最新パーツ性能チェック 第260回
TITANにGeForce RTX 20/GTX 16シリーズ、Radeon VIIにVega 64/56、RX 500シリーズまで網羅!
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」ベンチマークを現行グラボ15本で大検証
2019年06月01日 10時00分更新
GPUのバス負荷とメモリーコントローラーの負荷を調査
では漆黒のヴィランズベンチを実際に回している時にGPU側のメモリーコントローラーの負荷はどうなっているのだろうか。「HWiNFO」でGPUバスの負荷(GPU Bus Load)とGPU内のメモリーコントローラーの占有率をチェックしてみた。フルHD&最高品質、TITAN RTX環境で、ベンチを開始したときから計測を始め、シーン3(重いシーン)が終わった時にスクリーンショットを撮影している。
ご覧の通り、GPUバスの負荷は極めて小さいのに対し、メモリーコントローラーの負荷は多い時で50%近くまで上昇している。メモリーコントローラーへの負荷は後半になるほど下がっていくがそれでも全体的に高め。その理由はフレームレートの高さと連動しているためだ。ちなみに、60fps制限にすればメモリーコントローラーの負荷もせいぜい15%程度に抑えられる。
そして、前述のガクッとフレームレートが落ち込む理由は、高フレームレート前提で動いているところに、急激に大量のデータが来て処理せざるを得なくなり、どこかがボトルネックになったと考えられる。これを解決するにはFF14側のエンジンの見直しが必要なのではないだろうか。
FF14ではCPUやメモリーの影響が大きいというのはどこまで本当?
もちろん、このボトルネックはCPU側にも存在する。GPUにデータを送り込むにはCPUやメモリークロックが重要になるからだ。そこで、Core i9-9900Kで定格と5GHzにオーバークロック(以下、OC)した設定、逆に4GHzにダウンクロック(以下、DC)した設定を準備。なお、4GHz DC環境はCore i9-9900Kの定格は3.6GHzなので一見OCのように見えるが、ブーストがかかると定格は4.7GHzまで上がるので実質DCとなる。
さらに、5GHz OC環境においてはメモリークロックもDDR4-3200、4GHz DC環境ではDDR4-2133の組み合わせもテストした。テストはフルHD&最高品質、TITAN RTX環境のスコアーを比較する。
OCの効果はスコアーアップだけでなく、最低フレームレートの底上げにも効くことが示されている。また、メモリークロックがDDR4-2666でもCore i9-9900Kを4GHzへDCすると最低フレームレートも大きく下がることがわかった。漆黒のヴィランズベンチではCPUのメモリー帯域が重要なのだ。
ついでにCPUのコア数の影響も調べてみよう。メモリーはDDR4-2666設定のまま、Core i9-9900Kのコア数を定格(8コア/16スレッド)、4コア/4スレッド、6コア/6スレッドにBIOSで絞り、フルHD&最高品質設定で回したのが次のグラフだ。
6コア/6スレッド程度ではほとんど影響がないと言えるが、4コア/4スレッド程度まで並列度を下げると最低フレームレートが60fpsを割ってしまった。高フレームレート(=高スコアー)を出すにはそれなりにCPU負荷も高くなってくるが、4コア/4スレッドだと高いコアで100%近く、低いコアでも30~60%は占有される。
4コアでもメモリー帯域が減るわけではない(SandraのMemory Bandwidthでも大差はつかない)が、CPUの並列度が不足してメモリーアクセスするスレッドが他の処理の後回しにされる、という状況が考えられる。上のグラフからわかることは、少なくとも6コアあれば並列度の点で問題は起きないようだ。
まとめ:ビデオカードの性能に加え、CPUとメモリーの性能も響くベンチ
以上で漆黒のヴィランズベンチの検証は終了だ。より強力なビデオカードを使うのは当たり前だが、ビデオカードをいくら強力にしてもFF14の描画エンジンの特性によってフレームレートが落ち込むポイントは必ず出てくることがわかった。これを解決するにはCPUやメモリーのクロックを引き上げ、より効率良くGPUにデータを送り込むことが肝要だ。ビデオカードは平均フレームレートの上昇に効くが、CPUやメモリーはパフォーマンスの底上げに効く傾向にある。ビデオカードのほうが見た目の快適度を上げやすいが、CPU&メモリーもバランス良く強化してきたい。
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