最新パーツ性能チェック 第271回
NULLことNVIDIA Ultra Low Latencyの効果をFPSタイトルで解析
Apex LegendsとR6SでGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証
2019年11月10日 20時00分更新
外れ値はあるもののヒストグラムで効果が明確にわかる
では、各条件ごとに観測できたインプットラグの内、どの長さのものが頻発したかをヒストグラムで分析するとしよう。
散布図やヒストグラムからもNULL“Ultra”の効果は明らかな気もするが、まずは箱ひげ図で各条件の散らばり方を比較してみよう。
この箱ひげ図が意味するところを読み解いてみよう。まず、NULL“Ultra”時は下のひげから箱の上端が低い位置にあるため、インプットラグは他の条件よりも明らかに良好であることを示唆している。NULL“Ultra”時はインプットラグの長いデータが1つだけあったが、これは外れ値と見るべきだろう。
デフォルト時のインプットラグのまとまり方を見る限り、悪い方向に違いがありそうなのはV-Syncオンの時で、これはApex Legendsの時と同じ傾向である。G-SYNCオン時はデフォルト時と大差ないが、NULL“On”にすると、平均値はデフォルト時と同じだが、より散らばり方が少なくなるようだ。
では、これらの違いに意味があるのかをt検定を用いて検証してみよう。条件はApex Legendsと同じく、p値0.05の両側検定を行なう。「p(T<=t)両側」が0.025より小さければ、デフォルト時に比べて違いがあるという結論が出せる。
まず、デフォルト時対NULL“Ultra”時の検定結果はp値がほぼゼロに近いため、文句なしに統計的に有意な結果が出ていることが示されている。しかし、他の条件ではp値がいずれも1に非常に近いため、統計的には“デフォルト時とは違いがあるとは言えない”という結果になった。
まとめ:FPS系ではNULL“Ultra”が絶大な効果を発揮する
小難しい統計学の用語が出てきて筆者も頭が痛くなってきたが、2回に渡る検証でゲームの設計によりNULLの効果は大きく違う、ということが統計的に示せたと思う。特にFPS系ではG-SYNCやV-Syncをオンにするどころか、V-Syncを単純にオフにした時よりも、NULL“Ultra”設定にすることでインプットラグが劇的に短縮されることが示された。少しでもラグを減らしたいと考えているなら、GeFoceユーザーはNULL“Ultra”に設定しておこう。
だが、今回の検証で検証しきれなかった部分がまだ存在する。例えば、V-SyncやG-SYNCとNULL“Ultra”を併用した場合はどういう効果になるのだろうか? NULLとG-SYNCの相性に関してはGeForce 441.08ドライバー以降で共存できるように修正された、ということなので今後の検証課題としたい。また、Radeon Anti-Lagとの差についても検証すべきだろう。このあたりの検証が読みたければ、ぜひともご要望をお寄せ頂きたい。
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