Windows 8のコンセプト、
「Re-Imagine」(Windowsの再創造)の具現化
ところで、なぜWindows 8は、発売からわずか1年でWindows 8.1にアップデートされることになったのだろうか。そして、従来OSで提供されてきたサービスパックなどとは何が違うのか。
実はこの疑問こそが、Windows 8の本質であり、Windows 8が標榜した「Re-Imagine」(Windowsの再創造)の具現化だといえる(関連記事)。
Windowsでは、同じような「.1」の進化として、今から20年前にWindows 3.0からWindows 3.1へ進化させた例があった。これは、実質的なメジャーバージョンアップといえるほどのもので、古くからのWindowsユーザーなら記憶に残っているだろう。
だが、今回のWindows 8からWindows 8.1への進化は、このときとは意味合いが異なる。当時は、OSを入れ替えるという、いわば、新OSへのバージョンアップとしての進化であったが、今回の場合はWindows 8そのものを活用した進化となる。それは、Windows 8ユーザーが新たにOSを購入し直すのではなく、無償でWindows 8.1にアップデートできる点でも分かるだろう。
サービスパックとは何が違うのか?
一方で、こうした方式は、Windows7などで提供されたサービスパックとは何が違うのだろうか。
それは、スタートボタンの採用が噂されるように、まず「インターフェースそのものが変わる」可能性がある点で大きく違う。セキュリティ機能の強化や、一部機能の強化というだけではないのだ。
Windows全体の流れからすれば、スタートボタンは「復活」となるが、同時にWindows 8を起点とした場合、新たなOSとして「スタートボタンを初めて搭載」することを可能としている点を考慮する必要があるだろう。
これまでのWindowsの進化の中で、「サービスパックによって、インターフェースそのものが大きく変更される」ことはなかった。今回のアップデートは、スタートボタンが実際に採用されるかどうかは別にして、ネットワークを介した大胆な変更が可能な基本設計がベースにある。
こういった設計は、Mac OS Xやスマートフォン用OSではすでに採用されている仕組みであり、それら環境に慣れたユーザーには当然のように映るだろう。しかしWindowsの場合には、Windows 8によってそうした進化が初めて可能になった。
そこに、Windows 8で掲げた「Re-Imagine」の意味がある。
レラー氏は、さらにリッチなエクスペリエンスを提供するべく、Windowsユーザーに対して継続的なアップデートを提供すると、講演の中で何度も繰り返し言及したという。
「今後の継続的なアップデートは、皆様がすぐにベネフィットを体感いただけるものになると考えている」とレラー氏は語る。
今回、Windows 8.1として行なわれるアップデートが、Windows 8でもたらした「Re-Imagine」の真骨頂だとすれば、マイクロソフトは発売後わずか6ヵ月でその「切り札」を公表し、発売1年後に実際にそれを実行することになる。そして、今後もそのサイクルが継続していくのだろう。
Windowsの再創造、Windows 8の「Re-Imagine」戦略は、これからいよいよ本格的になるといえるかもしれない。
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