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高校生の起業家教育に本腰!

「日本ではなかなか起業家が育たんよな」中企庁、動きます

2019年12月16日 11時00分更新

文● ASCII

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生徒たちに外部の人や地域の人との会話の場面を作ってあげなければ

長野県立小諸商業高等学校

 創立は明治39年。長野県立小諸商業高等学校は、一貫して商業教育を継承してきた東信地区唯一の商業の専門高校。学校がある小諸市は、標高2568メートルを誇る活火山・浅間山のふもと、北には高峰高原が、南には蓼科山が、 そして晴れた日には、遠く南東方面に富士山が眺望できる自然に囲まれた街。近年は、生徒と教職員共に、地域とのかかわりを深めながら社会性のスキルを身に付けるべく学習活動に取り組んでいる。

 お話を伺ったのは同校の岩本秀幸校長と鈴木賢二教諭。経済社会で疑問を持ったり、テーマを持って自分たちで考えてみると言う経験ができるのではと考えて、プログラムへの参加を決めた。会計システム科1年生の36名がプログラムに参加している。

──本プログラムに期待するものはなんでしょう?

岩本校長 このプログラムは、外部の起業家の方に来ていただたり、何人もの講師の方の実体験を聞いて、生徒個人の考えはもちろん、グループワークの中で意見を出し合うプロセスに意味があるのかと思います。

 本校では、文化祭など、様々な機会に、外部の方と積極的に関わっていこうという方針で進めていこうとしています。商業版デュアルシステム(学術的教育と職業教育を同時に進めるシステム)をやっていこうとしているんです。就職試験、進学試験にしても、普通に話をしたり、当たり前のことが、当たり前にできない時代になってしまっていると感じているんです。生徒からすれば、周りにいる大人は先生と親だけで、地域の方との会話の場面はよほどのことがない限りないですし、そういう場面を作ってあげなければと思っています。商業科の先生にもなるべく外に出てくださいとお願いしています。先生方も教壇に立って教科書を教えてれば済む話なのにではなく、あえて外に出て考えようよと。

──デュアルシステムとはどういうものなんですか?

鈴木教諭 簡単に言うと、インターン活動を単位に変える、という感じですかね。

岩本校長 中学校でもお仕事体験をやって、高校も職場体験をやっているのですが、それだけだと、一時的なお客さん扱いで終わってしまうので、もうちょっと踏み込んでできないかなと思っているんです。

鈴木教諭 本校ではアルバイトを許可していますが、アルバイトよりもより新人教育に近いものを実施してもらえる環境を体験させたいと思っているんです。

岩本校長 地域の人は高校生にボランティアを希望することがあるんですが、ボランティアではなく、商業としてもう一歩踏み込んだものがほしい。厳しさも含めて体験させたいなと。よく大人は、失敗をして積み重ねてと言うんですが、体験的な行事では、失敗する場面すらないですから。

鈴木教諭 学校というのは浮世離れして、ガラパゴス化してしまいますから。普通校ならまだしも商業高校でそうなってしまうとまずいと思いますね。

──起業家教育は、今後どのようになっていくと良いと思いますか?

岩本校長 起業家教育は生徒がこうした学びを経験することで、それを踏まえて進学をすると深みが出ると思いますし、就職していく生徒にとっては、失敗してもチャレンジしていく気概が生まれるのではないかと思います。現場の教師も学ばないといけないと思いますし、こういうものが新しい教育の一部になっていくといいなと思います。

 とはいえ、商業高校でこういったプログラムに対応できる教員はまだ少ないんです。現場の教員が自ら、というのはなかなか難しいところはあるかと思います。外からの支援がまだまだ必要だと思いますね。

 また、地域のコーディネーター的な立ち位置の方がいないと、我々も転勤族なので、先生が入れ替わったら続いていかないということでは意味がありません。地域のコーディネーターがいることで持続性が出てくるのかなと思います。

──では、このプログラムに期待することはなんでしょう?

