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IoT&H/W BIZ DAY 6 by ASCII STARTUP 第33回

IoT&H/W BIZ DAY 6でのセッションをレポート形式でお届け

医療分野での活躍近い、網膜へ映像照射するディスプレーの将来

2018年10月02日 11時00分更新

文● ASCII STARTUP

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開発の背景とは?

 まず菅原氏は、この技術の、医療分野との深い関わりを解説してくれた。

 「1980年代には、眼底に赤外線を照射して、眼底を検査する装置が発明されていたんです。その発明をした人物が、1990年代になってから、赤外線でなくRGBのレーザー光を使ったらどうなるのか? という発想で、網膜走査型のデバイスを開発した。

 「RETISSA Display」は、QDレーザの開発した「網膜走査型デバイス」だ。

 三原色レーザー光源からの微弱な光と高速振動する微小な鏡(MEMSミラー)を組み合わせ、網膜上に映像を描き出すレーザー網膜走査技術「VISIRIUMテクノロジ」を採用したメガネ型デバイス。

 フレームに内蔵した小型プロジェクターから、片眼の視野中心部(水平視野角約26度、アスペクト比16:9)に、デジタル映像を網膜に直接投影できる点が最大の特徴。原理上、装着者の視力やピント位置に影響を受けにくい。

 基本スペックは消費電力5W、バッテリー駆動時間2時間程度、入力端子はHDMI-mini(Type-C)、水平視野角は約26度で、投影解像度は1024×600ドット、更新レートは60Hz。アイウェア部のサイズは161×44×195mmで、重さ約60g。コントローラ部のサイズは80×31×160mmで、重さ約460g。

 当時はへルメット型で、背中に背負うような巨大な装置だったので、一般利用という段階には至らなかったのですが、技術としては、歴史の長いものになるんですよ。

 私たちがこのプロジェクトを始めたのが、2012年頃です。まずは作ってみようということで、その技術を掘り起こして使ってみたというのが、開発の経緯になります」

 RETISSA Displayに使われている「VISIRIUMテクノロジ」は、単に物珍しい映像技術ということではなく、医療機器として普及させることを目指して開発されてきたが、元になった技術も、医療の分野で使われることを想定したものだったのだ。

臨床試験も終了間近、その用途は?

 同社では、すでに国内で臨床試験を終えようとしている。正式な解析はこれからだが、有効性は確認できる見通しだという。

 この結果について菅原氏は「前眼部の屈折異常の方々、つまり、角膜が歪んでいたり、角膜の移植がうまくいかなかったりといった方には、ぴったりだと考えています。病室に入って、治験を終えると、見えたことが嬉しく、スキップして出てくる方もいましたよ」と話す。

今後の展開と、将来性は?

セッションはアスキー編集部の小林久とのトーク形式で進行した

 「日本に、ロービジョンの方は150万人ほどいると言われています。この内、前眼部に問題があって見えにくい方、VISIRIUMテクノロジによって、網膜に映像を直接投影すれば見えるようになる方は1割として15万人ほど。まずは、その15万人に的を絞って、しっかりと届けて行こうと考えています」(菅原氏)というように、すでに同社では、治験終了後の展望を検討している。

 例えば、VISIRIUMテクノロジを医療の分野に活用する大きなメリットとして、従来は、高価な医療機器を使った高度な診断が必要だった分野で、患者の自己診断に近い検査ができるようになることもあげられるという。

 「1つ1000万円から2000万円ほどする機械を入れて、しっかりした医療を提供していくのはもちろん素晴らしいことです。ただ、VISIRIUMテクノロジを利用すると、網膜が正常かどうか、つまり前眼部に問題があって見えないのかどうかは、患者さんが画像診断のようなかたちで診断ができる。そこで見えなければ、視野が欠け始めているのか、神経が壊れているのか、あるいは血流のおかしいところがあるのかなど、また次の診断に移れますが、その前段階で、検査技師がいなくても、検査ができるというメリットがあるんです」

 こうした機器については、2社の医療機器メーカーと協業して、製品化に向けた開発を進めているのだという。

 CINEMA Chupki TABATAでの鑑賞会の際も、ロービジョンの方々からさまざまな意見が寄せられていたが、現在は治験を進めると同時に、網膜走査型のレーザーディスプレーの規格化に向けての活動も進めているのだという。内容は、色味や解像度、コントラストを数値化して評価するというものになるそうだ。

 近い将来、医療機器への活用が期待されるVISIRIUMテクノロジ。今回のトークセッションでは、それが間近に迫っている現状と、さらに将来の発展に向けた展望が垣間見えた。

 VISIRIUMテクノロジを採用した網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA Display」については、ASCII.jpでも複数の記事で紹介している。そちらも合わせてチェックしてほしい。

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