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キャッシュフロー予測が経営者に刺さる「board」を体験してみた

取引起点で請求書~入金予測までできるバックオフィスサービス

連載
柳谷智宣の「スタートアップDive!」

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発注管理機能やキャッシュフロー予測機能も搭載する

 「board」は、単なる見積書や請求書の作成だけでなく、発注の管理やそれらのデータを可視化し、キャッシュフロー予測なども行えるのが特徴。支払い管理が必要な発注を管理できるのが便利だ。受注案件と似たようなフローだし、似たような書類を使うためだ。外注だけでなく、仕入れなどを管理することも可能。交通費などの単なる経費を管理するなら、案件登録の「原価」機能を利用すればいい。

「発注管理」→「発注登録」で発注先の情報を登録

「発注書」の作成も簡単だ

様々な集計が可能で、出て行くお金を手軽に把握できる

 また、経理担当であれば月末の残高などを気にするのだが、中小企業の経営者が知りたいのは大きな支払いがあったときの残高。要はざっくりした資金繰りを把握したいというニーズがあるのだ。別にどこかに提出するわけではないので、正確である必要はなく、エクセルを駆使したり、脳内計算で対応している人も多いのではないだろうか。

 「キャッシュフロー予測」機能を利用すると、登録されている情報から入金状況を可視化してくれる。家賃や従業員の給料、ざっくりした経費などを登録し、期間を設定すれば、キャッシュフローが一目瞭然となる。

「売り上げ分析」→「キャッシュフロー予測」で、ざっくりとした会社のキャッシュフローを把握できる

 売り上げに参入するステータスも自由に変更できる。本来であれば「受注確定」や「受注済」の案件だけで黒字になるべきだが、「見積(高)」を入れないと足りない場合は、絶対に失注できない。それでも危険な感じなら、中確率の案件も積極的に働きかけなければいけない、といったことがすぐにわかるのだ。

個人事業主から中小企業経営者に刺さる
バックオフィスサービス

 筆者にとっては、「board」は請求書作成サービスではない。そのような機能はもちろん便利だし、一括管理できるのは楽。しかし、それならほかにも同種の機能を提供するサービスはある。一番刺さったのは、「キャッシュフロー予測」だ。経費を入力して「実行」をクリックするだけの操作で、任意の期間のキャッシュフローが一目瞭然になるのは非常に助かる。

 経営者は大きな金額の出入りがあるとドキドキする。大きな仕事を受けて黒字でも、キャッシュフローを把握していないと、いきなり倒産という可能性もあるからだ。

 「最近忙しいし、暗算では黒字だからなんとかなる」と放置していて、入金サイクルの谷間で従業員の給料を払えず、ビジネスローンのお世話になったりしたら目も当てられない。しかし、日々正確な数字を把握するために経理担当を雇うのもお金がかかる。そんなとき、財務サービスのような正確性や日々の作業負担などがなく、絶対に必要な見積書の作成作業から必要なデータを自動的にたたき出してくれる「board」は非常に助かる。

利用できるユーザー数やファイル補完機能などの有無により4プランが用意されている。まずは30日間の試用期間を活用しよう

 もちろんすべての企業にフィットするわけではないが、請求・発注管理をクラウドで行いたいとか、キャッシュフロー予測といった未来の情報を把握したいニーズがあるならフィットするサービスと言える。しかも価格はスタンダードプランで3980円(税込)/月という価格設定。小規模な会社なら、1980円/月のBasicプランでも十分だろう。これは、田向代表の「スタートアップはバックオフィスのサービスに月5000円は払いたくない」という考えから設定されたもの。お金の乏しい中小企業にとってはうれしいところだ。

 ブログで公開している開発ロードマップにあるとおり、MFクラウド会計や弥生会計といった会計システムにCSVデータを出力できるようになったり、年払い請求への対応、英語や外貨のサポートなどが予定されている。今後もどんどん進化しそうな「board」。中小企業の経営者はぜひ一度チェックしてみることをお勧めする。

今後の開発ロードマップがブログに公開されており、どのように進化していくのかがわかるのもユニーク

筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。

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