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介護・福祉業×LINE WORKS 第19回

LINE WORKSで介護現場の課題解決! ハラスメント対策強化に活用

2021年11月10日 10時00分更新

文● Sixpence

提供: ワークスモバイルジャパン

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これからICTを導入しようとしている介護施設・事業所にうってつけなツールがLINE WORKSだ。導入企業はすでに30万社以上という国内市場でトップシェアのビジネスチャット(※)だ。介護業界でも導入する施設・事業所が増えていて、介護スタッフの募集や定着にも効果アリという声もある。今回は、LINE WORKSを介護現場のハラスメント対策強化に活用した事例を取り上げる。なお、本事例は11月12日から開催されるオンラインイベント「LINE WORKS 2021秋 介護の新常識 学びウィーク」でも詳しく紹介される。

※富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2018~2021年版」調べ

注目されるLINE WORKSを活用したハラスメント対策

 

ハラスメントが社会問題化する中、令和3年度介護報酬改定は、すべての介護サービス事業者に適切なハラスメント対策を求めるとともに、カスタマーハラスメントについても防止のための方針の明確化などの措置を講じることを推奨するものとなった。

介護職場におけるパワーハラスメント、セクシャルハラスメントは退職にもつながる深刻な問題であり、どのような対策が有効なのか、悩んでいる施設・事業所は多いことだろう。参考にできる事例にはどのようなものがあるのか?

名古屋市を拠点に介護付き・住宅型有料老人ホームやグループホームなど10施設を運営する株式会社メグラスは、LINE WORKSを活用したハラスメント対策で注目されている。同社で人事採用や定着支援、社内外広報担当する浅井有希子さんにうかがった。

「アンケート」機能で実態を把握

── 介護現場におけるカスタマーハラスメントの実情について教えてください。

常態化を示すデータがあります。株式会社三菱総合研究所が平成30年度に実施した「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究事業」の実態調査によれば、調査対象の2,155件の介護事業所の半数以上が、1年間以内に「ハラスメントの発生を把握している」と回答しています。さらに、入居者や家族からハラスメントを受けたことにより、けがや病気になった介護スタッフは約2割。仕事を辞めたい、と思ったことのある介護スタッフは最大4割となっています。

介護現場におけるハラスメントには、殴る、つねるような身体的暴力、威圧的に暴言を吐くような精神的暴力、セクシャルハラスメントがあります。もちろん、認知症や病気などの事情に配慮し、ハラスメントに該当する行為かどうかは慎重に検討されるべきですが、問題は、介護業界全体がこうした事実を「当然存在するものである」と黙認してしまっていることです。

資料提供:メグラス(以下同)

 

── メグラスでハラスメント対策に取り組まれた経緯は。

5年前、施設入居者のハラスメントを理由として多くのスタッフが退職するという事態を経験しました。これが一つのきっかけとなり、社内で「ハラスメントを仕方ないものとする介護業界の『悪しき当たり前』を何とか変えたい」「特定の利用者のむやみな要求に過剰に対応すれば他の利用者へのサービスが疎かになる」「会社として正面から向き合い、解決できる仕組みを作ろう」といった声が上がったのです。これを受け、昨年12月、代表を含む9人のメンバーでプロジェクトを立ち上げました。はじめにLINE WORKSの「アンケート」機能を使ってスタッフに実態調査を行い、これをもとに議論を重ね、2021年4月に正式にリリースしたのが「スタッフプロテクション制度」です。

LINE WORKSをホットラインに活用した「スタッフプロテクション制度」を開始

── 具体的にはどのような仕組みですか。

LINE WORKSのアンケートで集めた実態調査の結果をもとに、介護スタッフに対する言動を「青:正当なご指摘」「黃:過剰なご要望」「赤:ハラスメント」の3段階に振り分ける基準を策定しました。

 

ハラスメントと感じる言動があった場合、スタッフはホットラインとして設定しているLINE WORKSの報告フォームで報告します。この報告フォームは、LINE WORKSのAPIを活用し独自開発したトークBOTにスタッフからチャットを送るという仕組みです。報告はBOTを経由してすぐに人事部門に共有されるので、速やかに対応することができます。

報告を受けた人事部門は、報告受信後24時間以内に基準に照らして「青」「黄」「赤」に判断します。関係者と連携して速やかな事実確認や対応が必要となるので、人事部門が事案ごとにLINE WORKSの「グループ」を作成し、関係スタッフや、ご家族とやり取りをする営業相談員などの関係者と情報共有します。また、当事者の面談なども実施し、3日以内に詳細な事実確認を行います。この際、LINE WORKSの「ノート」機能を利用することで、面談のメモや入居者の情報などを蓄積できるので大変便利です。

 

──判断後の対応はどうするのですか。

審議を経て、最終的に「黄」と判断したら、ご本人やご家族に、我々が提供可能なサービス内容や範囲などをについて改めて説明するなどの対応を行います。判断が「赤」だったら、臨時の経営会議を開催して対応を検討し、特に悪質なハラスメントと判断した場合、退去を含めた厳正な対処を実施します。
 

──解決に至るまでの流れの各段階でLINE WORKSの機能を活用されているのですね。

LINE WORKSを活用することで生産性を一気に上げられることを実感しています。当事者であるスタッフが気軽に声を上げやすくなりましたし、個別の事案ごとにグループを作るので情報の整理が容易になります。また物理的に距離が離れている人事部門と施設間の連携がスムーズになり、関係者がタイムリーに情報共有することによって迅速な解決が可能になっています。

制度を知ってスタッフ募集に応募する人も

 

──LINE WORKSを利用した「スタッフプロテクション制度」導入の成果は。

2021年4月1日の正式リリース後、「赤」として報告されたのはセクシャルハラスメントが2件、暴力が1件です(8月現在)。このうち2件は改善策を実行中で、1件は5年間も続いたセクシャルハラスメントという深刻な内容だったため、弁護士にも入っていただき、退去勧告を行いました。人事部門の一員としては、5年もの間、何もできていなかったことにショックを受けましたが、同時に、これを突き止めることができたということで、制度の有効性が証明されたものと捉えています。
 

──スタッフのみなさんの反応はいかがですか。

制度の導入後、スタッフから「どこから先がハラスメントか悩まなくなった」「会社に守られていると実感できた」など、うれしい声が寄せられています。この制度を活用し、スタッフを守り、職場環境を整えることで、介護サービスのさらなる品質向上に努めていきたいです。

メグラスではステッカーで社外啓蒙も行っている。メグラスのHPより

 

メグラスの人材募集の応募者には「スタッフプロテクション制度」があることを知って希望した、という人もいるという。人材確保や定着にもつながる効果的なハラスメント対策を検討しているのであれば、LINE WORKSを活用する同社の取組をぜひ参考にしてほしい。

■次回は、11月よりLINE WORKSとのシステム連携を実現した介護記録ソフト「ケアコラボ」の活用例を取り上げる。

ワークスモバイルジャパンでは、介護・福祉従事者向けに、11月12日(金)から10日間に渡ってオンラインイベント「LINE WORKS 2021秋 介護の新常識 学びウィーク」が開催される。イベントではBCP対策をテーマにした数多くのコンテンツが無料で聴講でき、本事例の動画も紹介されている。詳細・申込はこちら

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