウハウを紹介しよう。

※富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2018~2021年版」調べ

LINE WORKS導入後、どのように運用・展開すれば、定着に成功するのか、重要なヒントを与えてくれるのが埼玉県狭山市の地域医療を支える医療法人社団清心会至聖病院の事例だ。導入を進めた事務管理部事務次長の大橋功さんにポイントをうかがった。

医療法人社団清心会至聖病院 事務管理部事務次長の大橋功さん

抵抗なく受け入れられるとすれば、LINE WORKS一択だった

 

──LINE WORKSを導入された経緯からお聞きしたいと思います。

言うまでもなく病院内の情報共有は重要です。内線もあり、電子カルテは院内ネットワークで構築しています。そんな中、LINE WORKSを導入したきっかけは、当病院が新型コロナウイルス感染症の陽性患者が入院する指定病院となり、その対応のためです。内線や人伝いでは病院内に点在している部署に連絡が行き渡るまでに時間がかかりますし、日々更新される情報が回りきらず、正確さも担保できません。うまく情報を共有しなければ業務に円滑に回らなくなり、支障をきたしかねないと考えました。

──ツールとしてLINE WORKSを選択された理由は。

使いやすくて、すべての職員に受け入れられやすいコミュニケーションツールは何か、という観点から選びました。プライベートで職員のほとんどがLINEを使っていて、日常に浸透していている延長線上のツールということで、UI(ユーザーインターフェース)の面で、みんなが抵抗なく受け入れられるとすれば、LINE WORKSしかない、と思いました。
 

LINE WORKS利用のルールづくり


──LINE WORKSを浸透させるためどのような方法を講じましたか。

LINE WORKSを利用開始したのは2021年2月29日です。当初は、発熱患者や陽性者を受け入れるための情報共有という目的がありましたので、関連する7部署の利用に絞って導入しました。要配慮個人情報を扱う医療機関ということもあって、職員はグループウエアを利用するという感覚に慣れていないため、最初に簡単な研修を行いました。またLINE WORKSというツールに慣れてもらうため、基本的なルールをつくりました。例えば、重要なこととして、メッセージのやり取りで作業中の手を止めない、などです。

また、トークルームでは「既読」が付けば、情報を受け取ってくれたいことはわかるので、「了解です」といった返事もしなくてもいいことにしました。儀礼的なことを持ち込むのも止めようと、「おつかれさまです」といった前置きは省くことにして、「今いいですか?」というフレーズも使わなくていいということにしました。トークは「今いいとき」に見るものですから。メンション(@)も「さん」付け不要としています。こうしたことに慣れてきたのか、職員はみんな、要件を端的に伝えることがうまくなった気がします。

 

──デジタル機器を苦手とする職員についてはどのような工夫をされましたか。
 

病院はICTのリテラシーが高い職員ばかりいるわけではありません。その点、LINE WORKSは柔軟な使い方が可能で、PCの入力が難なくできる職員は、ブラウザー版で利用すればいいし、場合によっては紙にメモ書きしてスマホで写真を撮ってそのまま送ることもできます。病院の業務では、問診票や受診表など手書きの文書を大量に作成します。通常ペーパーレス化というと、これらすべてをデジタル変換し、クラウドに入れて、という発想になりがちでしょうが、こうした試みは現場では頓挫しがちです。当院では扱う情報ごとに、これはデジタル化が適している、これは紙でいい、これはどちらでもいい、ということを職員に明示しました。グレーゾーンも設け、デジタルが苦手な人も対応できるよう、いわば逃げ道を作ったことも浸透した理由として大きかったですね。
 

情報の水平展開に最適のツール


──LINE WORKSでの情報共有は具体的にどのように行っていますか。

院内で共有するコロナ関連情報の項目に、医務課からの陽性患者や発熱患者の来院情報があります。対象患者が来院されることを全員が知れば、不用意に職員が接触してしまわないように予防できますし、どのような症状の方が何時に来院するか周知されていれば、検査スタッフが何人待機していればいいかといったことが分かり、余裕を持って準備できるわけです。このほか、放射線科からの陽性患者の検査の開始や終了の通知、看護部からの入院情報などを共有しています。情報は5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)にのっとって共有用のトークルームに載せます。


開始当初の情報共有範囲
提供:医療法人社団清心会至聖病院

 

──そのほかの利用法は。
 

新型コロナウイルス感染症が広がったときに、どのような病気なのか、どうすれば予防できるのかなど、患者さんから様々な質問を受けるようになりました。医療機関として個々の職員に回答を任せたとしても、誤ったことを伝えるわけにはいきません。それには正確な最新情報を全職員に伝える必要がありますので、エビデンスに基づく情報を医師の知見を通したうえで要約し、LINE WORKSで職員にリアルタイムで水平展開することにしました。情報を速やかに全員で共有するうえで最適なツールだと実感しています。

──「トーク」以外の機能も利用していますか。

保健所からの通達など情報量の多い文書は、「掲示板」に載せるようにしています。「カレンダー」機能はワクチン接種の予約枠に活用しています。また動画の共有に対しても便利です。数千人にワクチン接種をするにあたり、手順書を作ることになったのですが、文書のマニュアルではなく、手順を解説した動画を撮ってLINE WORKSの掲示板に載せることにしました。具体的な動きも伝わりますし、いつでもどこでも手順を確認できます。

──導入の成果についてどのように総括されていますか。

当院では現時点(2022年1月現在)まで入院患者と職員の感染はゼロです。LINE WORKSによる対応も含めた感染防止の取り組みの、何よりの成果と誇りに思っています。
 

利用目的を絞り込んだことが大きかった


──今後の取り組みについてお考えは。

現在、すべての部署で利用していますが、院内のコミュニケーションが世代や階層、部署を越えて円滑になったように感じます。想定していたより使用頻度が高くなったことから、2021年6月にフリープランからライトプランに切り替えました。容量の大きなファイルや画像、動画なども気兼ねなく送れるようになりました。複数人でのビデオ通話も可能なので、院内カンファレンスなど密を避けて開催できます。

──改めてLINE WORKSを定着させるためのポイントをお聞きしたいと思います。

スタート時点でLINE WORKSを何のために使うか、利用目的を絞り込んだことが大きかったですね。目的が「コミュニケーションを豊かにする」といった抽象的なことではイメージがぼやけてしまいます。スピーディな定着を図るうえで重要なのは、職場で課題になっていることは何か、改善するため、LINEWORKSをどのように使うか、これを明確にすることです。



なお、ワークスモバイルジャパンでは、医療法人社団清心会至聖病院の大橋功さんが登壇する「有事にも役立つ!院内の情報共有を仕組み化するメリットとコツ」オンラインセミナーを開催する。

 

本記事について深く学べる機会。是非視聴いただきたい(もちろん参加無料)。

次回は、利用者や外部業者とのやりとりが多いケアマネージャーのLINE WORKSの活用について紹介する。
 

カテゴリートップへ

この連載の記事