ナデラ氏がもたらした変化
ナデラ氏がCEOに就任して以来、マイクロソフトが打ち出した戦略は、Windowsプラットフォームには固執しないものばかりだ。
「Office for iPad」の発表に象徴されるように、Officeが利用できるプラットフォームは、Windowsだけでなく、iOSやAndroidにまで広がっている(関連記事)。
また、Windowsを無償で提供するという施策も同様だ。9型以下のディスプレーを搭載したデバイス向けに提供する「$0 Windows」、そしてBingの検索サービスを標準搭載した形でライセンスする「Windows 8.1 with Bing」といった施策がこれに当たる(関連記事)。
「Windows、Windows、Windows」と語っていたバルマー氏時代には考えられなかった戦略だといえる。
ナデラ氏自らが、出荷製品すべてを最終チェック
そしてナデラ氏の体制になってから、もうひとつ変化したことがあった。
それはナデラ氏自らが、出荷する製品のすべてを最終チェックしてから市場に製品投入するというものだ。
エンジニアならではの視点で、すべての製品を吟味するというのは、マーケティング分野が長いバルマー氏とは異なるものだろう。
この取り組みについて、日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「これによって、市場が本当に求めるものだけを投入できる」と語る。
製品投入が遅れる場合もある—「Surface mini」か
その一方で、こんな風にも語る。
「すべての製品をチェックするために、なかには市場への製品投入が遅れる場合もある」。
あえてこう語るものの、具体的な製品については樋口社長は明らかにはしない。
だが、その対象になったと想定されるのが、「Surface Pro 3」との同時発売が見込まれていた、画面サイズが小さなタブレット、通称「Surface mini」の投入だ。
マイクロソフト社内では、発売直前までこのデバイスに関するマーケティング戦略が練られていたと言われる。これがいまだに発売されていないということからも、ナデラ氏が何かしらの決断を下したという公算が強い。
バルマー氏が、完全にマイクロソフトを退いたことで、ナデラ氏による新たな経営スタイルがさらに加速することになるのは間違いないだろう。
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