では、実際の表示がどう行なわれているかを解説しよう。RGBの発光とBY(+R)の発光は交互に行なわれる。ちょうど60pのプログレッシブ表示を2つに分けて60iで表示しているようなイメージだ。
ただし、インターレース表示のように上下の画素が交互に発光するわけではなく、RGBとBY(+R)×2(上下)で生まれる4つの輝点を千鳥模様のように斜めの輝点をセットとして交互に発光させている。イメージとしては下図のようになる。このため、インターレース表示で目立ちやすいフリッカー(映像のチラツキ)は発生しない。
ただし、ここで問題がひとつ。図で示したように各画素は、常に半分の輝点しか光っていない。明るさが半減してしまうのだ。
小池:「4K相当の表示では明るさが半減するため、実用上十分な画面の明るさを確保すると消費電力が上がってしまいます。ですから、XL10の超解像 分割駆動エンジンでは、2つのモードを用意し、さらにオフ(フルHD表示)を選択できるようにしました」
小池:「“モード1”は一般的なテレビ放送など明るいシーンの多い映像用で、輝度の差が判別しにくい明るい画素では分割駆動を行なわずに画面の明るさを確保します。輝度の差が大きい部分だけ分割駆動をするので、効率良く4Kに近い映像が再現できます。“モード2”は常時分割駆動を行なうもので、暗いシーンの多い映画用のモードです。画面の明るさは下がりますが、どの画素も4倍の輝度信号で表現するため、4K相当の精細感が得られます」
普段のテレビ視聴ならばモード1、映画を高画質で楽しみたいときはモード2と使い分ければ、画質と消費電力の両立ができるだろう。この設定は、標準や映画といった画質モードで個別に設定しておけるし、標準ではモード1、映画はモード2(映画THXはオフ)となっているので画質モードを切り替えるだけで使い分けが可能だ。
ちなみに、信号処理としては、4Kネイティブまたは4K解像度のアップコンバートされた映像は、解像度再構成回路で液晶パネルの各画素の4つの輝点を個別に駆動させていることになる。かなり複雑な処理にも思えるが、元々MPD技術で行なっていたことの応用でもあり、大きな負担にはなっておらず、映像遅延についても前作と比べて大きな差はないという。