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IoT Maker's Project

IoTモノづくりのアイデア求む 北九州は完成まで支援する

2020年08月03日 06時00分更新

文● 文● BookLOUD 根本 編集●ASCII STARTUP

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過去採択チームのリアル体験談

 今回のパネルディスカッションは、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 九州地区担当の浅野 泰輔氏(以下浅野氏)をモデレーターに、2017年に事業アイデアが採択された株式会社トレッタキャッツCPOの平畑 輝樹氏(以下平畑氏)と2018年に採択された株式会社nanoFreaks CTOの成田 浩規氏(以下成田氏)を加えた3名で行なわれた。

 トレッタキャッツ社は、猫の健康管理を目的としたスマートねこトイレ「toletta」の開発・販売を行っている。猫がtolettaを利用すると、画像認識によってどの猫が利用したのかを判別すると同時に、猫の体重と尿の量を測定し、クラウドにデータをアップロードする。このデータはスマートフォンで確認することもできる。

 アップされたデータをスコアリングした後、トレッタキャッツ社の獣医師が分析し、病気の懸念がある猫の飼い主に対してアラートを送る。このアラートによる病気の検知率は97.5%を記録しており、多くの飼い主が愛猫の病気を早期に発見できるようになっている。

 nanoFreaks社が開発しているのは、漁船などからの転落事故発生時に救難信号を送ってくれるデバイス「yobimori」だ。応募時には会社組織ではなく大学生数名によるチームであったが、昨年株式会社を設立し、資金調達も成功して量産に向けた開発を加速させている。

 1人しか乗っていないような小さな漁船で転落事故が発生した場合、これまではそれを本人以外に知らせる手段がなかった。そのため発見が遅れ、犠牲者が出てしまうことも少なくなかった。yobimoriはこれを解決するために、起動したらその位置情報をすぐに漁協や海上保安庁、近隣の船に発信する。最近初受注を獲得したとのこと。

どうやって作る?どこに頼んだ?

浅野氏:まず、プロジェクトに応募したときに、IoTの開発の経験やノウハウがあったのか。もしなかったら、どうやって作ったか、どこに頼んだか、を教えてください。

平畑氏:tolettaの開発は会社で行なっていたので、メンバーはそれなりにいたが、IoTをやるにはハードもソフトもやれなくてはいけない、基盤もやれなきゃいけない、もしかしたらアプリも作らなくちゃいけない。サーバーのエンジニアも必要ということで、そのすべてをカバーするほどのリソースはなかった。

「IoT Maker's Project」はプロがいるというところが珍しく、ウチに足りないリソースをここで補えたというのが大きかったと思う。これから応募する人は、プロがいるのが強みだから、どうやって作るのかを心配せずに、まずは応募するというので良いのではないか。

浅野氏:ソフトとかハードとかのなかで、どこを一番メンターに頼ることになりましたか?

平畑氏:toletta自体が非常に大きいので、これをどうやって作るのかということが一番問題だった。最終的には3Dプリンターで作ったが、あの大きさのものを作れる3Dプリンターを持っている業者を探すところをサポートいただいた。それとtoletta本体を動かす組み込みソフトを作るリソースがなかったので、北九州高専のチームとやらせていただいた。

浅野氏:つづいて成田さんいかがでしょうか?

成田氏:当時は学生で、授業を受ける傍ら北九州に足を運んで開発をしていた。IoTでものづくりをやろうとすると、ソフトやハードで専門家が大勢必要になる。しかし「IoT Maker's Project」なら、自分たちのアイデアが本当に実現できるかはプロジェクトの中で試せる。足りない知識はメンターからもらえるし、Next Technorogyさんにお願いしたりもできる。なのでプロトタイプを作るだけなら学生の中から手を動かすリソースを見つけてくれば十分。

浅野氏:採択されたときと、最終的なプロトタイプとは全く違うものになっていますが、なぜ海難救助デバイスに行きついたのでしょうか?

成田氏:最初に提案したアイデアと今作っている海難救助デバイスは全く違うものだった。そこからリサーチしたり、メンターに話を聞いてもらったりしていく中で、もっと自分たちの原体験に迫ることをやろうという話になった。チームのメンバーで原体験を出し合って、その中でIoTと繋がるものをピックアップし、そこから発展して今の形になった。

浅野氏:メンタリングをしていく中で、それでいいのか、それにワクワクしてやっていけるのか、といったことを詰めていく中で変わっていったという例ですね。

「熱意」と「アイデア」以外に必要なものは?

