秋の夜長にビコビコ音! ヴァーチャルアナログシンセアプリを試す
前回の「Animoog」は音色の出来映えはもとより、操作性や画面の階層化などもPC用のシンセソフトに勝るとも劣らない作り込みで、「ヴァーチャルアナログシンセアプリ」というものの価値観が変わるほどの衝撃でした。
そこで今回は、個人的に気になった海外デベロッパーによる、ちょっとマニアックなヴァーチャルアナログシンセアプリを5種ピックアップして、一気弾き。2013年型のアナログシンセサウンドを心ゆくまで弾き比べてみました。
またアプリそれぞれに、フジムラお気に入りのプリセットを挙げましたので、参考になれば幸いです。
音色管理においてはピカイチの出来
Sunrizer Synth
90年代中期に人気を誇ったRolandのデジタルアナログシンセ「JP-8000」をモデリングした「Sunrizer Synth」。パネルデザインまでもきっちり取り込んでおり、実機のざらついた塗装を再現したディープブルーのパネルが印象的です。「Dock」モードはまるでラックマウント版の「JP-8080」のよう。このあたりのマニアックな仕上げ方も面白いです。
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Sunrizer synth ![]() |
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価格 | 850円 | 作者 | BeepStreet |
バージョン | 3.0 | ファイル容量 | 21.4 MB |
カテゴリー | ミュージック | 評価 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
対応デバイス | iPad | 対応OS | iOS 5.0以降 |
基本プリセット音色は「Aural Imbalance」「New Horizon」「Sunrizer 2」「App-Sound.com」「Default」の5つのカテゴリーに分かれ、全部で417種。「Favourites」というユーザープリセットを保存するバンクがあらかじめ用意されており、Web libraryからのダウンロードでさらに音色を追加することもできます。
JP-8000特有のギザギザした、エッジの立ったサウンドが特徴で、きらびやかな音色が得意なイメージです。Synth tools機能はタッチひとつでフィルターやモジュレーションの設定を入れ替えられ、使い勝手はなかなかのもの。実用面だけでなくRandomizeで突拍子もないアイディアを得ることもできます。
アルペジエーターもさまざまな実用的なパターンが組み込まれており、イイ感じ。サウンドプリセットのお気に入り機能を使えば、気に入った音をどんどんFavouritesに追加していくことができます。各ツマミの情報はすべて数値化され、画面上部の小さなモニターに表示されるので、徹底的な微調整にも対応してくれます。
今回弾いたアプリの中では唯一、全てのコントロールを単画面でいじるデザインのため、ツマミの配置などが若干窮屈ではあります。ただ、一面で全てが把握できるという点においては便利とも言えます。
難点はレコーディングやシーケンサーのウインドウが小さいので、情報が把握しづらく、使いにくいところでしょうか。
各音色のタイプによるソートやカテゴライズなど、音色管理の面では随一と言える使いやすさを持っています。フジムライチオシの音色は「Ibiza Night」。まさにEDMの本場・Ibizaというイメージにぴったりの浮遊感とホワイトノイズのスパイスがお気に入りです。

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