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最新パーツ性能チェック 第236回

Core i9-9900K、Core i7-9700K、Core i5-9600KをRyzen 7 2700Xにぶつける

物理8コアの9900K&9700Kは真のRyzenキラーになるか!?第9世代Core全3モデルを徹底ベンチマーク

2018年10月19日 22時00分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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全コア5GHz OCするとどうなる?

 最後に全コアを5GHzにOCした時のパフォーマンスを軽くチェックしておこう。第9世代Coreの3モデルに対し、BIOS上でコア倍率を全コア50倍に設定する。コア電圧はOCCTのCPU Linpackで最低15分もつ程度に盛ることにしたが、Core i5-9600Kは今回の作業時間内で最適値を見つけ出すことができなかったことをお断りしておく。

 コア電圧の設定値はAutoではなく、ROG STRIX Z390-F GAMINGに搭載されたAI Overclocking機能が推測した5GHz動作のための予測値をベースに調整した。具体的にはCore i9-9900Kが1.29V、Core i7-9700Kが1.39V、Core i5-9600Kは予測値を使わずオフセット+0.12Vとした。

 それでは「CINEBENCH R15」、「Blender」、「Media Encoder CC」の結果をまとめてチェックしよう。

「CINEBENCH R15」のスコアー。

「Blender」Cycles Benchmarkにおける1フレームのレンダリング時間。

「Media Encoder CC 2018」の動画エンコード時間。

 5GHzにOCすることで各CPUは順当に性能を上げていることがわかる。全コア5GHz動作など、Core i9-9900KではOCのうちに入らない設定であるため、Core i7-9700Kよりも電圧を盛らずに達成できた点はラクだった。

 では消費電力も比べておこう。計測条件は前述と同じだ。

システム全体の消費電力。

 8コアCPUにおける消費電力の傾向は定格時と同じような感じだが、OC状態にすると消費電力は下がってもクロック(倍率)は低下しなかった。定格運用でPowe Limitフラグを気にするぐらいなら、いっそのこと軽くOCして安定させてしまうのもアリかもしれない。もちろん、OCは保証外の自己責任行為だが……。

Core i9-9900Kを全コア5GHzにOCすると、CPU LinpackでもPower Limitフラグが立たずにクロックは5GHzで安定した。

ちなみに、Core i7-9700KでCPU Linpackが15分もつようにCPUのコア電圧を1.39Vに盛ったところ、CPU温度はたちまち100℃近くまで上がった。

まとめ:Ryzenを蹴散らす物理8コアは圧巻、懸念点は供給量のみ

 以上で第9世代Coreの3製品レビューは終了だ。今回はレビュワーズガイドも提供されず、この挙動は正しいのか否かを探り当てるのにかなり回り道をしたが、消費電力以外のパフォーマンスについては、実際の製品とそれほど変わらない値が出たと確信している。

 今回最も輝いていたのは、言うまでもなくRyzenからメインストリームCPU最速の座を奪還したCore i9-9900Kだろう。無論、実売価格は6万円台とメインストリームではかなり高価だが、CGレンダリングや動画エンコードといった分野ではとにかく強い。

 ゲーム目的ならHTのないCore i7-9700Kも非常に良い選択肢だ。実売価格は5万円台前半なので、同価格帯のCore i7-8086Kを買うならCore i7-9700Kを買ったほうが良い。CPUの脆弱性対策が施されている点も見逃せない。

 上位陣の輝きに対し、Core i5-9600Kの存在感は希薄だ。CPUスペック的に変わったのはクロックだけ、という製品なので仕方がないが、これからCore i5で組む人ならともかく、従来のCore i5-8600Kから乗り換える価値はあまりない。ただし、ゲーミング用途ではRyzen 7 2700Xよりも性能が高く、なおかつ2000~3000円ほど安いというかなりコスパの良い選択だろう。

 AMDへのカウンターパンチとして登場した第9世代Coreだが、今後供給量が十分確保できるかどうかが懸念事項として残る。10nmプロセスへのスムースな移行に失敗したインテルは、14nmプロセスで踏ん張る構えを見せているが、その判断はあまりにも遅かった。今回の品不足もそれが一因と言えるだろう。生産体制の強化に期待したい。

■関連サイト
インテル

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