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夢の技術! 自動運転の世界 第22回

未来への一歩! ソニーのコンセプトカー「VISION-S」の狙いを開発者に聞く

2020年02月20日 10時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 1月7日、ラスベガスで開催された「CES2020」において、ソニーはEVコンセプトカー「VISION-S」(ビジョン・エス)を発表した。自動車メーカーではないソニーが、いったい何が目的でEVコンセプトを作ったのか。その担当者であるAIロボティクスビジネス担当AIロボティクスビジネスグループ部門長である川西 泉氏にその狙いを聞いた。

次のメガトレンドであるモビリティーへ

───今回「CES2020」におけるソニーの「VISION-S」の発表は、事前情報もまったくなく、まさにサプライズでした。いったい、どういう意図があって、あのようなEVコンセプトを発表したのでしょうか?

ソニー 執行役員 AIロボティクスビジネス担当 AIロボティクスビジネスグループ 部門長 川西 泉氏

川西 泉氏(以下敬称略) これまでスマートフォンなどのトレンドがあって、それが人々のライフスタイルを変えてきました。では、今後の大きなトレンドは何かを考えたとき、モビリティーに軸が移っていくんじゃないかなと。これはソニーに限らず、社会全体の流れですね。その中で、ソニーとして何かやれることはないかな? というのが出発点です。

 電動化に伴って、クルマは大きな進化があって、それに対するソニーとしての貢献は何か。いったい何ができるかを深掘りしたいというわけです。根源的に弊社としては、動くものをやりたいと。ただ、確たることが決まっているわけではありません。やはり自動車はモノ自体も大きいですし、ソニーがこれまで扱ってきたのはもっと小さなもので、いきなり自動車を作りたいとかそんな簡単な話じゃないんです。

───ソニーは、すでにサプライヤーとしてトヨタにセンサーを納めていますよね。そうしたところで頑張っていくという決意表明なのでしょうか。

川西 センサーを作っていますから、それは今後ももっと強化していきたいと考えています。ただ、デバイスを作っているところは、エンドユーザーのユースケースがわからなくて、うまくいかないことがあります。デバイスだけ作っていればいいわけじゃなくて、最終的な商品であるクルマを知ることが非常に重要になります。

───実際にクルマを作ることで、ユーザーの使い方までわかると?

川西 そこが重要だと思います。新しい発見もあるでしょう。そしてセンサーに限った話ではなく、クルマは人を載せて移動しますから、その移動空間をどう作るという話にもなります。エンターテインメントの空間として、どういう風に楽しませるのかと。そういうところが、いくつか発見できたらいいなと。トータル的にモビリティーの可能性を探るために、作ってみようとなりました。

───開発期間はどれくらいで、どんな発見があったのでしょうか?

川西 だいたい2年弱で企画から作ってきました。その中での発見といえば、簡単に言ってしまえば、ソニーでやれることはたくさんあるなと(笑)。特にエンターテインメントですね。クルマはパーソナルな空間で、そこに提供できる商品はソニーにたくさんあります。安心・安全のセンサーだけでなく、楽しませるという部分でも提案できるんじゃないかなと思ったんです。

完成度とリアリティーを求めて公道走行を目指す

───「VISION-S」の開発のパートナーは、トヨタの「スープラ」の生産でも知られるマグナ・シュタイヤー社ですが、どういういきさつで決まったのでしょうか。

川西 クルマを作ろうというとき、そのベースとなる部分の知見は、当然ソニーの中にありません。ベースシャシーというかローリングシャシーの部分は、教えてもらう必要がありました。そういうことを一緒にできる会社はあるのかと探したときに、マグナ・シュタイヤーさんがあって。先々、生産委託もできるところで、グローバルに展開できる会社かどうかも考えて彼らと組みました。日本でも1台だけならば作ることはできるんですよ。でも、公道を走らせる安全基準をクリアできて、しかも他の国まで対応できるとなると、国内ではなかなか見つけることができませんでした。

───え、公道を走らせるんですか? 張りぼてではなく、ちゃんと動くものということは、なにか大きな野望があるのでしょうか。

川西 安心・安全のためのセンサーを作りましょうというときに、「その安心・安全はどのレベルを想定しているのですか」となります。たとえば日本では高速道路で120㎞/hくらいまでしか出しませんが、ヨーロッパでは150㎞/h以上を平気で出します。そこは走らせなくてわかるんですか? と。試しに1台作って、それは大丈夫とはなかなか言えません。自分たちは、完成度やリアリティーを求めていたんですよ。なぜかと言えば、たんなるデザインモックを置いただけでは「ソニーのデザインです」で終わってしまいます。

 実際にCESの会場では、走らせてステージに登場させました。最初にも言いましたが、私たちは動くものをやりたい。なので動かなきゃならない。そこは必然としてあるもので、リアリティーは最初から求めていました。

───すでにあるクルマを改造して、センサーを開発する方が簡単なのでは?

川西 センサーだけでなくエンターテインメントの空間も作りたい。トータルでモビリティーを考えたいと、最初から考えていましたからね。

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