2TBのHDD採用で、省電力化も実現
バス変更などで性能4倍!日本IBMのストレージ「XIV Gen3」
2011年07月21日 06時00分更新
7月20日、日本IBMはディスクストレージの新製品「IBM XIV Storage System Gen3(XIV Gen3)」を発表した。
XIVはエンタープライズ向けのストレージ製品で、初代モデルが発表されたのは2008年。それ以来ワールドワイドで4500台を超える出荷があり、1100以上の新規のユーザーに採用されているという。国内での販売も好調で、ICDの調査によると対前年同期比で60%を超える成長を実現している。
今回発表されたXIV Gen3は、利用可能なストレージ容量は最小55TB/最大161TB。従来モデル「XIV 2nd generation」に比べ処理性能(データ伝送速度)の向上を果たしているほか、一般的なエンタープライズストレージと比べ大幅な消費電力削減を実現しているのが特徴だ。
処理性能向上は内部構造の見直しによる。具体的には、内部バスを従来モデルのギガビットEthernetからInfiniBandに変更することで、内部帯域幅が20倍以上に向上した。そして、最大キャッシュ容量も240GBから360GBと1.5倍以上になっている。さらに外部接続インターフェイスは、ファイバチャネル(FC)の転送速度が従来の4Gbpsから2倍の8Gbpsとなり、iSCSIの最大ポート数が6ポートから22ポートに増加。外部向け帯域幅が2倍以上になるわけだ。
これらによりデータ転送速度は、ビジネスインテリジェンス(BI)やアーカイブなどのシーケンシャル処理(順次処理)は最大4倍の高速化、データベースやメールなどのランダムアクセスのあるトランザクション処理で最大3倍の高速化を果たしている。さらに、2012年上半期には、キャッシュとして、SSDに対応する予定だという。
信頼性を保ったまま、大容量HDDで消費電力削減
一般的なエンタープライズストレージは、容量が450GBや600GBで回転数が1万5000rpmのHDDを採用することが多い。これは信頼性の確保のためだが、XIV Gen3は2TBで7200rpmのSASドライブを採用する(既存モデルは1/2TBのSATAドライブ)。これにより、「HDD単体の消費電力削減」と「必要なHDDの台数の削減」を実現している。
たとえば、XIV Gen3の実行最大容量である161TBのためには、450GB/1万5000rpmのHDDでは480台必要となり、消費電力は15.9kVA。一方、2TB/7200rpmのHDDなら180台で済み、消費電力は6.7kVAに抑えられるという。
もちろん、信頼性が劣るHDDを使うからといってストレージシステム全体の信頼性が低くなるわけではない。書き込まれるデータは、1MB単位の「パーティション」で分割され、複数のディスクドライブに分散して保存される。1つのパーティションは冗長化して書き込まれ、分散は疑似ランダムに行なわれ、各ディスクドライブに均等に配置される。
こうした仕組みのため、ディスクドライブが故障しても、システム全体の残りのディスクドライブから冗長化分のパーティションを使ってリビルドが行なえる。容量使用率100%の2TBのドライブが故障したとしても、60分でリビルドは完了するという。リビルド処理のオーバーヘッドが少ないため、リビルド中であっても高いアクセス性能は継続されるとしている
そのほか、ストレージの知識のない管理者でも操作が可能な、使いやすいユーザーインターフェイスの管理ツールが付属し、シンプロビジョニングやスナップショット、リモートミラーリングなどの機能を標準で搭載する。
価格は、最小構成(使用可能容量55TB)で1億2155万3000円から。1年間のハードウェアとソフトウェアの保守が含まれる。
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