モバイル向けの
Radeon Rx M300シリーズ
次がモバイル向けの外付け製品で、こちらは下表に示すように3製品である。まずR9に関しては現在M375のみが発表されており、これはR9 M275Xの動作周波数を若干引き上げた程度の構成である。
Radeon Rx M300シリーズのスペック | |||
---|---|---|---|
モデルナンバー | R9 M375 | R7 M360 | R5 M330 |
プロセスノード | 28nm | ||
最大GPUクロック(MHz) | 1015 | 1015 | 1030 |
メモリー帯域(GB/秒) | 35.2 | 16 | 16 |
メモリー容量(GB) | 4 | 4 | 4 |
SP数 | 640 | 384 | 320 |
元製品 (と思われるもの) |
R9 M275X | R7 M260 | R5 M255 |
スペック的にはさらに上位のR9 M280/M290X/M295Xにあたるものが登場しても不思議ではないが、これは後追いということになるのかもしれない。
ミドルレンジはR7 M260から若干動作周波数を引き上げたR7 M360がラインナップされる。ただコアの動作周波数こそ向上(980MHz→1015MHz)しているが、元々R7 M260が64/128bit DDR3対応で帯域は16/32GB/秒なのに対し、R7 M360は64bit DDR3のみで16GB/秒に留まっており、むしろ性能的には下がる方向になっている。
より上位のR7 M260Xはコアの動作周波数は715MHz止まりながら、メモリーは128bit幅のGDDR5で64GB/秒の帯域を持っていることを考えると、トータル性能ではRadeon R7 M2xxシリーズの一番下に位置するのがやや不可解ではある。こちらも今後、より高速(メモリー帯域を広げた)構成を用意するのかもしれない。
もっとも、ものすごく穿った見方をすれば、HBM(High Bandwidth Memory)はハイエンドにも適するが、むしろこうしたモバイル向けのGPUにこそ最適という考え方もできるわけで、案外R7/R9 M3xxシリーズには早いタイミングでHBM対応ソリューションが提供されるので、ローエンド製品のみ先にリナンバリングで提供したのかもしれない。
ローエンドはR5 M330で、これはR5 M255(コア940MHz)の動作周波数をやや引き上げた形になる。性能はR7 M360とあまり大きな差がないのが気になるが、このクラスになるとAPUと性能差がなくなってきているため、ローエンドとしては妥当なところなのかもしれない。
ということで、一足先にOEM向けという形でRx 300世代が発表されたが、おそらくCOMPUTEXのタイミングではコンシューマー向けにもRx 300世代製品が発表されることになる。
残念ながらトップエンドを除くと基本はリナンバリングになるだろうが、ただその分価格改定などもあるから、性能/価格比は良くなることが期待できよう。
(→次ページヘ続く 「FinFETを使った製品を2016年に投入」)

この連載の記事
-
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