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2Kパネルで4K相当表示に対応できたからくり

パネルを変えずに4K相当! 「AQUOS クアトロン プロ」の秘密

2013年11月22日 13時00分更新

文● 鳥居一豊

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格子状の画素間のすき間は見えるが
その画素が4つの濃淡で描き分けられている!!

さっそく画質を確認!

いよいよ画質を確認!

 いよいよその画質を確認してみよう。視聴距離はフルHDテレビの推奨値である3H(画面の高さの3倍)とした。

 その距離でXL9とXL10を見比べると明らかに精細感が違う。XL10は4K相当という言葉に真実味を感じるほど精細感が高く、従来のフルHDテレビとは次元が違う高精細さ。

 それは輪郭のスムーズな再現で顕著だ。精細感を高めるための輪郭強調などがないため、すっきりと見やすく、それでいて髪の毛の1本1本まで明瞭に再現する精細さがある。

 クローズアップされた人物の肌の質感や瞳やまつ毛といった細かなディテールはもちろんだが、背景のややぼけた映像が情報量不足で潰れた印象にならず、レンズのボケ味がきれいに再現される。そのため、映像の奥行き感が実に見事だ。

小池:「このあたりは、4KテレビのUD1シリーズをお手本として自然で奥行き感のある再現を追求しています。そして、XL10もTHXディスプレイ規格(フルHDテレビとしての規格)の認証を得ています。白の均一性などもきちんと確保しているため、この自然な映像が楽しめるわけです」

THXディスプレイ認証を取得しており、「THX」モードを搭載する

THXディスプレイ認証を取得しており、「THX」モードを搭載する

 THXディスプレイ認証モデルに用意される画質モード「映画THX」では、4K相当の超解像 分割駆動はオフとなり、純粋なフルHD表示となる。このあたりはTHXの厳格な基準がよく現われたものと言える。

 ちなみに、クアトロンでは定番の「映画クラシック」モードもある。これは、一般的な映画の色温度(6500k)よりも低い、キセノンランプやカーボンアークのランプ特性の色温度を選べるもので、古い映画をより雰囲気よく味わえるもの。

 こちらは4K相当の表示ができる。4Kを上回る8KスキャンなどでBD化された古い名作であればさらに高精細さを感受できるだろう。8Kスキャンされた「サウンド・オブ・ミュージック」も見てみたが、服の質感や表情の豊かさが実にきめ細かく再現され、密度感の高い映像と感じた。

小池氏とともに画質を確認する筆者

小池氏とともに画質を確認する筆者

小池:「先ほどの原理的な説明では、色情報は4Kの1/4(フルHD相当のまま)と言いましたが、ある画素で表示すべき色は同じでも、実際には輝度差による濃淡がありますので、色再現が貧弱になるということはないと思います。もちろん、4Kテレビの色表現には及ばない部分もありますが」

 実際その通りで、同じような緑で描かれる芝生なども、緑色の中での階調がきめ細かく描かれ、輝度的な輪郭の表現だけでなく、細かい芝が風に揺られてサワサワと動く様子が実に鮮明。色情報が1/4と分かっていても、見た目ではそれほどの差を感じない。正直なところ、「たしかに擬似的な4K表示かもしれないけれど、実用上はこれで十分」とさえ思う。

 さらにじっくりと見たところ、個人的には明らかに4Kテレビとの差を感じた部分がある。それは近接視聴で画素が見えること。これは実にユニークな見え方なので、ぜひとも店頭などで試してほしいが、格子で仕切られた画素がたしかに4つの濃淡で描き分けられているのが確認できる。4Kテレビと明らかに違って見える部分だし、フルHDテレビとも違う見え方なので実に面白い。

 4Kテレビの魅力は近接しても画素が見えにくいため、より近い距離(1.5Hが推奨)で視聴できることもある。画面が視野を大きく占めるため室内のその他の情報が気にならず映像に没入しやすいというものだ。フルHDテレビでも画素が見える距離となれば、1H未満の画面に顔がくっつくような距離なので、よほど視力の高い人でない限り、画素が見えるというのは気にしなくてもいいと思うが、4Kテレビのように1.5Hの距離で視聴するといった使い方では、さすがに4Kテレビとの差が目立ちやすくなると感じた。

 すなわち、大画面高精細な映像をかぶりつきの近距離で楽しむならば4Kテレビを選ぶべきだが、あくまで現在のテレビのようにある程度の距離を置いて見るならXL10シリーズで問題ないと思う。そうした使い方ならば、画素の間のすき間が気にならず、しかもフルHDテレビを超える精細感が得られる。

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