このページの本文へ

さわってわかったLINE WORKS

「なんだ便利じゃないか」と思ってもらえる使い方の提案が重要

現場の雰囲気をくみ取り、職人たちにLINE WORKSを使ってもらった第一建工

2021年07月19日 10時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 第一建工は1987年に創業した電気設備工事会社で、2020年4月にLINE WORKSを導入した。新型コロナウイルスの影響というだけでなく、その前から導入を検討していたそう。今回は、ITが苦手な人の多い職人さんたちを多く抱える会社が、どのようにしてITツールを導入し、コミュニケーションに役立てているのかを工務部主任の矢代紘一氏に伺った。

第一建工 工務部主任 矢代紘一氏

新型コロナウイルスの影響で社内コミュニケーションに大きな課題が

「私たちは30人そこそこの会社ですが、本社にいるのは5~6人です。他は現場に出ていて、協力会社さんも含めると80人以上が稼働している状況です。本社機能はあるのですが、それぞれと連絡する手段が確立できていませんでした。今までは、メールや電話をしていたのですが、それだと連絡が一方通行で、相手が理解しているのかどうか分からないという、もやもやを感じていました」(矢代氏)

 矢代氏はこう語る。コロナ禍以前から、一緒に動いているのに1~2ヵ月も顔を合わせない人はざらにいたという。普段から顔を合わせて会話していれば、ニュアンスも伝わるが、メールや電話だけでは難しくなっていたのだ。

 そこで矢代氏は、2019年後半からビジネスチャットを検討し始めた。そうこうしていると新型コロナウイルスが広がり始め、もっと状況が切迫してきた。社内のコミュニケーションを密にしないと、仕事が回らなくなる恐れが出てきたのだ。

 複数のビジネスチャットサービスを比較したところ、LINE WORKSなら導入のハードルが低いことがわかった。同社の平均年齢は50歳近く、デジタルやITツールの経験に乏しいシニア層のスタッフもいる。「ビジネスチャットなんて急に言われてもわからないよ」と拒否されたのだが、その人に話を聞くと、孫とLINEはしているという。これならLINE WORKSでも使えると考えた。

 もう一つの検討ポイントがスマホアプリの完成度。同社は従業員にスマホを貸与しており、スマホアプリでいかに完結できるのか、がポイントになっていたそう。LINE WORKSの場合はスマホアプリでほとんどすべてのことができるので、その点も好感触だった。そこで、LINE WORKSのトライアル導入を行なった。事務所と現場1つでLINE WORKSを使ってコミュニケーションすることにしたのだ。

「LINEとほとんど同じだから、とりあえず、やってみようよ、となだめながら導入しました。すると、写真が使えたり、既読がわかったり、と大きなメリットがあることがわかってきました」(矢代氏)

 矢代氏は特に社内での情報共有手段として「掲示板」機能が気に入ったようだった。そこで社長に提案し、2020年4月に本格導入した。

コミュニケーションが難しい職人とLINE WORKSで情報を共有する

「建設現場特有の課題かもしれませんが、働いている人の年齢層が高い傾向にあり、気が短い方がいらっしゃいます。私は以前IT系の営業をしていたのですが、建設業界に入ってまず驚いたのが、これまでの会話では成り立たないことです」と矢代氏は苦笑いした。

 大きな現場では移動距離が長くなる。よく職人さんから道具を持ってくるように指示されるそうだが、地下1階から地上10階まで階段で持っていくのは時間がかかる。それなのに、電話で「先が長くて丸まってて黒いヤツ」と指示され、持っていくと「違うよ馬鹿野郎!」と怒られてしまい、取りに帰るとまた時間を無駄にしてしまうことになる。しかも、この指示の仕方も、職人が10人いたら10人とも異なっているそう。

 そこでLINE WORKSで現場のグループを作り、「この工具でいいですか」と写真を送ってみた。この段階で確認してもらえば、ミスを回避し、時間を無駄にしなくて済む。メリットが大きいのは明らかだ。しかし、新しいITツールの導入時には反発が起きるのもよくあること。

写真で確認すれば一目瞭然(画面提供:第一建工)

「ITツールを入れることで、社員を監視、管理するんじゃないか、と言う声が一番多く出ました。あと、総務などの事務所側が楽をしたいからやりたいんだろう、と。「お前らのためには入れたくない」と直接言われることもありました」(矢代氏)