浅野氏:つづいて「熱意」と「アイデア」以外で必要なものという点ではいかがでしょう?

成田氏:なんといっても行動力だと思う。ものを作っただけでは、それが本当に欲しかったものなのか、本当に使えるものなのかわからない。作ったらそれをお客さんのところに持っていって、本当に欲しいものなのか聞かなくてはいけない。そういう行動力が必要。北海道から長崎くらいまで転々と漁師さんにインタビューに行きました。

浅野氏:ものを作るだけじゃなくて、作った後のことまで考えて動かれていたのが印象的でした。

平畑氏:人と人とのつながりが重要だと思う。IoT商品は絶対に一人ではできないので、多くの人と関わらなくてはいけない。大勢の人に協力してもらわなくてはできない。特に北九州には熱い人が多いなと「IoT Maker's Project」に参加して感じた。ぜひ参加して、行動して、いろんな人とコミュニケーションをとってもらえればと思う。

浅野氏:トレッタキャッツさんは神奈川にオフィスがあるが、そこから北九州のプロジェクトに参加して、なにか面白いこととかなかったか。

平畑氏:今の製品は猫の健康管理に特化しているが、「IoT Maker's Project」に応募したときは自動清掃トイレをコンセプトにしていた。そこからプロジェクトの最中に方針転換して健康管理に特化することにした。「IoT Maker's Project」以外のプロジェクトの中には途中での方針変更が難しいものもあったりするが、北九州さんは柔軟に受け入れてくれた。そこが一番印象深かった。

「IoT Maker's Project」を使い倒す活用ノウハウ

浅野氏:今「IoT Maker's Project」に応募するならこうする、みたいなことがあれば教えてください。

平畑氏:応募したときには、我々のプロジェクトを理解してくれるパートナーを見つけたいという思いが一番強かった。量産を視野に入れていたので、そこを手伝ってくれるメーカーを見つけたかった。紹介してもらった社長さんから次の社長さんを紹介してもらい、さらにそこから別の会社を紹介してもらい、みたいなところが大変ありがたかった。ぜひそういうところは利用してもらいたい。

また、メンターからの意見で軌道修正したところもあるので、メンターに疑問をぶつけてみるのは重要だと思う。

成田氏:「IoT Maker's Project」を使い倒すというより、事務局を使い倒すのが大事だ。北九州市のつながりはすごく広くて、漁師さんや海上保安庁までつないでいただいた。ただの学生では門前払いになってしまうだろうが、北九州市が挟まることでそれを越えることができたのが非常に良かった。

情報も大事だ。我々は学生だったからビジネスもモノづくりも何もわからなかった。しかしその道のプロの方々がメンターや支援チームに入っているので、どう聞けばいいのかすらわからない状態であっても質問をぶつければ答えが返ってきた。

つながりと情報を引き出す努力をすることが「IoT Maker's Project」の活用ノウハウかと思う。

浅野氏:nanoFreaksチームは毎週のように事務局に来ていましたし、その熱量とか行動力が結果に結びついたのかなと思います。また、nanoFreaksチームは昨年資金調達をしていましたが、その中にメンターの岩田さんが入っていましたね。

成田氏:「IoT Maker's Project」がきっかけになって、岩田さんに投資をしていただけた。そのお金を開発資金や量産に向けての準備金にしている。

参加して良かったこと

浅野氏:「IoT Maker's Project」に参加して良かったことは何かありますか?

成田氏:最初は軽い感じで応募した。その結果、大学より大切なものができてしまった。人生が変わってしまった。そういう体験が学生のうちからできるということが、こういう場しかないと思う。東京の方の大きなハッカソンなどより、「IoT Maker's Project」は長期間に亘ってメンタリングもしてもらえるし、非常に良いチャンスだと思う。

平畑氏:「IoT Maker's Project」に参加することによっていろんなつながりができた。ビジネスが加速した。アイデアを形にするのはモノづくりにおいて非常に大きなハードルだから、ぜひこれに参加して、最初の試作を完成させてもらいたい。どうやって作るのかなどを深く考えずに、どんどんアイデアを応募して欲しい。

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