●UQモバイル「サブ扱い」は失礼
ちなみに、iPhone 12が出たばかりのauは、5Gによる「使い放題」を訴求している。
髙橋社長は「5Gは基本的には使い放題のほうへ一生懸命、誘導していく。5Gのユーザーは結構な確率で使い放題のデータMAXプランを選んでいる。さらにNetflixやYoutube Premiumなどの利用料をバンドルしているけど、このパートナーはまだまだ広げるつもり」だという。つまり、auは5Gの使い放題プランにシフトしていくキャリアになっていくというわけだ。
一方、10月1日からKDDIでは、別会社のUQコミュニケーションズが手掛けていたMVNO事業である「UQモバイル」を引き取った。これによりauブランドとUQモバイルブランドの2つを展開することになる。
髙橋社長は「今回、UQモバイルをMNO化したというのはお客さんにとって、とてもわかりやすくなると思う。ブランドを2つに分けて、ターゲット別に展開していく。
ここ数年、auのユーザーも格安スマホのほうに流れていってる。だからやっぱり安いところを選ばれる方は格安スマホに行かれてしまう。
でも一方で、やっぱりサービスがもうちょっと充実してほしいなと思う人はauに戻ってこられる。この行ったり来たりできるのが良くて、それをマルチブランドでカバーできるっていうのが今回の戦略」と語る。
つまり、ソフトバンクというメインブランドとサブブランドのワイモバイルという関係かと思いきや、髙橋社長は「関係は一緒でもサブブランドとは言わないでほしい」と反論する。
髙橋社長は「だって、UQモバイルの連中は、自分たちの良さっていうものを、これまで散々、ベンチャーっぽくつくってきた。彼らがKDDIに入ってきたからといって、サブという扱いにするのはあまりにも失礼じゃないですか、って僕は思っている。社員に対するメッセージでもありますよね。auは別にメインでもなくって、UQはサブでもない。あるターゲットに向けたメインブランドUQモバイルと、あるターゲットに向けたメインブランドauっていうという棲み分けに過ぎない」というのだ。
現在、UQモバイルには月額3480円(通話パック込み)で12GB使えるプランが存在する。このプランを20GB使えるようにして値段を据え置きにすれば、菅首相がお望みの「国際的に遜色のない大容量プラン」が完成する。
auは5Gで使い放題、UQモバイルで大容量で安いという棲み分けも可能になりそうだ。

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