Frontierは
Exascale Computing Projectの一環
いきなりFrontierといっても「?」だと思うので、まずは背景から説明しよう。連載435回で、インテルのKnights Hillの開発中止に絡めてECP(Exascale Computing Project)が2016年あたりから動き始めている、という話をした。インテル/Crayが契約したAuroraも、今回のFrontierも、ECPのプログラムに沿ったシステムである。
ちなみにECPはエネルギー省の中の科学部と米国家核安全保障局の共同プロジェクトというもので、その意味ではASCI/ASCと似た性格のものではある。
ただASCI/ASCの時ほど核関連の話は前面には出てきておらず、むしろ科学や最近ではAIが前面に打ち出されているのはやはり時流であろうか?
さてECPが立ち上がった直後のロードマップは下の画像のとおりであった。
画像の出典は、2016年9月のASCAC MeetingにおけるASCACのSteven Binkley氏の資料“DOE Office of Advanced Scientific Computing Research”
米国立エネルギー研究科学計算センターにEdison、オークリッジ国立研究所の電算室にTitan、アルゴンヌ国立研究所の電算室にMiraという3つのシステムが稼働しており、これらはいずれも10PF(PetaFlops)以下のシステムである。
これに続き、米国立エネルギー研究科学計算センターには30PFのCoriが2016年中に、オークリッジ国立研究所の電算室にはSummitが2017~2018年に入り、アルゴンヌ国立研究所の電算室にはソフトウェア開発用のTheta(8.5PF)が2016年中に導入、Aurora(180PF)が2018~2019年に導入される予定であった。
このうちCoriは問題なく稼働しているし、オークリッジ国立研究所のSummitも順調に稼働中だ。
そしてAuroraの露払いを務めるはずだったThetaも問題なく稼働しているのだが、肝心のAuroraがKnights Hillの開発中止で2021年に設置開始に延びた、という話は連載435回で説明したとおりである。
画像の出典は、2017年9月のASCAC MeetingにおけるASCRのBarbara Helland氏の資料“Advanced Scientific Computing Research”
あおりを喰らってローレンス・リバモア国立研究所のCoralがどこかに消えてしまったわけだが、次ページの画像に出てくるEl CaptainはCoral-2(第2世代のCoral)という位置づけにある。ちなみに6億ドルほどの規模で、2021~2023年あたりの設置を予定するシステムとして復活した形だ。

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