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最新エンタープライズストレージの実力を探る ― 第17回

Fruid Dataアーキテクチャを支えるコア技術とは?

自動階層化で効率化を追求したDell Compellent

2011年07月12日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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数多くの企業買収で、ストレージ分野を強化しているのがデルだ。ストレージ・ソリューション・マーケティング部の河南 敏氏にデルのストレージ事業や各製品ポジショニング、そして、昨年買収したCompellent製品の魅力を聞く。

Fluid Dataアーキテクチャを支えるCompellent

 デルのストレージ製品の歴史は古く、2000年以前からPowerVaultのブランドでSANとDASのストレージを展開していた。その後、iSCSIストレージのEqualLogicを皮切りに、スケールアウトNASのExanetや優れた重複排除や圧縮技術を有するOcarina Networksなどのベンダーを次々買収し、製品ラインナップを一気に拡充してきている。特にDell EqualLogicがiSCSIストレージの代名詞として、高いシェアを誇っているのは、ご存じのとおりだ。

成長を続けるデルのストレージビジネス

 これら製品の位置づけについてデルの河南氏は、「単一ホストでコストメリットを求める場合は、PowerVaultシリーズ。複数ホストでの仮想サーバーの共用ストレージであれば、EqualLogicというパターンが多いです。あとはサポートOSやプロトコルなどでお客様にマッチする製品が決まってきます」と話す。

デル ストレージ・ソリューション・マーケティング部 エバンジェリスト 河南 敏氏

 そして、充実した製品ラインナップをベースに、6月に発表されたのがストレージの仮想化や自動化を中心にした「Fluid Dataアーキテクチャ」である。ご存じのとおり、近年企業でのデータ容量は飛躍的に増大し、運用管理に大きな負荷がかかり、コストも増大している。Fluid Dataアーキテクチャでは、こうした課題を解決すべく、従来のようにアプリケーションやベンダーに固定されたデータ管理ではなく、適切なデータを適切なストレージに動的に配置する。この流れるようなデータ管理の様を「Fluid(液体のような)」と表現しているわけだ。そして、このFluid Dataアーキテクチャを支えるコア技術になっているのが、昨年買収したコンペレントの「Dell Compellent Storage Center(以下、Dell Compellent)」が強みを持つ自動階層化管理である。

粒度の細かい自動階層化が売りのDell Compellent

 コンペレントは2002年に創業したストレージベンダーで、製品を出荷してから6年半に渡って着実に成長を遂げてきた。日本ではあまり知られていないが、「アイシロンや3PARなどとともに非RAIDのエンタープライズストレージを作ってきたベンチャー」(河南氏)だという。

 Dell Compellentが売りにする自動階層化とは利用頻度や重要度に合わせ、データを格納するストレージの種類やRAIDレベルを動的に変えていく技術である。とはいえ、ボリューム単位でデータを移動させていた階層化と異なり、昨今では細かい粒度のブロックでデータを移動させるのが一般的。Dell Compellentでは、ボリュームと物理ディスクの間に、ページというレイヤを挟み込むことで仮想化を実現し、他社よりきめ細かいブロック単位での自動階層化を実現するという。さらにシステムを停止させずに、RAIDレベルやパフォーマンス、容量などを変更できるというメリットもある。

Dell Compellentのストレージ仮想化

 Dell Compellentでは、ブロックにメタデータを持たせたものを「ページ」、そしてページの集合体を「ページプール」として管理する。そしてドライブにまたがって分散して書かれたページをマッピングしたものがボリュームになる。各ページは自動階層化による移動単位となっており、ページプール内を自律的に移動することで、階層化管理が実現される。また、各ページは複数のディスクに分散して保持されるため、データアクセスは高速化される。RAIDもディスク単位ではなく、ブロック単位で構成され、RAIDに相当するデータ保護が実現されているという。

Dell CompellentのFluid Dataアーキテクチャ

 通常、自動階層化はSSD、SAS HDD、SATA HDDなど異なったストレージの種類や特性の異なるRAIDレベルで分類される。これに加えDell CompellentのFastTrackという技術では、HDDの外縁にアクティブなブロックを集中的に書き込み、シークタイムと遅延を低減することができる。HDDの本数が多ければ多いほど、シーク時間の総計は大きくなるため、高速な外周に利用頻度の高いデータが配置されていれば、高速化の効果は大きくなるわけだ。「こうした『縦と横の階層化』をDell Compellent自身が考えて、自動的に行ないます」(河南氏)。これにより、データの配置を自動的に細かく制御してくれるのがDell Compellentの最大の特徴だ。

HDDの外縁にアクティブデータを集めるFastTack

 また、仮想化といえばシンプロビジョニングの機能も気になる。その点、Dell Compellentでは、もともとシンプロビジョニングが前提となっており、使わないという選択肢がない。「割り当て済みのスペースは無駄に消費されている可能性も高いので、書き込み時のみ物理ディスクを使い、空きブロックを自動的に開放します」(河南氏)という動作をする。スナップショットも事前に容量を確保しておく必要がなく、低い階層化への移動も自動的に行なわれるという。

Dell Compellentのシンプロビジョニング機能

 このように性能や容量の拡張にフォーカスするのではなく、既存リソースの利用効率化をとことん追求したという点では、リーマンショック以降のコスト削減トレンドにかっちりはまった製品といえる。

EqualLogicよりも大規模な環境での導入がメイン

 Dell Compellent製品は、シリーズ30/40という2種類のコントローラー、SAS 3.5インチHDD搭載/SAS 2.5インチHDD搭載/FC 3.5インチHDD・SSDドライブ搭載という3種類のエンクロージャー、そして各種ソフトウェアを組み合わせる形態で提供される。クラスタ構成で最大22台のホストをサポートしており、インターフェイスもFC、FCoE、10Gbps Ethernetなどが選択できる。きめ細かな自動階層化を実現するため、高速なマルチコアCPUを用いるほか、「順番に書き込んでいくJBODではなく、パラレルに書き込みを行なう高速なSBODというディスクアレイを採用しています」(河南氏)とのことで、性能面での不安を解消している。

Dell Compellentのコントローラーとエンクロージャー

 グローバルでは3000社以上の導入があり、数1000ドライブを越える規模が多いという。iSCSIにフォーカスし、プロジェクトや部門単位での利用が多いEqualLogicよりも、より大規模なデータセンターでの利用が多いようだ。また、VMwareのような仮想化環境での実績も高く、サーバー統合とあわせてDell Compellentでストレージ集約するといった例が増えているとのこと。今後の日本での導入事例が気になる製品だ。

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