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「爆買い」の舞台は中国本土へ 信頼性で急成長する越境ECベンチャーbolome

勝負の決め手は、ライブ感・現地価格・メーカー直結

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 日本や韓国で商品を入手し、現地価格で中国市場向けに売り出す事業が急成長している。国家の枠を超えてダイレクトにEC事業を行う『越境EC』というビジネスモデルだ。

 中国大手の百度(バイドゥ)からも出資を受けるなど、今注目を集めているのがbolome(ボウロウミイ)だ。ベンチャー企業として、サービスを正式にスタートした2015年7月より約1年半。早くも月商は5億円に達する急成長を実現している。

 この中国ベンチャーの創業メンバーのひとりが水野裕哉氏だ。同社のCEOであるZhendong Zhang(張振棟・ジャンジェンドン)氏とともに、中国市場でモバイル広告用のプラットフォームベンチャーをかつて経営。2013年に、百度(バイドゥ)に約50億円でバイアウトした後、2015年に張氏と越境ECビジネスを運営するベンチャーを立ち上げた連続起業家だ。

 1年足らずで50億円超を調達し、「中国のGDPに影響を与える」目標をかかげ急成長をとげる日中混成ベンチャーの現在を聞いた。

bolome(ボウロウミイ)共同創業者の水野裕哉氏

「爆買い」にライブ感・現地価格・信頼性担保で勝負

 最近でこそ落ち着きはしたが、多くの人が中国人観光客による「爆買い」と言う言葉を聞いたことがあるはずだ。急速に近代化した中国市場では、日本の家電製品や日用品の偽物が横行しており、現地購入の信頼性が低い。そのため、旅行者や留学生などに日本や韓国での購入を依頼するという流れがあった。bolomeが目を付けたのがこの部分だ。

 その特長は大きく3つ。ひとつは、”現地からの生放送”という動画プレゼンによるライブ感のある演出と短時間でのフラッシュセール。次に、現地価格で購入できる仕組み作り、最後に信頼性のある現地調達だ。水野氏によると、同じように日本、韓国の商品を輸入して販売している業者は少なくないが、多くは香港などで仕入れているのに加えて、価格も日本で購入するより高いのが実情という。

 「うちはあくまで通販を越境でやっている会社。主に取り扱っているのは日本製と韓国製の商品。日本だとドラッグストアで販売している化粧品や日用品が中心。今、日本の商品でだいたい、5000点ぐらいを取り扱っている」(水野氏)

 bolomeでは日本と韓国に現地法人があるので、現地でモノを調達して、中国に持っていく。「買い取りや委託、受注発注の形式で、商品のサプライヤーを探して、日本の倉庫や中国の保税区と呼ばれる倉庫に集め、それを個別に配達するという仕組み」

 現在ユーザー数はアプリダウンロード数で約500万。競合他社の正確な数字、また取り扱う商品の種類がそれぞれ異なることなどから、判断は難しいが、サービス開始から約1年半という期間としては、順調なスピード感でユーザーを獲得できているそうだ。

メーカーのオフィスでテレビショッピング敢行

 ではbolome躍進の原動力となっている、3つの要素をついてより詳しく聞いていこう。まずひとつが、動画ライブだ。bolomeでは、中国時間の平日昼12時半から、毎日スマートフォンで楽しめるカジュアルなライブ中継を行っている。いわゆるテレビショッピングだ。しかも、単なる一方通行のライブ中継ではなく、画面上にコメントが流れていくチャット形式で、スタッフとユーザーがインタラクティブにやりとりしながら、ショッピングを楽しめるようになっているという。

 さらに面白いのが、このライブ中継にはいわゆるテレビ用の機材を使っておらず、自社開発のスマホアプリで撮影を行っているという点だ。

 「スマホひとつでどこでも中継ができる。基本的にはライブ中継は現地メーカーのオフィスに伺って収録している。もちろん、場所がない場合など、外でやる場合や弊社でやることもあるが、できるだけ伺う。生の動画を通すことで、ちゃんとメーカーさんと関係があることを伝えられる」(水野氏)

 たとえば、化粧品メーカーのオフィスで生中継をやる場合、先方のトレーナーや社員も番組に出演して、一緒に商品の紹介や使い方の説明を行う。これをbolomeのスタッフが中国語に翻訳するかたちだ。さらにチャットルームに質問がきたら、その場でスタッフがすぐ先方に聞いてくれる。

ナレーターや出演者の顔が見えることで親近感と信頼性の獲得につながっているよう

 「中国でECをやる上で、『偽物ではない』ということを、どうやってお客さんに信頼してもらうかが最も大切。だから、提携していますとテキストで書いても仕方がない。口で言うのはいくらでもいえる。しかし、先方のオフィスから動画ライブを中継したら、その信頼性が確保できる」

 中国市場で海外商品を販売するときにもっとも求められるのが信頼性だ。偽物が横行する中国だからこそ、信頼性を担保することに意味がある。bolomeの動画ライブは、見ているお客さんと直接コミュニケーションをとりながら、商品を紹介できることに加えて、メーカーをそこに絡ませることで、圧倒的な信頼感の獲得を実現しているのだ。

 「人って顔が見えたり、自分が質問したりしたことに対して、いつも見ているナレーターが返してくれると親近感が沸いて信用してくれる。ほかのeコマースは顔が見えないが、bolomeは顔が見える。中国市場でやる上で、大切な信用が得られている」

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