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災害や電力不足に負けないIT活用のヒント ― 第2回

40TBのデータを3日間でミラーリング!海外へ

アナログが功を奏したネットアップのDRサイト構築作戦

2011年06月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3・11の大震災の直後、ストレージベンダーであるネットアップは、ある顧客のリクエストに応じ、DR(Disaster Recovery)サイトを約2週間で立ち上げたという。ここではプロジェクトの舞台裏を聞いてみた。

DRサイト構築をスピーディに実現するには?

 DRサイトの構築はBCP(事業継続計画)の観点からも、きわめて重要な項目になっている。大震災やそれに伴う停電の影響で、遠隔地へのDRサイトの構築は、多くの企業で重要な課題となっている。

 ネットアップの日本法人は地震発生直後のタイミングで緊急プロジェクトチームを組織し、こうしたDRサイトの構築をはじめとしたデータ保護やサービス継続の支援を行なっていた。そして、ある顧客の要望に応じ、約40TBにもおよぶデータを保護するDRサイトを約2週間で海外に構築したという。

ネットアップ 技術本部 シニアコンサルタント 小林 啓宣氏

 ネットアップ 技術本部 シニアコンサルタント 小林 啓宣氏は、「そのお客様は東京にメインサイトをお持ちで、もともと東京近郊のDRサイトに対してSnap Mirrorを使ったレプリケーションを行なっていました。しかし、震災の影響がおよぶことを予想し、海外の香港にデータを移し、データを保護するという計画になったんです」と説明する。こうしたプロジェクトは通常数ヶ月かかるものだが、顧客とネットアップの間で震災後約1週間で計画を立案。40TBにもおよぶデータの移設を実際にスタートさせた。

 通常、遠隔地のDRサイトへのデータ転送は、WAN回線を経由して行なうのが一般的だが、この顧客の場合、計算すると東京近郊と香港間で40TBを転送すると、約2週間かかってしまうことがわかった。そこで、今回は横浜のDRサイトのデータをローカルに設置したシェルフに対してミラーリングし、そのシェルフを物理的に空輸して、香港のサイトに送ったという作戦を採用した。「ヘッドを持ち出すと輸出入の手続きも大変ですし、シェルフのみが分離できるのがモジュラー型ストレージのメリットなので」(小林氏)ということで、初チャレンジ。手作業がメインとなるアナログな手法だが、WANを利用するのは差分の同期のみで済み、スピーディーな構築が可能になったという。

今回のDRサイトでのデータの運用(同社サイトより引用)

 一見シンプルなDRサイトの構築にも、ネットアップならでは特徴がいくつかあるという。「シングルアークテクチャの強みがあるので、違う機種でもきちんとレプリケーションが動きます。また、プロフェッショナルサービスが顧客の緊急要請に応えて、震災後約2週間以内でデータを待避できた点なども、弊社ならではの対応です」と小林氏はアピールする。

 こうしたDRの要望に答える形で、先頃ネットアップはSnapMirrorの90日間無償ライセンス提供を開始した。サイト間でのデータレプリケーションや提携したクラウド事業者への遠隔バックアップが可能になる。ネットアップのユーザーは早速試してみるべきであろう。

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