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ASCII STARTUP イベントピックアップ 第63回

横浜ガジェットまつりで開催したパネルディスカッション

eスポーツ市場で成功させるための秘訣とは

2019年12月06日 06時00分更新

文● 飯島範久 編集●ASCII STARTUP

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先端技術・デバイスが変えるeスポーツの未来とは

 ここからは、金田氏を含めた4名によるパネルディスカッション「先端技術・デバイスが変えるeスポーツの未来」が行なわれた。モデレーターはガチ鈴木だ。

――金田さん、3社の事業内容を聞いてみて感想はいかがでしょう。

金田氏(以下、敬称略):3社の目指しているところは、2つのキーワードで表せるかと思います。1つは「垣根を下げること」です。技術によっていかに間口を広げていくかという点です。ブロックチェーン技術やセンサー技術、AR技術などによって垣根を下げ、より多くの人が興味を持ち、参加することを促そうとしていると思いました。2つ目は「感情」です。スポーツの価値は感情を動かすことと言えます。人々は感動を求めスポーツを観たいと思い、それによって、チケット購入やスポンサー等の収益が生まれます。日本においても、eスポーツが人々の感情を動かし、感動を生む世界がそこまで近づいてきていると感じました。

――みなさん観戦するビジネスの拡大について話されていましたし、感情はコウさんが数値化していくかもしれませんね。新技術により新たな市場を生み出していますが、スポーツはもちろん、既存の何かと結びつけるための秘訣は何でしょう。

石川氏(以下、敬称略):大きい流れとして、いろんな技術が発達したことで、衣食住だけでなく、機能的価値が相対的に下がってきています。そんななかで、感情的価値が上がっていくことで、ゲームやスポーツといったエンターテインメントの価値が上がっています。それがアナログスポーツやゲーム、eスポーツなのだと思います。

 HADOの話を聞いて、誰が見てもすぐわかる世界感が羨ましいと感じました。私の場合、ブロックチェーン技術とゲームを結びつけましたが、どう説明しても分かりづらいのが難点です。組み合わせる秘訣としては、ファンを増やすしかなく、SNSなどを通じて広めていくしかありません。まだ、ほかのARやVRよりは市場規模が小さいため、ユーサー自身がトッププレイヤーとなり、インフルエンサーになって発信していってくれればと思っています。

――ブロックチェーン技術は仮想通貨で投機的なイメージが付いてしまったため、マイナス面のほうが強くなってしまいました。ただ、ゲームになってくると、たとえば、モンハンの武器がドラクエで使えるようになる、そんな世界になる可能性が出てくると、ワクワクしてきますよね。コウさんはいかがでしょう。

コウ氏(以下、敬称略):既存の大きい産業の1つを尖らせていくこと。感動もそうですし、価値もそうですし、感情を爆発させることが重要です。どんな技術もそうですが、たとえば30年前にIBMがマシンを開発したけれども、それを動かすソフトが使いづらく、マイクロソフトがOSをつくったり、ゲームとブロックチェーンを結びつけて既存の価値を維持させたり、既存のゲームに感動を及ぼすようにしたりなど、1つのポイントを尖らせることが秘訣だと思います。我々の場合は、高齢化社会により人間の健康なライフスタイルがいずれ価値に結びつきます。そのためにセンサーを開発しています。

――組み合わせる秘訣ではなく、組み合わせる先が重要になってくるのではと感じました。続いて福田さんお願いします。

福田氏(以下、敬称略):ARとVRはどこにビジネスチャンスがあるのかよく聞かれますが、私自身はそのことに関して興味がないんです。基本的にやりたいことに対してどんな技術を使うか決めるのが重要だと考えています。我々の場合は「かめはめ波を撃ちたい」ですし、たとえば「自動運転をしたい」、「新しい働き方をしたい」というのもあるでしょう。それに対してどんな技術が必要なのか、現時点で実現できるのかを判断し、一歩一歩進んでいくというのが私の感覚です。

 HADOをつくったときは、「かめはめ波を撃ちたい」という気持ちでつくりましたが、これは運動になるなとか、コミュニケーションツールとしても使えるなとか、あとから気が付きました。さまざまな人に体験してもらうことで、新たな発見があります。なので、ゲームを楽しむだけでなく、さまざまなコンテンツとして広げようと模索しています。

――つくった時点では想像できなかった世界が広がっているということですね。

コウ:今回の3人が組み合わさると、ものすごいおもしろいことが、できるかもしれませんね。

福田:まったく違う分野なので、おもしろいものが生まれる可能性がありますね。

石川:そうですね。たとえば優勝したらアイテムがほかの人に手渡され受け継ぐようなことができるかもしれませんね。デジタルの世界で、優勝者が使っていたアイテムなどというものは、ブロックチェーンを絡めると、そこで使われたものという証明ができるのでぜひ使ってもらいたいです。選手が持っていたものを販売するというマネタイズにもつながるのではと思っています。

金田:大企業とベンチャー企業の違いとして、意思決定のスピードとリスクの取り方があると思っています。いまのお話を伺っていると、ゴールに対して自社にないものが何かを瞬時に判断し、それをその場で補完する術を判断して即行動につなげていく、一種アジャイル的な思想に近いと思います。これが、一度持ち帰って1ヵ月後に決断となると、その間に所与の条件が大きく変わってしまうこともあります。このため、デジタルスタートアップの世界では、現場でいかにアンテナを立てて、行動まで移せるか、ということが重要なのだと思いました。

