空き駐車場シェアリングアプリ「akippa」に聞く、PayPalモバイルSDKを選んだワケ
シェアリングエコノミー型サービスに最適だった!
アドテクノロジー大手・クリテオの調査データによれば、日本国内のネットショッピングにおけるモバイル利用率は、2015年第1四半期に初めて過半数を超えた。'00年代には根強かった「高額商品はモバイル決済では購入されない」という意見は過去のものになりつつあり、許容価格レンジが変わってくるだろうことは想像に難くない。
また、スマホ決済を通じた”消費”のスタイルも、BtoCの物販からフリマアプリのようなCtoCの個人間取引、対話型英語学習や場所の時間貸し購入など多様化し、この1〜2年というスパンでも物販以外の「消費行動」をビジネス化したスタートアップ企業は次々に登場している。
PayPalがこのほど日本国内で本格サービスインする『モバイルSDK』は、こうしたモバイル決済の需要に応えて、スマホアプリにクレジットカード決済機能を簡単に組み込める開発キットだ。
競合が複数ある中で、PayPal決済を使うメリットは何なのか?サービス提供者のPayPal自身と、PayPalを導入したスタートアップに直撃してみた。
Uber仕込みのモバイルSDK 決済の手間を減らすとCVRが15%アップの結果
PayPal Pte.Ltd.東京支店の曽根氏は、モバイルSDKの特徴として、「最短4時間程度で簡単に実装できること」と、「スマホ時代の洗練されたカード決済機能を自社アプリに即座に組み込めること」を挙げる。
特に後者については、クレジットカード番号を自動入力するスキャナー機能が自前アプリで使えるメリットが非常に大きいという。
現状、PayPalのモバイルSDKが提供する決済方法は、PayPalアカウントによる決済と、PayPalアカウントを使わずに、決済インフラ機能だけを使う、いわゆる通常のカード決済の2種類の決済方法がある。
スキャナーは後者で使えるもので、ユーザーがクレジットカード決済を選択した際に、スマホカメラにクレジットカードをかざすだけで、カード番号や有効期限を認識して自動入力する機能だ。
モバイルSDKを実装したアプリの世界的な成功例としては、低コストなタクシー配車アプリとして、アメリカで売り上げを爆伸させているスタートアップ『Uber』がある。Uberもスマホカメラを使った決済UIを採用しているが、この決済UIが実はモバイルSDKそのものだったりする。
スキャナー機能で決済の手間を減らすことによるコンバージョン率(いわゆる “カゴ落ち”)の改善成果は無視できないレベルで、「ある米国の調査では、番号の手入力が不要になると、カード決済のコンバージョンが15%アップするという報告があります」(曽根氏)
そもそも、世界的なECの潮流は、会員登録型から、利用者登録不要のゲスト決済型に変わってきている。いかに利用者にスムーズに使ってもらうか?を考えれば、煩雑な入力が必要ない決済の導入は、確かに意味がありそうだ。
採用する業態が必要とする機能による部分もあるが、国内でも決済サービスを提供する企業は複数ある。意外だったのは、そういった競合に対する優位性を導入検討企業に進める際に「手数料が安い」ことはあまりアピールはしないという。
「実際、細かく見るとPayPalより手数料単体なら安いサービスは他にもあります。我々は手数料勝負はせず、コンバージョンが上がって収益が増えるとか、事業者側の決済処理にまつわる手間が省けたり、クレジットカード不正利用による支払い取り消しにまつわる損害金(チャージバック)からの保護などトータルメリットを見てもらうようにしています」
では、実際にモバイルSDKやPayPal決済を導入したスタートアップは、どういった点でPayPalを選んだのだろうか?2社のスタートアップ企業に実例を聞いてみた。