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通信事業者やサービスプロバイダーは続々投入

NFVとSDNの先にあるNew IPとは?ブロケードが戦略を説明

2015年08月03日 15時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月30日、ブロケード コミュニケーションズ システムは、同社のソフトウェア戦略についての説明するプレスイベントを行なった。同社のジェイムス・クワン氏はNFV/SDNの市場についての分析を披露しつつ、New IPに向かう同社の戦略を明らかにした。

サービスプロバイダーのNFV/SDN導入は本格化

 イベントで登壇したのは、ブロケードのNFV製品を統括する米ブロケード コミュニケーションズ システムズのジェイムス・クワン氏。クワン氏は、ブロケードのソフトウェアビジネスユニット創設から現在までの流れ、ブロケードの強みについて説明した。

米ブロケード コミュニケーションズ システムズ ソフトウェアネットワーキング ビジネスユニット プロダクトマネジメントディレクター ジェイムス・クワン氏

 SAN製品で高いシェアを誇るブロケードは、ファウンドリネットワークスの買収後、IPネットワークの分野に進出。2012年には仮想ルーターを手がけるVyattaを買収して以降、同社ではSDN/NFVなどのソフトウェアのビジネスユニットを立ち上げ、仮想版のルーターやADC(Application Delivery Controller)、OpenDaylightベースのSDNコントローラーなどを手がけているきた。クワン氏は「レイヤー3から7までをNFV製品を取りそろえ、ODL対応の商用コントローラーを提供しているのも弊社だけだ」とアピールする。

 このように同社がデータセンターにフォーカスする理由は、エンタープライズネットワークがデータセンターへの移行が進んでいるという点だ。クラウドプロバイダーや通信事業者がクラウドを前提とした仮想化インフラを構築し、エンタープライズもこうしたデータセンターの利用を拡大している。

 しかし、こうしたデータセンターは既存のエンタープライズネットワークに比べて、いくつかの違いがある。「仮想化がより進んでおり、ダイナミックだ。拡張性に対する要求も非常に高い。NFVやSDNのニーズが高まっている」とクワン氏は指摘する。AT&Tやテレフォニカの通信事業者で実証試験や本格運用が進んでいるという。「AT&Tでは、本番運用でお客様にサービスを提供しており、もっとも先進的だ。しかし、どの通信事業者もProof of Conceptまで進んでいる」とクワン氏は語る。

ブロケードが手がけてきたNFV/SDNでの実績

効率性を追求するNFVと俊敏性を求めるSDN

 同社が提供するBrocade SDN Controllerは「YANG」の共通データモデルをベースに、NETCONF、OpenFlow、SNMP、CIなどさまざまな規格・プロトコルに対してプラグインを提供し、ユニバーサルなトランスレーターとして動作する。「YANGのデータモデルは低いレベルの差異を吸収してくれる。これによって、物理・仮想を問わず、さまざまなネットワークデバイスを透過的にサポートすることが可能になる」(クワン氏)という。

ユニバーサルコントローラーとして動作するBrocade SDN Controller

 こうしたオープン性は同社のソフトウェアネットワーク戦略の核になる。VMware、KVM、Hyper-Vなどのハイパーバイザーをサポートすると共に、AWS、SoftLayer、Microsoft Azure、Rackspaceなどのクラウドサービスに対応する。

 クワン氏は、NFCとSDNの動向についても説明した。効率性を追求するNFVに関しては、x86ベースのCPUをベースに、よりコスト対効果が求められる状況になっている。一方のSDNに関しては、従来のようにベンダーごとに異なるコントローラーを用いるのではなく、コントローラーの集約化が進んでいる。

 両者を比較すると、現状はNFVの導入が進んでいるという。クワン氏は、「NFVがフォーカスしているのは効率性だ。基本的にはハードウェアのルーターをサーバーベースのソフトウェアに変えるという置き換えで済む」と語る。これに対してSDNが焦点を当てているのは、サービスの俊敏性だという。そのため、アーキテクチャの抜本的な変革が必要になり、導入が進んでいるわけではないのが現状だ。

NFVとSDNの先にあるNew IPの動向

 ブロケードが提唱する「New IP」は、NFVがフォーカスする効率性とSDNのフォーカスする俊敏性を両立し、IoTやクラウドを前提とした“第3のプラットフォーム”を取り入れていくための製品とテクノロジーを指す。APIを用意することで、物理ハードウェアの縛りから解放し、スケールアウトと高速なデリバリを可能になる。そして、カスタマーポータルを用いて、ユーザー自身がネットワークを容易に構築・拡張できる世界が実現するという。

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