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生活すべてをレビューできる米国発世界最大級コミュニティサイトの戦い方

レビュー総数1億突破 Yelpはインバウンド便利ツールとして成功する?

2016年05月01日 10時00分更新

文● 相川いずみ 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田 元

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 なじみのない街で店を探す時、あなたならどうするだろうか。

 看板で探す。案内を見る。交番や駅でたずねる……さまざまな方法があるが、スマホを持ち歩いている場合はためらわずアプリなどに頼るだろう。飲食店ならグルメ系の口コミサイト、それ以外の店を探すならば駅名と職種を入れて検索する人が圧倒的に多い。

 ではもし同じことを海外で行う場合、どうするか。Googleから調べる人も多いだろうが、じつは圧倒的なシェアを持つサービスがすでにある。飲食店だけでなく、病院や学校、公園など、街のあらゆる店や施設、さらにはその道のプロや職人までを検索できるサービスの名は『Yelp』。2004年にアメリカでウェブサービスとして始まり、今や全世界32ヵ国で提供されている。現在の口コミサイトやアプリの源流といってもいいだろう。

iPhoneアプリでの『Yelp』。現在地や地図でカテゴリーごとに店を検索し、レビューを参照できる。

チェックイン機能やブックマークもでき、クーポンがもらえる店もある。

 Yelpで特徴的なのは、コミュニティ形成を重視しており、利用には実名登録が必須であることだ。そもそもの誕生は、創業者のジェレミー・ストッペルマン(現Yelp CEO)が歯医者を探していた際、便利なサイトがなかったことがきっかけだった。日常の不便を解消するところにサービスの立脚点がある。

 現在は17ヵ国語に対応しており、iPhoneのアプリを使えば、他国のレビューでも自分の国の言葉に自動翻訳される。アメリカをはじめとした海外ではすでに浸透しており、海外旅行に行った際など、Yelpの口コミを参照したという旅行客は少なくない。Yelpの新規市場開拓担当バイスプレジデントのミリアム・ウォーレン氏にYelpの現状、そして日本展開の意味などを聞いた。

Yelpの新規市場開拓担当バイスプレジデントのミリアム・ウォーレン氏

Yelpは地元の場所と人々をつなげるツール

――海外ではYelpで店を探すことが根付いていると聞きます。

 サービスがスタートしたアメリカでは毎日のように使われています。近年ではドイツやイギリスをはじめ、ヨーロッパでも利用者が増えています。最近では、台湾、シンガポール、日本、香港などのアジア圏でも利用が始まりました。

――そもそもの日本進出当初(2014年4月)、『Yelp』は『食べログ』などの飲食店の口コミサイトと比較されていました。

 むしろ“地元のガイドサービス”だと考えてほしいと思います。けれど、実は海外に行った時にも多くの恩恵があります。なぜなら、Yelpは17ヵ国語、32ヵ国で使えるからです。飲食店やバーを探す時だけでなく、ベビーシッターや便利屋を雇ったり、公園を探したりする時にも便利です。

 私たちはYelpを「地元の素敵な場所と人々をつなげるツール」だと説明しています。日本を例にすれば、グルメ好きな人には、「鴨南蛮の美味しい店や、きなこアイスクリームで人気の店を見つけることができるよ」と言います。買い物好きの友人なら、「地元にあるなかなか見つけづらい素敵なお店を見つけられるよ」と伝えます。浴衣を買いたい時でも、雑貨屋を見つけたい時でも、Yelpでは簡単に見つけられる。つまり、使う人によって違う便利度を持っているということです。

Yelpのレビューには、飲食店以外にも薬局や公園など、さまざまな施設が掲載されている。

 もともと地元の人のためのサイトなのですが、外国に行って使うことでその街の地元民のような気持ちになれます。日本に初めて来た人も、東京や京都をまるで自分の地元の街のように感じられます。

外国人観光客は日本のガイドブックとして重宝

――以前に、「Yelpの英語レビューによる東京の人気スポット」という記事を掲載させていただいた際、とても好評でした。やはり海外の人も、日本のお店や場所といったコンテンツに興味を持っているのでしょうか。

 もちろんです。海外では、日本のすばらしい文化、特に食べ物に興味を持っている人たちが沢山います。でも、外国人旅行者はなかなかそれを見つけられない。日本語が読めたり、話したりできないと難しい。ですから、Yelpは外国人旅行者の方にも日本の魅力を伝えられるようなサイトやアプリを目指しています。同時に、日本に住んでいる日本人のためにも、今まで気付かなかった店などを見つけられるサービスになっています。

↑海外からの観光客や、在日の外国人による英語によるレビューも多数。アプリでは日本語へ翻訳できる機能も備えている。

――Yelpには、「海外にとっての日本の魅力を出すこと」と、「日本に住んでいる地元民がコミュニティを作って使っていくこと」という2つの目的があると思います。これをどのように展開しているのか、展望を教えてください。

 まず日本で開始してコミュニティを始めるのにいちばん大事なことは、すばらしいコミュニティマネージャーを採用することでした。コミュニティマネージャーはYelpの正社員として、東京、福岡、京都で採用してきました。Yelpは世界で150の街にマネージャーがいます。ほかの国と同様に、日本でもコミュニティマネージャーの力で、コミュニティが大きくなっていることがとても興味深いです。

――具体的には、Yelpでどのように人が集まっていったのでしょうか。

 どんなにテクノロジーの進歩があったとしても、人間というものは、人と人とのつながりを持ちたいものです。その欲求を、オンラインからオフラインにしていくことはYelpの得意とするところです。

 Yelpではこれまで幅広いイベントを行なってきました。たとえば、クルーズシップや、コーヒー専門店でコーヒーとアルコールを混ぜる“ペアリング”を行なったり、気軽に立ち飲み屋にユーザー集まったりといった様々なイベントがありました。

――ローカルにこだわると、内容は濃くなるぶん、ユーザーの数字としては伸びにくいのではと思うのですが、アクティブユーザー数やコミュニティマネージャーの数など、具体的な数値として現在公表できるものはありますか。

 Yelpが公開しているのは、グローバルな数字のみです。世界32ヵ国でのレビュー数は1億、モバイルでは毎月8600万人、PCでは毎月7500万人のユーザーが利用しています。日本は、アメリカ以外のマーケットでは非常に伸びが良いことは言えます。コンテンツの量や、YelpのヘビーユーザーであるYelpエリート、認知度も増えていると感じています。

 仮にYelpが日本で成功したと思える基準を設けるならば、東京や大阪で使った際、テキサスやオースティンやシアトルで使った時と同じぐらい便利なサービスであれば、目指す目標にたどり着いたと思えるでしょう。東京や大阪に住んでいる人が、Yelpを使って何でも見つけられるようになることが重要です。

 実は本当にYelpを便利に感じるのは、楽しい時だけではなく、車が壊れた、歯が痛いといった苦しい時、困った時なのです。アメリカではサービスや何かを購入する際、Yelpを見ないのはありえないほどになっています。日本でも同じようになることを目指しています。

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