 そこで矢代氏はまず実績を作ることにした。何か1つでもいいから、「なんだ便利じゃないか」と思ってもらえる使い方を提案することにしたのだ。30人いたら、30人の「なんかいいじゃん」があっていいと考えたそう。そして、そのいいことを2つ3つと重ねていき、LINE WORKSを使うきっかけにした。

 たとえば、作業中に電話されるのは時間がもったいないから嫌だ、という人には、「LINE WORKSでまとめて書いて送るので、手が空いたら読んで電話ください」と伝えた。昔あったポケベルのような使い方だ。

 返信がLINE WORKSでなくても全然構わないという。LINE WORKSによって、仕事の話が宙ぶらりんにならず、とにかく進むことが重要だと考えている。もちろん、備忘録としてテキストに残しておきたい気持ちはある。そんな時は、電話で話した内容を確認として、矢代氏から送信するという。一手間かかるが、これで言った言わないのトラブルも回避できる。

 現場で図面を見たいとか、事務所で現場の雰囲気を確認したいという課題も解決できた。担当者の手元にある図面をスマホで撮影し、丸で囲んで送信し、「ここのこれどうなってますか?」と気軽に尋ねられるようになった。逆に、現場とビデオ通話で接続して、作業環境をリアルタイムに見ることもできる。

「メールだと、メールソフトをいちいち立ち上げて、添付する写真を探して、届いた人はそれを開いて、この前のメールって何が来ていたっけ、と遡って探したりする手間があります。LINE WORKSだとそのまま振り返りができるのはすごく楽ですね」(矢代氏)

かゆいところに手が届くLINE WORKSの機能

 同社では、以前から社内向けのメールマガジンで現場の動きや会議の日程などの業務連絡を配信していた。この情報もそのままLINE WORKSに掲載した。LINE WORKS上のタイトルも「メルマガ」のままにしているのも、ユーザーを混乱させないための工夫だ。

 すでに190回分が投稿されているが、LINE WORKSなら遡って閲覧するのも簡単。メールだと、いつ来たのかがわからず、探すのに手間がかかってしまうこともある。

「建設業界では安全周知事項がいろいろな会社から定期的に届くのですが、その周知にも使っています。上からきちんと周知しているのか、と言われたときにも答えられます」(矢代氏)

安全周知事項も掲示板で掲出(画像提供:第一建工)

 既読機能も重宝している。例えば、工具の確認で写真を送信した場合、既読になればOK。その人は未読でもペアで仕事をしている人が既読になれば、いいんだな、という判断材料になる。未読のままなら、電話をするという判断になる。

「メールのように見たのか見ていないのかわからないと、判断できずに困るので、LINE WORKSはありがたいですね。とてもヘビーに活用しています」(矢代氏)

 現場の安全や品質を管理するため、ビデオ通話で雰囲気を見たい、ということがある。しかし、画質が悪いと、もっと寄ってと頼んだり、写真に撮って送ってくれ、という手間が発生する。従来は高画質な他のビデオ会議ツールを使っていたそうだ。現在は、2021年2月にLINE WORKSがアップデートし、ビデオ通話の画質が向上したので、現場確認ツールや社内会議で利用することを検討しているという。

「建築業って現場ありきです。すべては現場で話がはじまって、現場で解決していきます。そのため、現場の雰囲気をいかにくみ取るかというのがすごく大事になります」(矢代氏)

 社外の取引先とも外部連携でつながり、情報の共有が進んでいる。職人とのやりとりや発注もLINE WORKSで行なっているところもある。職人がカタログの商品を丸で囲み、スマホで撮影して、「これでよろしく」と注文できるのがとても便利だという。

カタログの注文も容易に(画像提供:第一建工)

 事務所サイドとしても、購買部のような仕組みになるし、検品も行なえる。お金の計算もリアルタイムで見られるので、後日想定外の請求書が来てトラブルになることもない。

「取引先のみなさんも最初は半信半疑です。取引先がいくつもある中で、この会社のこの現場だけこれ使います、って言われても、LINE WORKSを知らない私だったら断ってしまうかもしれません(笑)。トライアルでゆるくはじめることで、今につながったのだと思います」(矢代氏)

 現在では、程度の差はあれ、ほとんどの人がLINE WORKSを活用しているそう。今後は、他の取引先とも外部連携を進め、さらにLINE WORKSを使って密なコミュニケーションを実現してきたいと、矢代氏は締めてくれた。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事