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NetAppユーザーの商社AがDRで成功したワケ第2回

評価してみた!

無償アセスメントで、商社Aの現状を指摘

2011年10月11日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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前回、DRの見直しについての現状についてネットアップのDRプロジェクトのメンバーとミーティングした商社Aの情シス石川。今回は、ネットアップの無償アセスメントを受け、DRで意識していなかったポイントを知ることになる。

ヒアリングシートにDRの現状を記入してみる

 商社Aの石川は、ネットアップのDR無償アセスメントサービスを受けるべく、担当であるNetApp小林から送付されてきたヒアリングシートに記入を行なった。

図3 ヒアリングシートのイメージ

 ヒアリング項目は全部で30項目以上が用意されており、内容はかなり細かい(図3)。先週のミーティングで話したビジネス概要やデータセンターのほか、サーバーやストレージ、ネットワークなどのシステム概要や想定災害、RTO/RPO*、選定基準、過去の発動状況など現在のDR、バックアップやテープ運用について、クラウドやリモートアクセス、システム開発の導入状況、あるいはDRの見直し計画にまで実に多岐におよんでいる。

RPO&RTO RPO(Recovery Point Objective)は復元するまでのポイント。RTO(Recovery Time Objective)は目標復旧までにかかる時間を指す

 石川が実際に記入してみると、今まで意識してなかった部分に気が付いた。システム構成やバックアップについては、かなり詳細について書くことができたが、データセンターの状況やDRの見直しについて書くのにやや苦労した。情報システムの他のメンバーに聞いて、ようやく記載できたところもいくつかあった。また、最後のDRの見直しに関しては、具体的なアクションや目標まで描けていないことが明らかになった。今までは本社所在地の激甚災害のみの想定し、そもそもデータセンター自体に預けていただけで対策を打ったと考えていた。今回の見直しでは、データセンターが被災した場合の過酷事故対策が必要になるだろう。

 このようにヒアリングシートだけで、さまざまな気づきを得ることができ、DRに関して欠けている点や具体的なイメージがかなり沸いてきた。さらに、後日NetAppの小林が来社し、その内容についてさらに詳細を聞いて、最終的にはレポートとして提出してくれるという。石川は書き終えたヒアリングシートを送付した。

NetAppの小林がDRについて突っ込む

 ヒアリングシートを送付した数日後、NetAppの小林がやってきた。小林はヒアリングシートを元により突っ込んだ質問を行なった。

NetApp 小林:お聞きしたいのは、ビジネス上のデータの重要度についてです。重要なデータというのは、定義はありますか? あるいはランク付けや文書管理規定はありますか?

石川:そういうのは特にないです。漠然と在庫、販売に関わるデータや取引先の履歴や信用情報という感じです。

NetApp 小林:では、こうしたデータは再作成能ですか? また、再作成の手順やコストは明らかにされていますか?

石川:再作成が可能なものもありますが、Excelなどにコピーされている一部のみです。手順も定義も特にないですね。

NetApp 小林:なるほど。DR未実施の影響を明らかにし、データの再作成にどれくらい時間がかかるかを評価するのは、非常に重要です。次にデータセンターですが、基本的にはメインサイトのみ埼玉にあり、DRサイトは現状ないのですよね。

石川:はい。ですから、データセンターが動かなくなった場合を想定し、DRサイトを構築していく予定です。

NetApp 小林:今回の震災以降は、電力や耐震だけのスペックだけではなく、活断層や原子力発電所などが近くにあるかというロケーションも考えなければなりません。ちなみに自家発電機の点検や防災訓練は実施されていますか?

石川:SLAにより、年1回は実施されているはずです。

NetApp 小林:「~はず」は問題があります。レポートは必ずもらっておきましょう。システム構成と現状のDRについてはヒアリングシートに細かく書いてあったので飛ばして、バックアップについてお聞きします。基幹システムと拠点のファイルサーバーでバックアップの方式やソフトが違うようですね。

石川:そうですね。基幹系のSANではサーバーからミラーリングさせて、それを日次でテープバックアップしていますね。だいたい10時間くらいかかります。拠点側はサーバーでデータを二重持ちして、バックアップします。

NetApp 小林:システムごとにバックアップ方式が違ったり、さまざまなポイントで取得していると、DRに展開しづらいです。過去には7つくらいバックアップの方式があって、大変な会社もありました。あとサーバー100台ということですが、これらのサーバーは仮想化されていますか?

石川:いいえ。仮想化されているのは一部の開発系のサーバーだけですね。ほとんど物理サーバーです。個人的には、仮想化ではやく台数を減らしたいんですけど。

NetApp 小林:なるほど。一見関係ないように見えますけど、システムやバックアップ自体の整理統合も重要ですね。あと、現状、データセンターの防火・耐震区域で保管しているテープに関しては、再度場所を要検討ですね。最後に今後のIT計画やDRについて教えてください。

石川:はい。東日本大震災の被害を見て、データセンターが被災することを前提とした、よりシビアなBCPを立案する予定です。データセンターに設置した機材が壊れたり、データが喪失することを念頭に、まずはDRサイトへの業務データの遠隔バックアップを導入したいと思います。DRサイトは関西支社に近い大阪周辺を想定していますので、まずは秋口までにDRサイトの構築計画を上司に提出し、来年の4月に予算確保を目指したいです。

NetApp 小林:具体的な時期と予算確保のめどが付いているのは素晴らしいですね。ここがきちんと決まってないと、プロジェクトが頓挫する可能性が高いです。今までのヒアリングの感触だと、まずはDRの範囲を再度見直して、ある程度距離の離れたところにデータを退避。重要なシステムに関してはDRサイトを構築、またはクラウド事業者の提供するホスティングサービスを利用し、設定したRPO/RTOの範囲内にシステム復旧できるようにすることですね(図4)。

図4 複雑化したインフラを整理統合するのと、部分的にDR施策を進めるのと2つのアプローチがある

石川:そうですね。まずは遠隔バックアップでデータを待避させ、次にITインフラの整理統合を行ないます。最終的には事業継続のため、DRサイトを活用したシステムの二重化まで行きたいですね。とはいえ、結局DRの見直しにはお金がかかるので、アセスメントのレポートは、上司への説得材料に使いたいと思います。

NetApp 小林:わかりました。では、後日レポートとして提出させていただきたいと思います。ありがとうございました。

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 ということで、無事アセスメントを終了し、課題や現実的なソリューションが見えてきた石川。次はレポートを元に計画を本格化。遠隔バックアップを導入するための準備に入る。

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