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「富士通フォーラム 2016」に見る実装例

富士通のAI技術「Zinrai」でどんな世界が創られる?

2016年05月20日 07時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 5月19日・20日、東京国際フォーラムにて「富士通フォーラム 2016」が開催された。展示場では、サーバー・ストレージなどのIT機器はほぼ姿を消し、クラウド・モバイル・ビッグデータ・IoT・AI関連技術で構成されるデジタルサービス基盤「MetaArc」をはじめ、社会に貢献するIT技術を中心に紹介していた。

 テーマは「ものづくり」「社会インフラ」「ワークスタイル変革」「暮らし」「モビリティ」「医療・健康」「小売・物流」「金融サービス」「デジタルマーケティング」「セキュリティ」「食・農業」「スポーツ」だ。そんな多岐にわたる展示の中から、特に「Zinrai」と呼ばれる技術に注目してみたい。

 同社グループが30年にわたって取り組んできたというAI(人工知能)技術だ。

富士通フォーラム 2016

「Zinrai」としてAI技術を体系化

 Zinraiは、富士通研究所が中心となり1980年代から継続的に取り組んできたAIの実用化に向けた研究開発の知見や技術を体系化したもので、2015年11月に発表された。1985年に商品化したAI搭載コンピュータ「FACOM α」をはじめ、30年以上にわたり研究開発してきた「知覚・認識」「知識化」「判断・支援」の機能と、それらを高度化・成長させる「学習」の機能で構成される。

Zinraiの概要

 最近では、2012年9月から国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」に数学チームとして参画。Zinraiの判断・支援機能をベースに、2013年10月に東大模試で偏差値約60を達成した。

 また、2013年8月には、Zinraiの知覚・認識機能と学習機能を融合することで、脳の神経細胞を模したニューラルネットワークの最新技術であるDeep Learningを活用した手書き文字認識技術を開発し、2015年9月には、中国語の手書き文字認識率において、人間の認識率相当を上回る96.7%を達成したという。

 2015年11月の発表時には、「今後順次、各種商品・サービスへの実装を開始する」とされていたのだが、富士通フォーラム 2016の展示会で、具体的な実装例がちらほらと姿を現し始めていたのでレポートしたい。

 富士通のAI技術で、どんなことが可能になるのだろうか。

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