地方創成で起業支援 東北では地域のリーダー起業家が続々と誕生
一般社団法人MAKOTOの竹井です。起業と聞くと、“西高東低”という印象を受ける方も正直多いのではないでしょうか。でもじつは仙台市は起業率が全国2位と、隠れた起業家の産地。ベンチャーも盛り上がっています! そして、起業家だけでなく、起業家支援も熱い! 今回は、私たちの取り組みの中でも、地方創成に関する地域の取り組みについてご紹介します。
宮城県丸森町の価値を解放し、オープンイノベーションの街に
私たちの起業家支援の取り組みにおいて、地方自治体と連携した支援の最初のモデルケースとなった宮城県丸森町では、町に眠っている価値を「開き、共有し、つなぐ」ことで、世の中に新しい価値を創造していくというコンセプトでプロジェクトがスタートしました。町の中心部にあるである蔵を改装し、コワーキングスペースとして解放しています。
プロジェクトの一部をご紹介すると、豊富な森林資源や土地を持つ丸森町では、改正航空法の施行を受けて全国の自治体に先駆け“ドローンイノベーション応援宣言”を発表しました。その後、首都圏の企業とのパートナー協定の締結、ドローンビジネスコンテストの開催と精力的に活動を行なっています。ドローンビジネスコンテストでは、行政が実際の課題をテーマとして提起し、受賞者には実証実験を発注するという、首都圏のアクセラレータープログラムとは異なる新たなオープンイノベーションの取り組みとなっています。さらに、インバウンドやリノベーションなどさまざまな価値活用の事例が生まれています。
秋田県湯沢市、横手市は課題先進地で田舎発の事業創出
“課題先進地域”と呼ばれる東北地方ですが、その中でも私たちが支援する福島県、秋田県は課題の最先端地域ともいえます。秋田県では“ドチャベン・アクセラレーター”と呼ばれる起業家育成プログラムに私たちも関わっています。ドチャベンとは土着ベンチャーの略であり、地域に根ざしたベンチャーや起業家を意味します。秋田県で起業したい挑戦者をサポートし、そのチャレンジ精神と想像力で田舎発の事業創出を目指しています。昨年度の受賞者からは、「認知度の低い秋田県産果物をブランディングし定期通販する事業」、「林業が盛んな地域特性を生かしオフィスや公共施設の内装木質化を手がける事業」が誕生しています。
福島県のリーダー的起業家による新しいロールモデル
また、福島県では県外からUIJターンして移転・創業する方の誘致や移転後のハンズオン支援を行なっています。震災から約6年が経過した今でも風評被害や県外避難などの課題が残る福島県では、起業家の力が地域再生の原動力となっています。「再生可能エネルギーの重要性を痛感し、飲食店から転換し電力会社を立ち上げた経営者」、「放射能測定装置の製作を依頼されたことがきっかけでIoT事業に参入したベンチャー」、「汚染土壌の除染技術を使って飲料水製造装置を開発し、世界の水不足問題に挑む起業家」、「風評被害に苦しむ生産者を支援するため自ら流通プラットフォームを構築した農家」、「伝統文化の保持のため観光資源のシェアリングサービスに取り組むITベンチャー」など、さまざまな事例があります。
このように東北地方では、自ら行動し課題解決に取り組み、地域貢献を通して次の事業創出につなげるという、リーダー的起業家による新しいロールモデルが生まれています!
竹井智宏(一般社団法人MAKOTO代表理事)
1974年生まれ。東北大学生命科学研究科博士課程卒。2011年7月東日本大震災を契機に一般社団法人MAKOTOを設立。同月、米国カウフマン財団のカウフマンフェローに選出される。東北の起業家支援に力を入れ、日本初の再チャレンジ特化型ファンド「福活ファンド」を組成し、起業家の投資育成活動を展開。起業環境作りとしては、世界の若手起業家約12000人でつくる「EO(アントレプレナーズ・オーガニゼーション)」の東北支部「EO東北」の立上げに尽力。2015年、日本ベンチャーキャピタル協会より「地方創生賞」を受賞。2016年、日本財団より、日本で10人の「ソーシャルイノベーター」に選出。東北大学特任准教授(客員)。
●お知らせ
MAKOTOでは、福島県や秋田県横手市・秋田県湯沢市へのUIJターン起業家を募集しています!「東北のために何かしたい」という志を持ち、新たな事業を生み出し、事業を成長させたい、という起業家・起業志望者の方はぜひご連絡ください。企業移転、創業を弊社でサポートいたします。