PP102版のGeForce TITAN X
国内では10月発売か?
Teslaの話はこのあたりにして、ここからはGeForce系列の話をしよう。まず7月19日に、GP106コアのGeForce GTX 1060が販売開始された。
こちらはコアがGP106コアに切り替わったもので、CUDAコア数が半減、メモリーはGDDR5 192bitとなっているが、その分価格も4万円弱といった比較的買いやすい価格帯になっており、売れ行きもまずまずといったところ。
NVIDIAによればGeForce GTX 980とほぼ同等といった性能を示すはずで、これは先の加藤勝明氏の記事の中のベンチマークでも示されている。競合は、ずばりAMDのRadeon RX 480で、環境によって優劣がいろいろ変わるものの、おおむね良い勝負になっていることが示されている。
さらに8月に入ると、メモリーを3GBに減らしてCUDAコアも1152に減らしたGeForce GTX 1060 3GBが追加投入された。こちらはAMDのRadeon RX 470の競合という位置づけで、現時点での市場価格では最安値が3万円を切るあたり。
Radeon RX 470と比べると数千円高い、というあたりに落ち着いており、性能も大体互角ということで、メインストリーム向けの下のほう、というポジションにうまく収まった形だ。
このGeForce GTX 1060のやや後で発表になったのが、GeForce TITAN Xである。前回までのロードマップでは、Tesla P100をそのままコンシューマー向けに投入すると考えていたのだが、NVIDIAはコンシューマー向けに新しくGP102というコアを投入するという対応を取った。
もっとも、GP100とGP102で本当にコアが違うのか、怪しい部分もある。GeForce TITAN XとTesla P100の最大の違いはメモリーI/Fで、Tesla P100はSilicon Interposer経由で3ないし4スタックのHBM2を接続するのに対し、GeForce TITAN Xはカード上に搭載されるGDDR5Xメモリーを384bit幅で接続するという構成になる。
したがって、GeForce TITAN XはSilicon Interposerを介さない構成になるのだが、実際のところ筆者はGP100とGP102のダイは同じものではないかと考えている。つまりGP100/GP102はどちらもHBM2とGDDR5XのメモリーI/Fを搭載しており、あとはInterposerの切り替えでHBM2を使うか、GDDR5Xを使うかが変わる形だ。
下に概念図を示したが、おそらくGP102もSilicon Interposerは利用しており、このSilicon Interposerと、あとはHBM2の有無でGP100とGP102が切り替わっているのではないかと考えている。
そのGP102を搭載するGeForce TITAN X、すでに欧米では発売されているが、例えばUS Amazonでは1539.95ドルになっている。結構なお値段ではあるが、Teslaが軒並み2000ドルオーバー(Tesla K80など4000ドル近い)であることを考えるとやはり安価な製品であり、それなりに価格を下げるためにはHBM2は採用できなかったのだろうと思われる。
性能のバランスで考えると、GeForce GTX 1080が2560 CUDAコア×1607MHz(定格動作)でGDDR5X 10Gbpsが256bitなので、3584 CUDAコア/1417MHz駆動のGeForce TITAN Xは(3584÷2560)×(1417÷1607)×256bit≒316となる。
316bit幅があれば一応GeForce GTX 1080と同程度の性能/メモリー帯域の比率になる計算で、384bitあれば性能的には十分、と判断されたのだと思う。
こちらは国内発売の時期はいまだに未定であるが、10月頃までには発売されるのではないかと予想する。おそらくはこのGeForce TITAN XがあればAMDのVEGA 10/11を迎え撃つには十分と判断していると思われるし、実際十分ではないかと思う。
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