処理速度はどうだろうか? 前述のとおりWindowsエクスペリエンスインデックスは、X100eの3.1(CPU)に対して、Edge 11は2.9(グラフィックス)と低下してしまっている。もっとも、Radeon HD 3200とMobility Radeon HD 4225の同インデックス値は3.3→2.9に下がったが、X100e(MV-40)では3.1だったCPU値が、Edge 11(K345)では4.1と大幅に伸びている。別のベンチマークテスト「CrystalMark 2004R3」で比べると、D2DおよびOpenGLの結果が逆転しているものの大まかに2倍近い速度となっている。
それでいてカタログ記載の標準時消費電力は1Wほど下がっており(13.68→12.8W)、バッテリーでの動作時間は5.3→5.6時間と増えた。本来ならデュアルコアのAMD CPUを搭載した機種で比較すべきなのだが、Athlon Neo X2 L335(TDP 18W)を搭載したX100eは発熱およびバッテリー消費が激しく不評であった。ちなみにシングルコアMV-40のTDPは15Wである。
体感的な使い心地は、ドライバーなどを調整した初期シングルコアのX100eも、今回のデュアルコアEdge 11もほとんど同じである。Athlon II Neo K345の採用の目的は、省コストと省電力といってよいだろう。
AMDデュアルコアCPU搭載のThinkPad Edge 11(2545RW4)は、EdgeといえどもThinkPadクオリティーを保った製品だ。しかし、ビジネス利用のモバイル機とするなら、セキュリティチップ非搭載やバッテリー使用時間の短さが気になり、また、X100eが1年でディスコンになったことを思うとEdge 11の今後も不明。信頼性重視のThinkPadシリーズに含めていいのかの疑問も残る。
一方では、X100eの正統な後継とされるThinkPad X120e(外観はX100eに準ずる)の動向にも注視したい。今のところ海外のみの販売だが、X120eもまた、ADM Fusion APU E-350(グラフィックコアを内蔵してTDPは18W)を搭載した低消費電力志向のミニノートである。
今回のThinkPad Edge 11は、現在手に入る最も安価な(執筆時の実勢価格は4万9000円前後)モバイルThinkPadとして気軽に手に入れるのが良いだろう。ただし、初心者向けではないことに注意。あくまでThinkPad慣れしたユーザーのためのものだ。
ThinkPad Edge 11(2545RW4)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Athlon II Neo K345(1.4GHz) |
メモリー | 2GB、最大4GB |
グラフィックス | Radeon HD 4225 |
ディスプレー | 11.6型ワイド、1366×768ドット |
ストレージ | HDD 320GB |
光学ドライブ | 非搭載 |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n |
インターフェース | USB 2.0×2、Powered USB、4in1カードスロット、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅284×奥行き211×高さ15.6~28.5mm |
質量 | 約1.5kg |
バッテリー駆動時間 | 約5.6(6セル)時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit版 |
価格(直販価格) | 5万4705円 |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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