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「日本ではなかなか起業家が育たんよな」中企庁、動きます

高校生の起業家教育に本腰!

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若者の県内定着の低さを打破したい!

鳥取城北高等学校

 「一生に一度しかない、三年間がある。」をスローガンに、生徒、保護者、教師が一体となって生徒ひとりひとりの夢を後押しする教育を目指す鳥取城北高等学校。地元鳥取の飲食業社の協力のもと、インターンシップ制度を取り入れるなど、地域との連携を計る取り組みも積極的に行っている。

 普通科には、全校で1056名の生徒が在籍、研志コース、志学コース、スポーツ科学コースと3つのコースに分かれている。研志コースは、さらに、就職するクラス、看護医療系に進むクラス、幼児保育系に進むクラス、大学進学するクラスといくつかに分かれる。志学コースは理系・文系に分かれており、主に大学進学を目指すクラス。スポーツ科学コースはスポーツに力を入た特別なカリキュラムを組み、そこで競技成績を上げていくというコースになっている。

 研志コースでは、総合探求の時間に、県内の若手起業家の講義・講演などを実施したり、志学コースでは鳥取商工会議所の青年部との協働プロジェクトとして、商店街に高校生が気軽に集えるような街中コミュニティープレイス「まちこ」(まちなか×こうこうせい)という場所を作るなど、起業家育成の土台づくりを積極的に行っている。

 また、部活動では、高校生が街のために活動する機会や仕組みを作ることを目的とした地域デザイン部や、レーザー加工機や3Dプリンターなど使ったモノ作りファ部(デジタル・ファブリケーション)といった、いわゆる文武・スポーツの枠にとどまらない活動も実施。その2つのクラブがコラボし、共同で作成したものを商品として地域のマーケットに出店して販売するなど、地域との連携を図るような活動も行っている。

 さらに、課外活動として、鳥取ブルーバースという鳥取初の3人制プロバスケットチームのプロジェクトに本校の生徒30名が参加し、鳥取を盛り上げたい、鳥取で面白いことをしたいという想いを持って、イベントの企画や運営、YouTubeやインスタグラムでの情報発信など新しいことにも挑戦している。

 そんな鳥取城北高等学校から今回のプログラムに参加したのは、1年生志学コース43名。授業の様子を西村岩雄教頭、小池利明教諭、菊本佳奈教諭に伺った。

──今回の起業家教育プログラムに取り組もうと考えた背景を教えていただけますでしょうか。

西村教頭 鳥取県だけではないでしょうけれど、若者の県内定着の低さが問題になってまして、ある調査によりますと過去県外の大学に進学した学生を対象に、鳥取を就職地に選ばなかった理由として、「就きたい仕事が無かった」、「知識や資格・技能を活かせる仕事が無かった」、「給与が低くて魅力が無かった」、「都会で生活したい」などが挙げられていたんですね。

 本校の現3年生は生徒数が322名になるんですが、県内就職希望者数がそのうちの30名、県内の専門学校進学者が看護医療と幼児保育で約20名、そして県内の短期大学が7名、県内の大学進学希望者が30名ということで、その他生徒数235名は県外への進学を希望しているんです。

 そんな状況もあり、本校では授業や部活動その他課外活動において積極的に地域と結びついた活動に力を入れて、地域で活躍する、あるいは大学を卒業後に鳥取に戻ってきて活躍してくれることを期待して、街中コミュニティープレイスの設置や地域デザイン部、モノ作りファ部といった部活動、鳥取ブルーバースの企画・運営といった、生徒たちと地域の方たちと間を取り持つような取り組みを行っています。

 今回の起業家教育プログラムは、このような、鳥取の魅力であったり、新しく鳥取で起業できるような可能性を探ったりする活動をしている本校の方針と、方向性が合致していると判断したわけです。

──では、その起業家教育にどういったことを期待されているのでしょう?

西村教頭 日本あるいは世界で活躍する起業家もそうなんですが、先ほども申しましたように地元で活躍する生徒、一旦は県外の大学等に進学した後でも、鳥取の良さや可能性を見出して、鳥取に戻ってきて活躍する生徒が沢山出てくれればいいなと期待しております。

小池教諭 なかなか日常の授業では経験できないような取り組みを沢山させていただいているので、その中で、自分の目標を達成するために、それに向けてどういうアプローチで取り組んでいったら良いのか自ら考える、そういう力を身に付けてもらえたら、今後の生徒たちの夢の実現に向けて活かしていけるんじゃないかなと考えています。

 中間発表などでは、普段接している我々とはまた違う大人と触れ合う機会になり、プロの方に自分たちの考えを見ていただける機会というのはなかなか無いと思いますので、生徒たちにとっては凄く刺激のある時間になると思います。そういう機会があるのも有難いですね。

──今回のプログラムを受講している生徒さん達について教えてください。

小池教諭 志学コースの大学受験を希望している生徒たちで、そのクラスを横断的に、IoTについてのプログラムと、起業家教育プログラムの選択制で2つに分けまして、IoTの方は将来理系を志望する生徒たちの選択が多く、起業家教育は主に文系志望であったり、または起業するということに興味がある生徒が中心となって選択して、2手に分かれて授業をしているという形になっています。

菊本教諭 何事にも積極的な生徒が結構多いと思いますので、将来本当に起業するかどうかは分かりませが、興味を持って動いてくれる生徒もいるんじゃないかなと思います。

西村教頭 志学コースは授業が7限まであるなど、放課後の活動時間が制限されたり、塾に通うなど忙しい子が多くて、教科以外のことも学べる機会を与えたいということも、志学コースをこのプログラムの対象に選んだ理由の一つです。

──プログラムを進める中で、生徒たちの成長が見られるような場面がありましたか?

小池教諭 生徒たちの発想力に驚かされました。凄く柔軟な思考を持ってる子達で、我々では及ばないような発想を色々な機会に見させてもらいました。そういう生徒の姿を見れることが嬉しいですね。一人の教師として。

菊本教諭 今回グループ活動にしていただいてるので、そのグループでの一人一人の役割も話し合ったりだとか、クラスをまたがって行っているので、その中でも時間を見つけて何とかやるという、目標を達成するためのプロセスなども自分達で考えて、ちゃんと課題を持ってくるので、ちゃんと考えて行動していることが目に見えて分かるので、そこが凄くいいなと思ってます。

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