岩本校長 いろんな人の話を聞いて、何か新しい生き方や、そんなやり方もあるんだということを学びながら、自分たちに置き換えて考えられる姿が出てくれば変わるのかな、学校も変わってくるんだろうなという気がしています。

 もっというと、経済を回すヒトモノカネの中で、ややもすると、経済成長と言うと、人をモノ扱いすることがありますが、企業が地域の人たちを大切にしながらやっている姿を見て学んでもらえるといいのかなと思います。学びの中でこういった経験をすることで、大学進学後などに、あ、これあのとき学んだなと思い出せることが大事かなと思います。なにも考えずに大きな企業に就職するのではなく、目的を持って選択してほしいですね。あと、教員には動く商業科を目指してほしいですね!(笑)

──今回受講している生徒たちの反応はいかがでしょう?

鈴木教諭 最初は静かな子達という印象で、あまり主体的ではなく、少々不安を感じていました。でも、回が進むにつれて、あまりしゃべらなかった印象の子がしゃべれるようになっていたりして、そういう様子を見ると、最初の見方が間違っていたのか、または対話する回数が多いからなのか、予想以上に頑張れているなという印象です。

 生徒の組み合わせは、リーダーは一人配置するようにして、アイデアが停滞したときには班替えを行いました。結果的に、仲の良い者同士が集まったのでそれでよしとしてしまいましたが、収支計画は不得意だけど発表は得意、みたいな偏りは出てしまいました。そこはデメリットとしてありますが、乗り越えるべきものとしてあるかなと思っています。メンバーは多様な方がいいと思いますね。

──今回のような取り組みを、他の授業と連携してできるものなのでしょうか?

鈴木教諭 1年生の時には簿記とビジネス基礎を勉強して、会計システム科は、商業科目を勉強する時間が商業科に比べて少ないですね。なので、現代社会の授業に協力してもらって、課題を見つけるために新聞を読む時間を取ってもらったり、地域の特色を扱ってもらって、地域の強み弱みを勉強してもらっています。昨年は国語に協力してもらっていました。とはいえ、気心の知れた先生間であっても、テストのサイクルであるとか、授業の歩調を合わせられる先生でないと難しいですね。今回も一部分ですが、地域の強みを扱ってくれ、という点だけを伝えて、科目ごとに個別にやってもらっています。

──小諸商業高校はこうしたプログラムに参加して今年で3年目になりますが、変わってきたことはありますか?

鈴木教諭 昨年の発表で、生徒が質疑応答に答えている様子に驚きました。ビジネスプラン自体は驚くほどのものではありませんでしたが、小諸商業で質疑応答にあんなに答えている様子はみたことがなかった。校長先生からのツッコミや、外部審査員のツッコミもかなり鋭かったかと思いますが、あれだけ答えることができれば大学の推薦入試なども耐えられると思います。何を高校でやってきたのですかと言われた時に、答えられる財産を得ているように思いました。

 今年も昨年と同じくらいの水準になればいいなと思います。昨年は立てたプランがビジネスになりきれていないと思ったので、全ての班がビジネスになっているといいな、その筋道が見えているといいなと思います。

──起業家教育を受けた生徒にはどのようになっていってほしいですか?

鈴木教諭 生徒にはアンテナが立つようになってほしいと思います。ちょっとした報道からでも何かを掴んで、それをビジネスアイデアにできるようになるとといいなと。それが頭の固い大人と、まだ柔軟な発想ができる子供の差なのかなと思います。課題ってなんだろうって悩んでいる子供達をみていると、そこにはインプットが必要なのかな、というのが僕の仮説ですね。

 高校生が女性向けのAEDの時に使うようのシートを開発したと言うニュースがあって、AEDの使用率を調べたデータからそういう視点でものを見る高校生がいることにびっくりしたんです。女性の命を助けるためでもあるし、躊躇する男性のためでもあるし、という視点が素晴らしいものでしたね。

──同じ問題が起きてもどこが課題と思うかはそれぞれ価値観が異なりそうですね。

鈴木教諭 課題に気がつく、ビジネスプランを深く考えると言うことは、これまでの経験からしても短時間でできるものではなく、時間をかけて探し続ける必要があるかと思いますね。

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