7月は、マイクロソフトの新年度がスタートする月である。
とりわけ今年の7月は、マイクロソフトにとって例年以上に忙しい1ヵ月間だった。そしてそれは、就任から半年を経ない短期間のうちに、サティア・ナデラCEOが打ち出した新たな方向性を明確にし、「トランスフォーメーション」(変革)をさらに加速するための1ヵ月間でもあった。
Dynamics CRM Onlineへの大きな投資、
Office 365 for Consumerの日本サービス開始
7月の皮切りは、日本マイクロソフトが7月2日に開催した経営方針説明だ。樋口泰行社長が、2015年度の事業方針を発表する中で「モバイルファースト、クラウドファースト」というナデラCEOが打ち出したメッセージを改めて強調。
Microsoft Dynamics CRM Onlineに大きな投資をすること、年内にはOffice 365 for Consumerのサービスを国内で開始することなどを明らかにしてみせた。
マイクロソフトのコア
米国時間の7月10日には、米マイクロソフトのナデラCEOが、社員に向けて「2015会計年度の始まり - 大胆な理想、そして、マイクロソフトのコア」と題したメモを発信。
その中で、「最近では、マイクロソフトは自らを『デバイス&サービスカンパニー』と呼んでいた。だが、デバイス&サービスという呼称は、自社の変革を始める上では有用だったが、今、マイクロソフトはユニークな戦略をさらに進める必要がある」と、前CEOのスティーブ・バルマー氏の言葉を脇に置き、新たに「マイクロソフトは、モバイルファースト、クラウドファーストの世界におけるプロダクティビティソリューションとプラットフォームの提供企業である」という方針を示してみせた。
WPC 2014—マイクロソフト文化の変革
さらに、米国時間の7月14日からは、全世界から1万6000人以上が参加した「Microsoft Worldwide Partner Conference 2014」において、ケビン・ターナーCOOは「全デバイスにおけるマイクロソフトのシェアはわずか14%。我々はチャレンジャーである」と発言。
同じ会期中の基調講演で、ナデラCEOは「モバイルファースト、クラウドファースト」の意味を丁寧に説明するとともに、「私は文化を変えることに力を注いでいる」とし、パートナーに対してマイクロソフトが取り組んでいる変革の意味を自らの言葉で説明してみせた。
多くの講演者がスクリプトを見て講演していたのに対して、ナデラCEOは一切スクリプトを読まず、自らの言葉で、マイクロソフトの方針を説明していたのが印象的だった。
1万8000人の人員削減
Microsoft Worldwide Partner Conference 2014でナデラCEOが基調講演を行なった翌日となる7月17日(米国時間)には、1万8000人の人員削減計画を発表。同日には、ナデラCEOが、社員に向けて、「マイクロソフトの組織と文化の革新を始めるにあたって」というタイトルで、改めてメモを配信。
人員削減の目的が「組織の簡素化、そして、ノキアのデバイスおよびサービス部門の相乗作用と戦略的整合性の向上」であることを示した。
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