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OpenFlow/SDNの波が来た 第14回

仮想化ネットワークのパイオニアはNiciraからVyattaへ?

ルーティングまで仮想化!ブロケード、Vyatta買収を語る

2012年12月13日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月12日、ブロケード コミュニケーションズ システムズ(以下、ブロケード)はVyatta(ビアッタ)買収に関するプレスブリーフィングを行なった。仮想ルーターを提供するVyattaの買収により、幅広い分野で仮想化やSDNの分野をカバーすることになる。

仮想ルーターのパイオニアでSDN戦略を強化

 Vyattaは2006年に設立されたITベンダーで、ハイパーバイザーに依存しない仮想ルーターとアプライアンスを提供している。ソフトウェアはオープンソースで公開されており、25万を超えるユーザーコミュニティ、100万を超えるダウンロード数を実現しているとのこと。

 米ブロケードのルーティング、アプリケーションデリバリー・アンド・ソフトウェアネットワーキング バイス・プレジデントであるケン・チェン氏は、同社のSDNの戦略と2012年11月のVyatta買収について説明した。

米ブロケードのルーティング、アプリケーションデリバリー・アンド・ソフトウェアネットワーキング バイス・プレジデント ケン・チェン氏

 チェン氏は、「仮想スイッチのパイオニアとしてはNiciraが知られているが、次に来る仮想ルーティングでのパイオニアが、まさにVyattaだ」(チェン氏)と述べ、仮想ルーター分野が2013年に成長を遂げるという見込みを示した。現状、x86サーバーの50%以上が仮想化され、VMware、Xen(Citrix)、KVM(Redhat)、Hyper-V(Microsoft)など、ハイパーバイザーのプレイヤーが決まりつつある昨今、Vyatta VMは全プラットフォームに対応するユニークなテクノロジーを提供するとアピールした。

Vyattaの導入による包括的なSDN戦略

 今回のVyattaの買収により、ブロケードはクラウド管理、アプリケーション、ネットワークといった分野のほか、仮想化レイヤーまでカバーできることになる。従来の仮想スイッチ(vSwitch)とVyatta VMを接続することで、従来のルーティングやセキュリティ、VPNなどのIPレイヤーの機能まで仮想化レイヤーで実現できる。

Vyattaの買収によりSDN分野を幅広いレイヤーをカバー

ルーターを仮想化することで、さまざまなトポロジが可能に

 今まで異なる仮想スイッチのネットワークは、あくまで物理ルーターで相互接続するしかなかったが、今後は物理ネットワークのトポロジに依存せず、仮想ネットワークを構成できる。「仮想マシンのデプロイがオンデマンドで行なえ、作業を劇的に高速化する」(チェン氏)。また、ルーター自体が仮想化されているので、負荷の増大や仮想マシンの移動にも即時に対応することが可能になる。

 ソフトウェア製品の登場によって、今まで同社が主力としていたハードウェア製品との売り上げにも影響を与えると思うが、「現状、仮想ルーターは高密度な実装を必要とするクラウドや一部のエンタープライズで使われるだろうと考えている。仮想ルーターはコアルーターの補完的な役割と考えているので、競合することはないだろう」と説明している。ライセンスに関しては、年間契約だけではなく、リソース拡張に対応したオンデマンドなライセンスを検討している。

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