パートナー向けクラウド戦略を重視
米マイクロソフトのCEOにサティア・ナデラ氏が就任して以降、同社が打ち出したキーワードが、「Mobile first,Cloud first」である。
そのマイクロソフトにとって、2014年7月からスタートした2015年度では、この言葉がやはりパートナー戦略の柱に位置づけられることになる。
とはいえ、日本においては「Mobile first」の重要な柱となるWindows Phoneが未投入。それもあり、日本での展開では「Cloud first」が成長戦略を担うことになりそうだ。
7月14日(米国時間)から、米ワシントンD.C.で、米マイクロソフトが開催したパートナー向けイベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2014」においても、パートナー向けクラウド戦略は、重要な柱のひとつとして説明された。
初日の基調講演に登壇した米マイクロソフトのケビン・ターナーCOOは、「昨年は、クラウドビジネスに取り組んでほしいと呼びかけた。だが、今年はクラウドビジネスをいかに加速するかという話をしたい」と切り出した。
現在、5万3000社のクラウドパートナーが存在し、前年比116%増という高い成長を遂げていることや、クラウドビジネスを行なっているパートナーは、クラウドビジネスを行っていないパートナーに比べて、粗利が1.6倍、収益の成長が2.4倍、顧客の獲得数で1.5倍になっているデータなどを公表。「クラウドこそが成功の鍵である」と強調した。
クラウドビジネス全体で、
前年比2.5倍の売り上げ増を目指す
この動きは、日本においても同様だ。
日本マイクロソフト ゼネラルビジネス担当の高橋明宏執行役常務は、「日本マイクロソフトのクラウドビジネスも急速な勢いで拡大している。2014年度のクラウドビジネスは前年比2.5倍の実績に達している」とする。
「それでもまだまだビジネスチャンスはある。今年度はさらにクラウドビジネスを拡大する」とし、7月から始まった2015年度においては、「クラウドビジネス全体で、前年比2.5倍の売り上げ増を目指す」と、前年度の勢いを持続する姿勢をみせる。いや、分母が大きくなるだけに、前年度以上の加速力が求められるといっていいだろう。
大幅に強化するパートナー向け施策
そのための新たなパートナー向けクラウド施策も相次いでいる。
Microsoft Worldwide Partner Conference 2014では、パートナーが再販を行なえるオープンライセンス施策を、Office 365に留まらずMicrosoft Azure、Dynamics CRM Onlineにまで拡充。パートナーが販売できる環境を広げることを発表してみせた。
さらに、これまで製品ごとに分かれていたコンテピンシーと呼ぶ区分けを、クラウドとして一本化。クラウドビジネスをトータルで支援する体制を整えた。
そのほか、シルバーレベルのクラウドコンピテンシーを取得したパートナーに対して、初年度の費用を免除するほか、25〜200%の達成レベルに応じて、社内で利用するためのOffice 365およびAzureの導入費用を支援。
9月にはパートナー支援のための組織を設置し、クラウドビジネスをサポートすることを公表した。さらにオンプレミスコンピテンシーに対しても、年会費を10%オフにすることで、浮いた費用をクラウドビジネスへ投資できるようにするという。
「クラウドに対する初期投資の敷居を下げ、多くのパートナーがクラウドビジネスを推進できるように支援をしていく」と、米マイクロソフト ワールドワイドパートナーマーケティング&プログラムのGavriella Schusterゼネラルマネージャーは語る。

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