最新パーツ性能チェック 第271回
NULLことNVIDIA Ultra Low Latencyの効果をFPSタイトルで解析
Apex LegendsとR6SでGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証
2019年11月10日 20時00分更新
アクション性の高いゲームでは、様々な局面に適切な対応ができるプレイヤースキルが求められる。“読み”や知識に基づく動きでカバーできる部分もあるが、基本は“画面を見て”素早く“操作”することが肝心だ。
この画面を見てから操作する一連の作業は反射神経による部分が大きい。しかし、PCのチューニング次第で、操作を受け付けてからそれが実際に画面に表示されるまでのラグ、すなわち「インプットラグ(End to Endラグ)」を短くすることができる。
このインプットラグを減らそうという機能が2019年の夏頃からAMDやNVIDIAのGPUに実装された。AMDなら「Radeon Anti-Lag」、NVIDIAなら“NULL”こと「NVIDIA Ultra Low Latency」である。
本稿はGeForceのNULLが有効かどうかを検証した記事「SFVと鉄拳7でGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証」の続編にあたる。SFVや鉄拳7のような家庭用ゲーム機でも人気の格闘ゲームでは、V-Sync(垂直同期)オフ時を基準にした場合、インプットラグが若干変動することもあるがその差は極めて小さい(平均0.2ミリ秒程度)。すなわち、格ゲーではインプットラグ低減はほぼ効果なしという結論が得られた。
そこで、今回はeスポーツ要素の高いFPSタイトル「Apex Legends」及びR6Sこと「Rainbow Six Siege」でNULLが効果を発揮するか検証してみたい。もちろん、格ゲー編と同様に、100発射撃した時のデータで統計的な比較検証を試みる。果たして、FPS系ゲームでは有益な効果が出るのだろうか?
GeForce GTX 1650と240Hz駆動ディスプレーの組み合わせで検証
今回の検証環境も前回の格ゲー編とまったく同じ環境を使用する。つまり、ビデオカードはハイエンドラインではなく、ミドルレンジのGeForce GTX 1650を搭載した「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 Low Profile」(ZOTAC製)と、リフレッシュレート240Hzに対応したフルHDゲーミング液晶ディスプレー「AORUS KD25F」(GIGABYTE製)の組み合わせだ。
Apex LegendsやRainbow Six Siegeなら描画負荷がほどよく軽いため、GeForce GTX 1650でもフルHD&最高画質で60fps以上は出せる。インプットラグは75~90fpsあたりが最も観測しやすいので、GeForce GTX 1650は今回の検証に最適だ。
NULLやRadeon Anti-Lagのインプットラグ緩和機能は、CPUは暇だがGPUは目一杯働いている状況で発生しやすいため、CPUはRyzen 7 3800Xを使用した。ちなみに、その逆でもラグは出るが、CPUパワー不足によるラグを解消するにはCPUの強化しかない。
検証環境は以下の通りだが、GPUドライバーは検証時点での最新(GeForce 436.68)を使用している。GeForce GTX 1660 SUPERに対応した441.08では、436.68までに潜んでいたNULLとG-SYNCを併用するとNULLが効かないという不具合が解消されているが、今回の検証では関係ないのでそのままデータを利用する。
検証環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 7 3800X」(8C/16T、3.9~4.5GHz) |
CPUクーラー | Corsair「H110i」(簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-16GTZRX」×2(DDR4-3200 8GB×4) |
グラフィックス | Zotac「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 Low Profile」(GeForceGTX 1650) |
ストレージ | GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2、2TB SSD) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST85F-PT」(850W、80 PLUS PLATINUM) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(May 2019 Update) |

この連載の記事
-
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 -
第428回
自作PC
ベンチで知る“第14世代”、Core i9-14900K/Core i7-14700K/Core i5-14600Kは何が変わった? -
第427回
デジタル
A620&RX 7600と+1ランク上の構成では、どちらが良いか検証してみた -
第426回
デジタル
1スロット&低消費電力で運用可能な「Radeon PRO W7500/ W7600」を試す -
第425回
デジタル
最大転送速度2000MB/s! 約1.8倍速くなったSamsungの外付けSSD -
第424回
デジタル
AMDはWQHD向けGPU「Radeon RX 7700 XT/ RX 7800 XT」で優勢を取れるか?【後編】 -
第423回
デジタル
AMDはWQHD向けGPU「Radeon RX 7700 XT/ RX 7800 XT」で優勢を取れるか?【前編】 -
第422回
自作PC
VRAM次第でゲーム性能は変わる?GeForce RTX 4060 Ti 8GB版vs16GB版で対決 -
第421回
自作PC
1TBモデルで1万円切りのWD Blue SN580 NVMe SSDが高コスパかどうかを実際に試した - この連載の一覧へ