最新パーツ性能チェック 第299回
Comet Lake-SのポイントであるPL1設定別の挙動や性能も詳しく解説
Core i9-10900Kを筆頭に第10世代Core超徹底検証!Ryzenよりもゲームで強いって本当?
2020年05月26日 14時00分更新
動画エンコードもコア数の前に……
続いては動画エンコード系処理で比較してみよう。今自作PC市場には最大64コア/128スレッドのCPUまであるが、動画エンコードに関して言えばコア数があまり多すぎても扱いきれないことのほうが多い。10コア/20スレッド程度のCPUのほうが無駄なく使えそうだ。
まずは「Handbrake」を利用し、4KのH.264動画(再生時間約5分)をフルHDのMP4もしくはMKV形式に変換する時間を計測する。コーデックや画質設定はプリセットの「(H.264)Super HQ 1080p30 Surround」「H.265 MKV 1080p30」「VP9 MKV 1080p30」を使用した。
Core i9-10900Kは10コアすべてに負荷がかかっている時でも4.9GHzで動作可能だが、エンコード作業に関しては12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xに1分42秒~2分39秒も差をつけられている。同コア数のRyzen 7 3800X対Core i7-10700Kでは1分程度のビハインドで収まっているが、やはり物理コア2基の差は大きかったと見るべきだろう。
続いては「Media Encoder 2020」でのエンコード処理速度を比較する。「Premiere Pro 2020」で再生時間約3分半の動画を作成し、それをMedia Encoder 2020にキュー出しして1本の4K MP4形式に出力する際の時間を比較する。コーデックはH.264がVBR 80Mbps、H.265がVBR 50Mbpsとなる。最近NVEncに対応したことで話題を呼んでいるが、今回はCPUのみでエンコードさせた(いずれも1パス)。
Handbrakeほどではないにせよ、こちらでも第10世代Coreプロセッサーは同等クラスのRyzen勢よりも遅い。インテル勢の遅さの原因はPL1=125W設定であると考えるかもしれないが、これについては後々検討してみよう。
最後に動画エンコードではないが、RAW現像処理のパフォーマンスも見てみたい。「Lightroom Classic」を利用し、100枚のRAW画像(DNG形式、各々に色補正やレンズ補正を付けたもの。24メガピクセル)を最高画質のJPEGに書き出す時間を計測した。書き出しの際にシャープネス処理(スクリーン用、適用量「標準」)も付与している。
現在のLightroom ClassicはRyzenのほうが圧倒的に速い、と断言するつもりはないが、ことJPEG書き出しとシャープネス処理(この処理がやたらとCPUのリソースを使う)においては、Ryzenは圧倒的なアドバンテージを持っている。Ryzen 5 3600XがCore i9より速いのだから、コア数でもクロックでもない。今回の検証設定では単純にZen2アーキテクチャーと相性の良い処理が使われているから速い、ということだろうか。

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