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マイクロソフト・トゥディ 第109回

「Surface mini」の行方は—ナデラCEOが変えたもの

2014年09月03日 11時00分更新

文● 大河原克行

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ナデラ氏がもたらした変化

 ナデラ氏がCEOに就任して以来、マイクロソフトが打ち出した戦略は、Windowsプラットフォームには固執しないものばかりだ。

 「Office for iPad」の発表に象徴されるように、Officeが利用できるプラットフォームは、Windowsだけでなく、iOSやAndroidにまで広がっている(関連記事)。

「Word for iPad」

「Excel for iPad」

 また、Windowsを無償で提供するという施策も同様だ。9型以下のディスプレーを搭載したデバイス向けに提供する「$0 Windows」、そしてBingの検索サービスを標準搭載した形でライセンスする「Windows 8.1 with Bing」といった施策がこれに当たる(関連記事)。

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)向けのWindowsと、9型未満のディスプレーを搭載したデバイスを対象に、ハードウェアメーカーに対してWindowsの無償提供を開始すると発表した

 「Windows、Windows、Windows」と語っていたバルマー氏時代には考えられなかった戦略だといえる。

ナデラ氏自らが、出荷製品すべてを最終チェック

 そしてナデラ氏の体制になってから、もうひとつ変化したことがあった。

 それはナデラ氏自らが、出荷する製品のすべてを最終チェックしてから市場に製品投入するというものだ。

 エンジニアならではの視点で、すべての製品を吟味するというのは、マーケティング分野が長いバルマー氏とは異なるものだろう。

 この取り組みについて、日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「これによって、市場が本当に求めるものだけを投入できる」と語る。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長

製品投入が遅れる場合もある—「Surface mini」か

 その一方で、こんな風にも語る。

 「すべての製品をチェックするために、なかには市場への製品投入が遅れる場合もある」。

 あえてこう語るものの、具体的な製品については樋口社長は明らかにはしない。

 だが、その対象になったと想定されるのが、「Surface Pro 3」との同時発売が見込まれていた、画面サイズが小さなタブレット、通称「Surface mini」の投入だ。

 マイクロソフト社内では、発売直前までこのデバイスに関するマーケティング戦略が練られていたと言われる。これがいまだに発売されていないということからも、ナデラ氏が何かしらの決断を下したという公算が強い。

 バルマー氏が、完全にマイクロソフトを退いたことで、ナデラ氏による新たな経営スタイルがさらに加速することになるのは間違いないだろう。


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