富士通は5月17日、デジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc」を強化。新たに、基幹システムのスムーズなクラウド移行や、新規ビジネスの迅速な立ち上げを実現するサービスを開始した。
MetaArcは、組織・企業・業界の枠を超え、人・モノ・情報をつなぎ、顧客や社会のデジタル革新を加速するプラットフォーム。IoT・AIなどの新技術を活用したシステム早期構築や、現行システムのクラウド移行支援などを行う。クラウドサービス「K5」のほか、モバイル活用基盤「MobileSUITE」、IoTデータ活用基盤「IoT Platform」、IaaS(AWSなどの他社サービスも含む)/PaaSを取り揃え、「今後の中核製品」と位置づけて展開する新ブランドである。4月1日には3万人規模のデジタルサービス部門も設立。グループ全体で取り組む」(富士通 デジタルサービス部門長兼CTO 執行役員専務の香川進吾氏)というほどの注力分野である。
そのMetaArcにおいて、いくつかの新サービスを追加する。デジタル革新が進まない顧客からは「スキル・ノウハウ不足」「システム検討・実証に時間がかかりすぎる」「既存システムの運用コストが新分野への投資を圧迫する」といった声が挙がっているため、これらを解消するのが狙いだ。
まずは「既存システムのクラウド移行支援」を強化した。新たに、最適なICT基盤をデザインする「MetaArcグランドデザインサービス」、オンプレからクラウドサービスのK5への移行を支援する「TransMigration K5移行サービス」、Solaris環境をIaaSで提供する「FUJITSU Cloud Service U5」を提供。
「MetaArcグランドデザインサービス」では、300社へのICT全体最適化実績に基づき、業務仕分けとサービスレベルに応じた計画立案・設計構築を500名体制で展開する。「TransMigration K5移行サービス」では、買収したUshareSoft社の技術を活用し、既存システムのOSからアプリまでを一括してK5へ移行する。システム構成を一括スキャンし、K5へのインプリまでを自動化できるのが特長で、先行商談では移行時間を1/3に短縮できたという。また、「FUJITSU Cloud Service U5」では、国内で約6万台が稼働するSolarisのクラウド化NEEDSに対応するとしている。
次に「デジタル革新の検討・検証プロセスの短縮」を図る。新たに、業種・業務の切り口でテーマごとの最新情報、成功事例、実装モデルなどを提供する「デジタル革新オファリング」を提供。「ものづくり」「保守・保全」「モビリティ」「ロジスティクス」「デジタル・マーケティング」「食・農業」「都市インフラ」「職場・暮らし」の8分野・24テーマのオファリングを展開し、各分野の専門チーム250名体制で商談開拓を行う。顧客はこのモデルを活用しながらニーズを明確化することで、新たなデジタルビジネスの立ち上げ時間を最大で1/4に抑えられるという。
加えて、浜松町のオフィスに共創ワークショップの場「FUJITSU Digital Transformation Center」をオープン。最新ICT活用事例の体験型デモ、デジタル革新をテーマにした専門家によるセッション、顧客との共創による新ビジネス立ち上げを目指すワークショップなどを提供する。
こうした施策により、2016年度にSaaS/IaaS/PaaS/プライベートクラウド関連で3500億円の売上を見込む。