100%パートナービジネスなので、自身でクラウドはやらない
クラウドの4要素は「NetApp OnCommand」で管理できる
2011年06月29日 09時00分更新
6月28日、ネットアップは同社の共有ストレージインフラを対象とした管理ソフトウェア「OnCommand」の機能拡張/新機能追加と、クラウド管理サービス事業者を対象とした新しいパートナープログラムを発表した。
クラウドでも分析、制御、自動化を実現
ネットアップのOnCommandは、ストレージ単体ではなく、仮想化技術などを活用して統合された大規模な共有ストレージインフラの運用管理を効率化するためのツールだ。ストレージインフラに対する制御機能が実装されているのはもちろん、現在の運用状況を的確に把握するための分析機能や定型的な運用管理手順を自動化する機能などが備わる。クラウドの実現には大規模な共有ストレージインフラが不可欠の構成要素となるため、OnCommandはクラウドを実現するための重要なツールとしても位置づけられる。
今回の機能拡張では、同社が「クラウドの基本4要素」と位置づける「サービスカタログ」「サービス分析」「自動化」「セルフサービス」の4つの機能を拡張/新規追加し、「クラウドサービス向けのストレージ管理機能」を実現したという。
技術面の解説を行なった米ネットアップのストレージシステムズ プロダクトグループのバイスプレジデント兼チーフアーキテクトのピータ・コルベット氏は、クラウドに必要な重要機能として「ストレージ効率化、スケールアップとスケールアウト、常時稼働、セキュア・マルチテナンシー、サービスの自動化と分析」といった要素を挙げた上で、ストレージデバイス側の機能実装とOnCommandの組み合わせによってこれらの要件が満たされることから、「ネットアップはクラウド向けの最適なストレージ基盤である」とした。
具体的な機能として、たとえばサービスカタログではユーザーがセルフサービスによって自分が必要とするサービスを選択できるようにあらかじめ提供可能なサービスのカタログを定義する機能を実現するわけだが、OnCommandによるサービスカタログ定義では、ネットアップのストレージが備える高度な機能として「シンプロビジョニング」や[重複排除」「日次バックアップ」「オフサイトDR」「分離」「HA」といった機能を理解しており、仮想ストレージプールから要求されたサービスレベルに合致するストレージ領域を自動的にプロビジョニングすることができる。クラウド向けにサービスカタログを実現するツールは他にも存在しているが、ストレージベンダーが提供するツールならではのきめ細かな対応が実現されている点がOnCommandの特徴といえる。
また、分析機能として提供される「OnCommand Insight Balance」は、買収によって獲得された旧アコーリ(Akorri)製品の機能をOnCommandに統合したものだ。インフラの応答時間を計測することでワークロードが適切に処理されているかどうかを分析し、直感的に分かりやすい単一値による「パフォーマンス指標」として提示する機能も実装する。ディスク利用率やパフォーマンスに関しては、過去のトレンドから将来予測を行なうこともでき、問題が顕在化する前に予防的に対処することが可能になる。
パートナーとの協力関係を堅持
もう1つの発表である新パートナープログラム「アライアンス・テクノロジ・パートナー・プログラム」は、クラウドの管理機能を提供するパートナー各社とネットアップが協力するテクノロジー面のアライアンスだ。
最初のパートナー企業群として発表されたのは、BMC、CA、富士通、マイクロソフト、newScale、Tivoli(IBM)、VMwareなど17社。これらパートナー企業に対してはOnCommandなどのネットアップ製品のAPI開示やサポートの提供などが行なわれるため、各企業が独自に開発するクラウド向けの運用管理ソフトウェアからネットアップ製品の機能を呼び出して利用することなどが可能になる。
説明を行なった米ネットアップのグローバル・パートナー・セールス担当シニアバイスプレジデントのジュリー・パリッシュ氏は、「ネットアップはクラウドに関しても100%パートナーモデルで取り組む。独自のクラウドサービスをネットアップが直接提供するようなことはない」と語り、今後ともパートナーとの協業によるビジネス展開を堅持する姿勢を強調した。
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