――eスポーツの広がりについて、今後どうなると思っていますでしょう。

石川:ゲームやeスポーツで多くの収入を得られる人というのはごくわずかです。ところがブロックチェーンゲームの場合は、eスポーツが1億円を1人が稼ぐのに対して、100万円を100人が稼げる世界だと思っています。これは、プロ選手が生まれるというより、サラリーマン選手が出てくるイメージですね。稼げないというのをこのブロックチェーンゲームが支えてくれるのではと思っています。

コウ:このままでも10年はどんどん成長していくと想います。eスポーツではないサッカーの中継は色んな角度から見られたり、テニスの中継で判定に高度な技術が投入されたりと、見せ方が昔と変わってきています。今後、センサー技術を使って、たとえばメッシ選手がリアルタイムに感じている感覚を体感できるシートができるかもしれません。そんな体験ができるようになれば、いくらでも払う人はいるはずです。

――ARやVRは、視覚はあるものの触感が弱いので、センサー技術によって実現できるのでないでしょうか。

福田:eスポーツの課題は、やったことのない人が現状入りにくいところだと思います。いかに、プレイしたことのない人を巻き込めるのか考えていかなければならないと思っています。HADOもそこを解決しようと頑張っています。eスポーツの大会は、ゲームだけでなく、お客さんをいかに楽しませることができるかライブエンターテイメントとしての意識が重要です。また、観戦するのもゲームに参加しているような感覚にさせる仕組みづくりも必要だと思います。

 またeスポーツプレイヤーのキャリアについてもちゃんと考えていかなければなりません。引退したあと、稼げるのか? ゲームは反射神経の世界でもあるため、20代後半になると、もう引退になる可能性もあります。そのためしっかりとしたキャリアビジョンを描いていかなければなりません。プレイヤーは勝つことで、ファンが確実に付いたり、タレント性や人の良さに魅了されてファンが付いたりします。それは、引退してもファンが付いてきてくれ、何らかの活躍ができる仕組みを考えていきたいですね。

――「自分ごと」というのは重要だと思いました。eスポーツと自社の技術を結びつけるには何が大切でしょう。

金田:将来を考えるにあたって、従来のスポーツを例に挙げたいと思います。従来のスポーツでは、普及・育成・強化というピラミッドがあり、トップでの収益を再び普及・育成に投資することで、持続的に成長することができます。これは連続的な成長モデルであり、まずはこれを目指すべきと思います。他方、成長には非連続なものもあります。外資の参入や、突発的な人気選手・コンテンツの登場等がそれに当たります。連続的な成長の素地を作りながらも、非連続の成長を柔軟に取り込んでいくことも重要になると思います。

 自社のビジネスとeスポーツとをいかに結びつけるかという点については、eスポーツの特性を理解すること、そして、eスポーツ事業者と腹を割って話すことが重要だと思います。スポーツの世界では昨今、スポンサーシップのアクティベーションが重要視されるようになってきました。これは、広告宣伝モデルに留まらない、スポンサー企業の課題をスポーツによって解決しようというものです。アクティベーションの検討においては、スポーツの特性を知ること、そして、自社の課題を明確にすることが第一歩となります。それら縒り合わせ、課題解決に向けた施策に落とし込むことが求められます。eスポーツにおいても、同様の考え方が有効ではないかと考えます。

――アディダスは服や靴だけでなく、スポンサードしながら選手からデータをもらって、次の製品開発につなげています。スポーツ業界は広告モデルを変えていく必要がありますよね。では最後の質問として、いま注目しているものは何でしょう?

金田:5Gに代表される通信容量や速度の向上に加えて、AR技術が進歩することにより、顧客の体験価値を多くの場所で提供可能になると考え、注目しています。たとえば、これまでは会場でしか味わえなかった観戦体験が、遠く離れたほかのスタジアムや施設でも臨場感をもって再現できるようになると、これまで一つの場所に紐づいていた価値を増幅することができます。これによって、今まで稼働が低かったアセットを活用することができれば、単なる遊休資産の活用に留まらず、地域の活性化にも寄与するのではないかと考えます。

石川:ARですね。現実の世界にARで見えているものはデータなのですが、データは価値がないと言いつつ、AR上で写っているデータには価値があると思っています。それは金銭的な価値ではなく、感情的な価値で、ARと感情的価値との紐付けに注目しています。

コウ:仕事として注目しているのは、何歩以上歩いたら保険が安くなるとか、これまでにないシステムですね。健康のライフスタイルは、これからの高齢化社会において価値があり、社会貢献にもつながると思います。健康を数値化して指標となるよう目指します。

福田:視聴者参加型ライブエンターテインメントです。eスポーツやスポーツに限らず、ライブエンタメがすごく盛り上がっている感覚があります。ネットだけでなく、集まってお祭り感覚で楽しめる場が求められていると感じています。かつ見るだけだけでなく、自分も参加していくことで影響をおよぼすことになれば、「自分ごと」になってくると思います。単純にいうと、賭け事はその1つで、日本では違法になるため海外でやってくというのはあります。ほかにも好きな人を応援するツールだとか、いろいろな切り口があるのではと思っています。また、最近はVtuberを観るために観客が集まって応援しています。生身の人間ではできない演出もできるし、それをARやVRと結びつけることで、ライブエンタメがもっとおもしろくなると思っています。

――ありがとうございました。

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