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週刊 PC&周辺機器レビュー 第104回

最も小さなThinkPad Edge 11にAMDデュアルコア版が登場

2011年06月03日 20時00分更新

文● 池田圭一

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 処理速度はどうだろうか? 前述のとおりWindowsエクスペリエンスインデックスは、X100eの3.1(CPU)に対して、Edge 11は2.9(グラフィックス)と低下してしまっている。もっとも、Radeon HD 3200とMobility Radeon HD 4225の同インデックス値は3.3→2.9に下がったが、X100e(MV-40)では3.1だったCPU値が、Edge 11(K345)では4.1と大幅に伸びている。別のベンチマークテスト「CrystalMark 2004R3」で比べると、D2DおよびOpenGLの結果が逆転しているものの大まかに2倍近い速度となっている。

Edge 11のベンチ結果(CrystalMark 2004R3)

X100eのベンチ結果(CrystalMark 2004R3)。Edge11はX100eと比べると演算機能とメモリアクセスに関してはおよそ2倍になったが、 描画に関してはそれほど高速化されていないのがわかる

 それでいてカタログ記載の標準時消費電力は1Wほど下がっており(13.68→12.8W)、バッテリーでの動作時間は5.3→5.6時間と増えた。本来ならデュアルコアのAMD CPUを搭載した機種で比較すべきなのだが、Athlon Neo X2 L335(TDP 18W)を搭載したX100eは発熱およびバッテリー消費が激しく不評であった。ちなみにシングルコアMV-40のTDPは15Wである。

 体感的な使い心地は、ドライバーなどを調整した初期シングルコアのX100eも、今回のデュアルコアEdge 11もほとんど同じである。Athlon II Neo K345の採用の目的は、省コストと省電力といってよいだろう。

 AMDデュアルコアCPU搭載のThinkPad Edge 11(2545RW4)は、EdgeといえどもThinkPadクオリティーを保った製品だ。しかし、ビジネス利用のモバイル機とするなら、セキュリティチップ非搭載やバッテリー使用時間の短さが気になり、また、X100eが1年でディスコンになったことを思うとEdge 11の今後も不明。信頼性重視のThinkPadシリーズに含めていいのかの疑問も残る。

 一方では、X100eの正統な後継とされるThinkPad X120e(外観はX100eに準ずる)の動向にも注視したい。今のところ海外のみの販売だが、X120eもまた、ADM Fusion APU E-350(グラフィックコアを内蔵してTDPは18W)を搭載した低消費電力志向のミニノートである。

 今回のThinkPad Edge 11は、現在手に入る最も安価な(執筆時の実勢価格は4万9000円前後)モバイルThinkPadとして気軽に手に入れるのが良いだろう。ただし、初心者向けではないことに注意。あくまでThinkPad慣れしたユーザーのためのものだ。

ThinkPad Edge 11(2545RW4)の主な仕様
CPU Athlon II Neo K345(1.4GHz)
メモリー 2GB、最大4GB
グラフィックス Radeon HD 4225
ディスプレー 11.6型ワイド、1366×768ドット
ストレージ HDD 320GB
光学ドライブ 非搭載
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n
インターフェース USB 2.0×2、Powered USB、4in1カードスロット、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ 幅284×奥行き211×高さ15.6~28.5mm
質量 約1.5kg
バッテリー駆動時間 約5.6(6セル)時間
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
価格(直販価格) 5万4705円

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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